新作映画『SCOOP!』 ネタバレあり感想文 〜働くこいつらに嫉妬する!娯楽作品の傑作誕生〜

 日本で娯楽映画は成立しにくい。と筆者は思ってるし、事実なんだとも思う。

 ド派手なアクション、爆発、サスペンス、カーチェイス……活劇を盛り上げる大切な要素だけど、邦画でこれらを立派に見せてる映画は本当に稀だし、主流ではない。ほとんどが娯楽映画の名産地であるハリウッドの真似事に見えてしまう。日本は「動」というより「静」の映画が多い。欧米と違って「I LOVE YOU」とストレートに感情をぶつける風習がない日本人にとっては「静」の中で激しく揺れる心や葛藤は描きやすいし、国民生にフィットしてる。だから「人を楽しませる」という手法を徹底的に極めているハリウッドと比べてしまえば、どうしても一歩劣ってしまう。

 伊丹十三という監督がいた。伊丹さんの『たんぽぽ』を観た時に感動した。ラーメン屋という設定の中に西部劇の要素を丸々ぶちこんで、日本ならではのエンタテイメントを確立していた。ハリウッドに対抗するのではなく、日本でしかできない日本の娯楽映画を成立させてた。

 そして、本作『SCOOP!』は日本の娯楽映画として傑作に仕上がっているのだから、筆者の熱は高い!!!

 

『SCOOP!』

あらすじと解説

福山雅治が「モテキ」「バクマン。」の大根仁監督と初タッグを組んだ主演作。1985年に製作された原田眞人監督・脚本の映画「盗写 1/250秒」を原作に、芸能スキャンダルから社会事件まで様々なネタを追いかける写真週刊誌カメラマンや記者たちの姿を描く。数々の伝説的スクープをモノにしてきたカメラマンの都城静は、輝かしい業績も過去のものとなり、今は芸能スキャンダル専門の中年パパラッチとして、借金や酒にまみれた自堕落な生活を送っていた。そんなある時、ひょんなことから写真週刊誌「SCOOP!」の新人記者・行川野火とコンビを組むことになり、日本中が注目する大事件に巻き込まれていく。福山扮する静の相棒となる組む新米記者・野火を二階堂ふみが演じ、吉田羊、滝藤賢一、リリー・フランキーら豪華キャストが共演する。

 

 日本の映画でこんなにもドキドキさせてくれること自体がもう幸せ!!!

 え?なんでドキドキするの?と。何がスリリングなの?と。そんな風に思いますよね。

 本作の主人公たちはパパラッチ。片手に持ったカメラが拳銃に対抗しうる「武器」となっています。球団のエース、アイドル、大物政、殺人犯……といったようにゴシップ写真を撮る「ターゲット」が毎回いて、それを福山雅治と二階堂ふみのバディが1つ1つクリアしていくんです。そのターゲットの難易度も上がっていく。危険なミッションをクリアするほど雑誌の売上数が伸びていく。このミッションを乗り切る過程がまぁ面白い。スパイ映画っぽかったりするんです。スーツを来てホテルに潜入したり、いろんな手を使って写真をすっぱ抜いていく。写真を激写するシーンは完全にスナイパーを彷彿とさせます。一瞬のスキを突く。そこを逃したらもう後がない…。この緊張感がたまらん、たまらん。写真には社会的抹殺に追い込む力がある。現代社会ではある意味、ピストルで撃たれるよりも脅威なんです。

 彼らにとってカメラは最大の武器。クライマックスで実際の銃を持った男とカメラを持った二階堂ふみが対峙する場面があるんですけど、ふみちゃんは一歩も引かない。写真の影響力の大きさを確信したふみちゃんにはわかってるんです。カメラは武器なんだと。

20161019013324

 撮る側と撮られる側。そして、ファインダーを覗いて被写体を追っていたはずが、ふとした拍子に被写体に見られる。っわ!見られた!有利に立っていたはずが、見られることによって一気に形勢逆転されるという映画ならではの緊迫感・・・。たまらんですよ。これは。

 冗談抜きで「手に汗握る娯楽作品」になっているわけなのです!

d275dac4a8dca33090f6071a03d77484

 

 大根仁監督によるストーリーテリングも超ポップで見やすい。観客が気持ち良くノリノリで観れる。『モテキ』では主人公の心情をミュージックビデオ的な演出で描き、『バクマン』では脳内で起こる創作の戦いという本来は伝わりづらい描写ををCGとプロジェクションマッピングを駆使し表現していました。今回も雑誌の部数売り上げが伸びる様子を地味ながらも上手く描いてます。あそこ凄い気持ち良く、高まる。

 題材が題材なだけに「ジャーナリズム」がどうのとか「反体制」がとか「言論の自由」がとか小難しい話になりかけますが、二階堂ふみちゃんに「そんなのわかんねーって言ってるじゃないっすか!」とぶった切らせることで、省いてる。笑 そういうディベートを一切見せない。娯楽作品ですから!!活劇なんです!アクションなんです!また、福山雅治が史上1のダーティーな役なんですが、カッコつきそうになった所ですべて裏切ってくる。バットを持ってふみちゃんを助けに行く場面もそうですし、ビールの泡が吹いちゃったり。かっこいいんですけど、ちゃんとダサい。そういったところを含めて、語り口がすごい軽妙なんです!無駄がない。観客を楽しませることに徹底している。

 

 「リリー・フランキー」とキャストにクレジットされてるだけで、「またかよ…」拒否反応が出ちゃうくらいリリフラさんは映画に出演しまくってます。ここで出しときゃなんとかなると思われてるのか、めっちゃ出てますよね。でも、本作のリリフラさん、めちゃんこいい!筆者の中でずっと観たかったリリフラさんがそこにいました。これこれこれ!!!すんごい軽い感じでテキトーに見えるけど、何をしでかすかわからない。すんげー怖いんですよ。これなんですよ!これ!ネタバレになりますが、ラストでピストル持って徘徊するシーン。クソ怖いですよ。「殺人」という行為に何の重みもないんです。

2016-09-11_02h17_16

 

 ちなみに「濡場が長い」という指摘を見たけど、当たり前だろ!!!!大根仁監督だぞ!!!笑

 まぁ、冷静に見てもやりちんである福山雅治の愛を描くにはあの尺は必要だったと思っています。まぁ、そもそもあそこでヤっちゃうのかぁ・・・とも思いましたが、ラストの盛り上がりを考えると必要かなと……

 

 もう最近、涙腺がぶっ壊れ始めたのか本作観て何度か泣きそうになりました。泣く映画じゃないんですけど。

 脱サラ芸人の筆者としては「サラリーマン」に嫉妬しました。もし、あのまま会社をやめないで働いていたら…って。それはそれで楽しそうだって。社畜になって働く。ボロボロになるまで働く。うわぁ、羨ましいなと。そういう意味ではもう観たくないですね。

 

 低いところから失礼しました。

 

新作映画『ロスト・バケーション』ネタバレ無しの感想文 〜怖いサメと可愛いお尻とカモメ〜

低いところから失礼します。

ジャガモンド斉藤正伸です。

 

『ロスト・バケーション』

解説とあらすじ

テレビシリーズ「ゴシップガール」のブレイク・ライブリーが人食いサメと対峙するサーファーを演じるサバイバルアクション。監督は「フライト・ゲーム」「ラン・オールナイト」のジャウム・コレット=セラ。サーファーで医者のナンシーは、休暇で秘境のビーチにやって来た。時を忘れ、日が暮れるまでサーフィンを楽しんだナンシーは、海中で突然何かにアタックされ、足を負傷してしまう。なんとか近くの岩場にたどり着いたナンシーは、岩の周囲を旋回するどう猛で危険な存在が自分を狙っていることに気がつく。岩場から海岸までの距離はわずか200メートルだが、時間とともに潮が満ち、海面が上昇。足下の岩場が沈むまでの時間は、わずか100分しか残っていなかった。

 

はじめに 〜シンプルな映画だからこそ楽しめる〜

 土曜日の昼間だってのに、映画館ガラガラだったよ!こういうシンプルそうな映画ってみんな見に行かないのかなぁ。早く上映が終わっちゃいそうだから、みんなガンガン行来ましょう!筆者はとっても楽しめた作品となりました。

「沖には出たもののサメに襲われちゃって岸までたどり着けない!」

 予告編を観てもらえればわかりますが、とんでもなくシンプル!シンプルだからこそ、工夫を凝らした面白さがたくさんあり、楽しめます。逆にシンプルすぎて地味になっちゃう映画もあるんだけど、本作は違う。傑作でございます。キャストがいっぱい出てきて予算をわんさか使ってる映画が傑作とは限りませんよ!

Watch-The-shallows-Official-Trailer-GulluTube-950x528

 

こんな人にオススメ!!!

①「海に行きたい願望はあるけど今年が行けない!けど、夏を味わいたい!!!」

②「海でフィーバーしてるイケイケの連中が食われていくのを見て、スカッとしたい!」 

 

え?夏を味わえるの?と思ってそのこのあなた。まずはその事について書きなぐっていきましょう!

 

美しすぎる情景 〜「大自然」の裏表とお尻〜

 この手の映画って、サメは人間襲うから映画の中では敵なんですけど「悪」ではなくてあくまで自然の「脅威」として描かれます。サメは、本能で人を襲ってるわけですから。後述しますが、本作には人間を襲う自然のサメと人間に寄りそうカモメが登場します。同じ野生の動物ですが、正反対に描かれてる。つまり、自然は「悪」という一方的な存在ではなく、人間にとっての良い部分と悪い部分の裏表があるということを描いてくれてます。

 今回の主人公は医大生。母を病気で亡くしたことをきっかけに医療に失望し、通ってた医大を辞め、かつて母がサーフィンで通っていた名前のない秘密の海岸にやってくる。本作にはそんな休暇(バケーション)を描く側面があります。だからこそ、海と島…めっちゃキレイ!!!たぶん、編集で色味をいじってたりもするんでしょうけど、とんでもなくキレイに描かれてるんです。

maxresdefault

 そして、そんな大自然に引けを取らないくらい美しいのが主人公のお尻!主人公のブレイク・ライブリーの美しいビキニ姿が見れるんだから、男どもは覚悟して映画館に行こう!

 いや〜、大自然とお尻の相性は最高ですね。

 

編集による新しい試み

 主人公が秘密のビーチに向かう途中の車内でiPhoneを開き、保存されている母の写真を閲覧するシーンがあるんですけど、大胆にその写真をワイプで画面に映してるんです。主人公が指でスライドすればワイプに映ってる写真も2枚目、3枚目と切り替わる。これって最初不自然に感じます。映画らしくない。CMとかテレビ番組のようになる。ただ、このフリが効いてくる。後半で主人公がサメが岩礁の周りを旋回するときに腕時計で秒数を計るんですが、そのときにもワイプでデジタル時計のカウントがワイプで抜かれるんです。ここで、全く違和感がない。緊迫感を高めるためにも正確な秒数をお客さんに提示することは必須なので、この編集の工夫は大成功!

shallows-ban

 

映像と音楽の工夫による恐怖 〜サメが出てなくても怖い〜

 サメが登場するまでもちゃんと怖いんです。

 サメ前は優雅にサーフィンを楽しんでるんですが、そのときにずいぶんとご機嫌なクラブミュージックが流れます。イケイケの。「うぉー!フィーバーしてるな〜」って感じなんですけど、水の中に主人公が潜ると音楽がブツっと止まるんです。不自然に。また水上に上がると音楽が流れる。撮影も工夫されています。陸にいる時も背景は常に海。しかもピントを主人公に合わせてないんです。ふっと海にピントが合う。違和感あるんです。

 この音楽と撮影方法によって海に対する観客の恐怖が倍増します。サメができてないのになにか起こるようなイヤな気分になるんです。

640

 

サメ怖カモメ萌え映画の誕生

 大自然の人間にとっての良い部分と悪い部分を描いてると先述しましたが、岩礁に避難しサメに怯えながらも生き抜く主人公によりそうのは一羽のカモメです。このカモメはサメに翼をやられ、飛び立つことができない。主人公と全く同じ境遇なんです。このカモメが超可愛い!浜辺に人が来ると鳴いて主人公を起こしてくれたりするの!これもうペットですよね!唯一の味方なんです!野生の動物は怖いけど、それだけじゃない!こんなにカモメが可愛く見える映画だとは思いませんでした。

NewImage-32

 見てください!上記の写真を!凛々しく立っています。サメに怯える人間が情けなく見えますね。

 

 とってもわかりやすい映画で、グロテスクなシーンもない。何より主人公のブレイク・ライブリーのお尻とカモメが超絶キュートだから、サメ嫌いでも全然楽しめますよ!この夏、おすすめです。

 

 低いところから失礼しました。

 

新作映画『セトウツミ』感想文 〜この2人以外は物語に入ってこないで!ごめん!邪魔なの!!!〜

低いところから失礼します。ジャガモンド斉藤です。

 

『セトウツミ』

解説とあらすじ

池松壮亮と菅田将暉のダブル主演で、此元和津也の人気漫画「セトウツミ」を実写映画化。原作は、関西弁の男子高校生2人が放課後にまったりとしゃべるだけというシンプルな内容で、2人の繰り広げるシニカルな会話劇の面白さで人気のコミック。「まほろ駅前多田便利軒」「さよなら渓谷」の大森立嗣監督がメガホンをとり、塾通いの日々を送るクールな内海を池松が、天然で元サッカー部員の瀬戸を菅田が演じる。その他、ヒロインの女子高生・樫村役に「ライチ☆光クラブ」などに出演するモデルの中条あやみが扮している。

 

書くことなんて、ほとんどないよ!

あ。つまんないって意味じゃなくて。予告通り、二人が喋るだけという本当にシンプルな作りになっているから。あーだこーだ言う映画ではない!

とりあえず、予告編の2人の会話を見て面白いって思ってえたなら、ぜひ映画館に足を運んでほしい!もしも、予告編で苦手意識が出てしまったら観ないで良い!なぜなら、この予告編がすべてを表しているから!ここまでわかりやすい映画も稀です。

筆者としては、大変に楽しめました。

もちろん会話で笑えたりするんだけど、「目的もなくいつもの場所に集って、無価値なことを永遠とやり合う」って…男の子なら大好きでしょ!?筆者は学生の頃というより、未だにあるもん!「いつもの場所」「いつもの相手」で何も求めずただダラダラする。みんなもありません???

news_header_setoutsumi_201602_04

客観的にこういう子たちを見ると、「くっだらねぇ事やってんな」で片付けられちゃうんだけど…本作ではなぜいつもの場所に集うのかっていう理由までしっかりと描かれているんです。

池松壮亮くんのバックボーンが掘り下げられるパートがあるんですけど…

 

「どいつもこいつも部活入れ入れってうるさいな。汗かくことだけが青春じゃないだろ。こうして、川沿いでただ会話するだけの青春があってもいいじゃないか」

 

みたいなセリフがあるんです!

そうなんだよ!

部活動がなんとなく苦手だった筆者にとっては、とっても共感できる!

そんな主張に加えて、映画では2人のバックボーンが少し描かれていまして、要約すると、川沿いが「救いの場所」なんです。映画が進めば進むほど、観客もそれを理解していって、この2人と川沿いが愛おしくてたまらなくなる。

僕らお客さんは映画に対して派手な展開や刺激、成長を無意識に求めちゃうものですが、この映画に関しては「ああ。いつまでもこの時間が続けばいい」っていう愛が芽生えるんですよね。不思議ですよね。

だからね、裏を返すと映画が展開すると、ちょっと嫌になるんです。終盤のパートで道化師が3人の中に加わってやりとりをするんですけど…

355581_002

 

邪魔なんです!

二人の関係性に何も入ってこないでほしいの!

この道化師とのやりとりも笑えるはずなのに、つまんないんだよなぁ。道化師が喋る度に冷める。おまえ入ってくんなよ!って。

 

中条あやみちゃんもとっても可愛くて筆者は大好きなんだけど、今回に関しては…

1788587l

 

 

ごめん!あやみちゃん!邪魔なの!!!どいてくれ!!!

 

こんなに0を求めてしまう映画に出会ったのは初めてです。

「男子ってくだらないね」と呆れてたそこのあなた!!!ぜひ本作『セトウツミ』を観て、ちょっとでも男の子の気持ちを理解してね♡

 

低いところから失礼しました。

 

 

必見!新作映画 『死霊館 エンフィールド事件』ネタバレなし感想文 〜今、世界で1番怖い映画を撮る映画監督〜

今回は大好きな監督の作品だからウハウハしております。

低いところから失礼します。ジャガモンド斉藤です。

先に結論から…

 今回、書きなぐる映画……激烈に怖いです!!!筆者は映画館でほんとに悲鳴をあげてしまいました。「うああああ!」って言いながら、マジで逃げそうになりました。いや、ほんとに。椅子の背もたれグーンってなりましたもん!しかも、怖いに加えて面白いんです!本作!しっかりハートフルな内容になってるんす!

 だからね!もういいからとにかく観に行って欲しい!!予告編さえ観てほしくないレベル!絶対に満足できるって保証するので、行ってください!行く人はここから先は読まないで!

 

『死霊館 エンフィールド事件』

解説とあらすじ

実在の心霊研究家ウォーレン夫妻が追った事件を描き、全米で大ヒットを記録したホラー「死霊館」のシリーズ第2作。1977年、イギリス・ロンドン近郊の街エンフィールドで実際に起こり、史上最長期間続いたポルターガイスト現象として知られる「エンフィールド事件」を題材に、英国の4人の子どもとシングルマザーが体験し、ウォーレン夫妻が目撃した怪奇現象を描く。監督は、前作のほか「インシディアス」などのホラー作品や、「ワイルド・スピード SKY MISSION」を手がけたジェームズ・ワン。ベラ・ファーミガ&パトリック・ウィルソンが、前作に続きウォーレン夫妻を演じた。

 

はじめに 〜目に入れても痛くない監督ジェームズ・ワン〜

 筆者がジェームズ・ワンという監督の映画を楽しみにするようになったきっかけは『インシディアス』をDVDで鑑賞してからだ。悪魔に取り憑かれそうになる家族を救うというアメリカのあるある展開であるエクソシスト的は話になっていくのだが、そこに至る前までの怪奇現象、心霊描写がジワジワとくる恐怖があった。

d0151584_930184

 自分が一番やすらげる場所である家に「見えない誰か」がいるというのは生理的にキツイ。その描写をワン監督はジワジワと見せてくれる。いきなり心霊本体がワッ!と出て脅かしてくるようなおバカなことは全くしない。椅子が揺れているとかそういった些細なことが少しずつエスカレートしていきラストでは大暴れ。さらに、筆者が猛烈にツボったのはクライマックスに登場する「死の世界」。取り憑かれた息子を救うために父が自ら死の世界に飛び込むのだが、そこからのお化け屋敷感。言い方を選ばないとするとこのチープな世界館が最高だった!!!それまで、心霊自体も映さずクールな表現が多かったのに、ラストの畳み掛けてくるダイナミックさが愛おしい!

40abe74458cbd2020c5e3fe2897dfbf0 8883675

 さらに!そのあとに公開された続編となる『インシディアス2』を劇場で鑑賞した時の衝撃は今だに忘れられない!鑑賞しながら「えーーーーー!」と映画館で唸ってしまった。どうしてそんな風になってしまったかは今度話すとして…とにかくそれ以降、筆者にとってワン監督は「目に入れても痛くない」愛する映画監督として、ひたすら新作を楽しみにしてきた!そんなワン監督の出来立てホヤホヤ最新作である『死霊館 エンフィールド事件』について今回は書き殴る!

 

何がすごいのジェームズ・ワン

 ジェームズ・ワンは「近年で一番怖いホラー映画を撮る監督」だと思いゴリゴリにオススメしています。じゃあ、ワン監督のどこがいいのか。「ここが良いんだよ!!!」ってところを3つにまとめたから書かせて!書かせて!それを通して、本作『死霊館 エンフィールド事件』の魅力を伝えていきたい!!!

 

①テンポで恐怖を煽る名手 〜「嫌だな」と思わせる緩急〜

 ワン監督の映画にグロテスクな描写は皆無だ。血や内臓が飛び出るといったような描写は全くない。もっと心理的・精神的恐怖を狙い撃ちしてくる。その1つが撮影、編集のテンポだ。不快なテンポを生み出すことによって観客に恐怖を煽る。普通は「ポン、ポン、ポン」とくるところを「ポン、ポン……ポン!」とくる。これだと何を言ってるのかわからないと思うから、上記の予告編を見直して欲しい。部屋の中で十字架がクルり、クルり、と回り始めてカメラはそれを回転しながら追いかけ止まる…しばらく経ってから…ジジイがば!っと現れる。

スクリーンショット 2016-07-13 13.52.12 スクリーンショット 2016-07-13 13.52.24 

 人間が驚いたり、不快になるテンポをワン監督は知っている。まったく!やらしい男だよ!テンポの「良さ」を追求してしまうと、人間が心地よいタイミングでの脅かし表現になってしまって気持ちは良いけど、不意をつく恐怖は気持ち悪い。 

 ワン監督の映画にはこの「不快なテンポ」描写があらゆるところに散りばめられている。上記のジジイ登場よりも前は地味な怪奇現象か続くのだが、そこからもう怖い。筆者が怖かったのがオモチャの消防車とテントのシーン。ぐーーーーーーっと引っ張り続けて、ためてためて、ドカン!!っていう。ネタバレしたくないから、こんな言い方になってしまって申し訳ないが、とにかく見てくれればわかる。ワン監督はテンポもうそうだし、緩急の差をうまく使ったのペーっとした引き込み方もうまい。

 

②フレッシュすぎる心霊描写 〜予想ができないから怖すぎる〜

 ワン監督はとにかく心霊描写の新鮮度がハンパなく高い。毎回、彼のアイディアに感動しつつビビらされる。描写に新鮮味がなく、どこか観たことある内容だと観客は楽しめない。アイディアというのはホラー映画にとって生命線だ。ホラー映画は「怖くない」は「つまらない」とイコールで結ばれてしまう。じゃあ、いったいどんなアイデアがあるのか。

本作の前作にあたる『死霊館』の予告編を観てもらいたい。

 

どうですか、皆さん。最後、暗闇からっわ!って出てくると思ったでしょ…!?

違うんですよ、ワン監督は!「手を叩く」ってだけのシンプルすぎるアイデアだけで、こんなに怖いってあります!?ジワジワきますよね。「不快なテンポ」×「フレッシュなアイデア」によって怖いんです!

fb30a445 o0600025113666856615

 

③山田洋次ばりに毎回「家族」がテーマ。ハートフルな映画なんです!

 『インシディアス』シリーズも『死霊館』シリーズも悪霊は家に住み着いてるものなので、舞台は家なんです。毎回。てことは、被害者は家族になってくるんですよね。ワン監督はそんな家族を描くことを忘れない。親が子を想う気持ち。子が親を想う気持ち。夫婦間での愛。そこをしっかり描いてくれるから、猛烈に怖いんだけどなんだかハートフル。もうホラー映画界の山田洋次なんですよね。

 今回の『死霊館 エンフィールド事件』は心霊研究家のウォーレン夫妻の絆に焦点を絞りながら、物語が進みます。ラストはホラー映画とは思えないロマンチックなシーンで締めくくられる。観てるこっちが違和感を感じるほどです。ホラーと家族って相性が良い。この家族って小さな子供を抱えた家族なんですが、小さな子供、赤ちゃんがいる家庭って幸せだし、無垢な子供がいることで「生」を感じるんだと思うんです。生命の始まりといいますか。一方、心霊って死んでますから。「死」なわけです。この生と死の対比が映画としてものすごくはえる。正反対のモノだから画になるんです。

640

 事実かどうか見極めるのが困難な「怪奇現象の立証」というのも一貫したテーマになっている。被害者家族を救おうとする人たちが現象は本物なのか偽物なのかを討論したりするんです。「立証できないと教会は動かない」という事らしいんですが、これって警察と何の変わりもないですよね。強大な教会は動くことがなかなか難しい。ウォーレン夫妻はどこにも所属してるわけではないいわば自警団みたいな立ち位置。そういった組織図や関係性みたいのも見えてくるのも楽しい。話の本筋もすごく秀逸で、前半で張られていた伏線が最後ですべてつながっていき、真実が浮かび上がるというミステリー調にもなってる。

 つまり、普通のホラー映画よりも描いてることの要素が多いんです。だから、134分もの映画になってしまう。だいたいホラー映画って90分代か100分代で終わりますから。普通はそこまで描いたりしないんです。それくらい濃密な作品だから「怖い」だけでなく、娯楽作品としてしっかり「面白い」 

 ホラー映画とは言ってますがエロ、グロもないし、誰もが楽しめるエンタテイメント作品に仕上がっているのがジェームズ・ワン監督『死霊館 エンフィールド事件』の最大の魅力です。

 

 今年の夏は、絶対これ観たほうが良い!映画館という逃げられない空間で鑑賞することに意味がありますから!見ながらキャーキャー騒いで涼んでください!

 

 低いところから失礼しました。

 

 

 

新作映画『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』感想文 〜「死のその先」を喜劇として描くクドカン〜

低いところから失礼します。

ジャガモンド斉藤です。

 

『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』

あらすじと解説

人気脚本家・宮藤官九郎の監督作で、長瀬智也&神木隆之介共演で描く奇想天外コメディ。平凡な男子高校生・大助は、修学旅行中に交通事故に巻き込まれ死んでしまう。目覚めるとそこは、深紅の空の下で人々が責め苦を受けるホンモノの地獄だった。戸惑う大助の前に、地獄専属ロックバンド「地獄図(ヘルズ)」のボーカル&ギターで、地獄農業高校の軽音楽部顧問をつとめる赤鬼・キラーKが出現。現世によみがえる方法があることを知った大助は、大好きなクラスメイト・ひろ美ちゃんとキスするため、キラーKの厳しい指導のもと地獄めぐりを開始する。神木扮する主人公・大助を導く赤鬼・キラーK役を、長瀬が特殊メイクによる衝撃的なビジュアルでハイテンションに演じる。共演にも宮沢りえ、桐谷健太、古田新太ら豪華キャストが集結。

 

はじめに 〜死が描かれているが、清々しい〜

 本作『TOO YOUNG TO DIE! 若くして死ぬ』は、1月の軽井沢スキーバス転落事故によって公開延期となった作品である。なぜ延期になったのか、予告編を観てもらえればわかるが、神木隆之介くん演じる主人公の大助は修学旅行のバス移動中に転落死してしまう。たしかに、この場面の描写を事故当時に観ていれば不謹慎に映ってしまうだろう。筆者はこの映画でちょっと嫌な気持ちになったらどうしよう…と懸念していたが、そんなことはなかった。むしろ清々しかった。

 それはいったいなぜか?そんなことを中心に書き殴っていこうと思う!

intro

 

森川葵ちゃんが可愛すぎる

 お堅い話は後回しにしたとして、まず森川葵ちゃんが可愛いすぎる!ドラマとかでちょいちょい見てたけど、こんな可愛いのね!

640-1

 王道な美少女ということではなく(悪口じゃない!)雰囲気がすんげーキュート。この雰囲気って誰もが出せるものじゃない。顔なんて整形すればいくらだってどうにでもなる時代な訳だし!葵ちゃんの仕草のエロいのよ!もうフルート吹いてる時点でどうにかなっちゃいそうなんだけど、口元、目の動かし方、しぐさ……ウハウハーーー!好きーーーー!って。

 最高なのがバス事故直前での主人公 大助とのやりとり…

葵 「昨日、あたしの寝てるところにコッソリ忍び込んだでしょ?」

神木「…え」

葵 「私のこと…好きでしょ?」

神木(無言でうなずく)

後ろのバカ生徒「おしっこしてー!トイレ行きてー!」

葵 「私もーーーーーー!」

 

 

…え!?ど、どっち!?

 

 

ここだよ!!!

こういうのは大抵、勘違いなんだけどさ!よくあったよな!この手の話!今のは…どっち??みたいな!青春ってこういうことなんだよ!!!

 

「誰もが憧れる青春像」を描く名手・クドカン

 森川葵ちゃんもそうだし、バスの中でのバカなやりとりや修学旅行先で女風呂覗くとか…この誰もが「青春ってこれだよな!」と憧れる像を出してくれるのがクドカンの敏腕なところ。これって「共感」とはまた別。もちろんこういう青春を謳歌した人もいるだろうけど、例外もいるわけ。でも、誰もが「うん!うん!うん!こういうことやってみたかった!」とか「もう一度戻りたい!」って思うはず。クドカンって「誰もが憧れる青春像」を描くのが最高に上手い!

 これってとくに大人になればなるほど感情移入すると思うんです。大人になると、激流に揉まれていく。大学卒業で仲間と別れて、就職して、結婚して、借金して家建てて、子供ができて、親が死んで…みたいな。それと比べると、中学、高校の時って時間の流れおそ〜くて、ピタって止まってるように感じる。相変わらずなことが多かった。激動の大人になればなるほど青春って愛おしく感じる。

 ちょっと視野を広げると本作では、「地獄」こそが相変わらずな青春だと思ったんです。これは現生と比べて時間が経つのが遅いってこともある。地獄でのんびり過ごしていると、現生は猛烈なスピードで時が経っていく。取り残されてるんですよね、地獄にいる連中は。主人公の神木くんは毎回、この「地獄」という名の青春の舞台に舞い戻ってくる。

 この現世と地獄のラグがまた切ない。現生の人には全く知られてないんだけど、地獄には地獄の生活があって、みんな一生懸命に生きている。けど、現生には届かない……この隔たりによって涙が出そうになる場面もあるんです。これって筆者が嫌う「登場人物が死にました!ほら!悲しいでしょ!涙でるでしょ!」っていうクソ下品な映画とは違う。地獄の連中がどう足掻いても現生にはなんの影響も与えることができないというのが切なくて涙する。

intro

 

日本人にとっての「死」を描く

 「若くして死ぬ」というサブタイトルからも見て取れるように「死」を扱った本作だが、決して不快な思いをする映画にはなっていない。それにはしっかりと理由がある!「輪廻転生」つまり、仏教の考え方である生まれ変わりという考え方を深く掘り下げ物語の根幹に敷き、それを喜劇とブレンドしているからだ。

 クドカンは生まれ変わる入り口である地獄・餓鬼・畜生・修羅・人・天からなる六道の世界観を具現化してくれている。

 いったい六道とは何か?

 人間は現生での行いによって悪いことを積み重ねれば「悪業」を積み、地獄に堕とされる。堕ちた人たちは地獄で働かされ、毎週金曜日に閻魔大王の裁きを受ける。そこで、六道から1つ選ばれて生まれ変わる事ができる。生まれ変わりが可能なのは全8回。主人公たちはなぜか大抵「畜生」と判決され、あらゆる動物として生まれ変わり現生を生きる。動物としての一生を終えると、また地獄に戻ってきて、労働を繰り返す。(なぜ毎回、地獄なのかは定かではない)もちろんみんな天国である「天」と人間として生まれ変わることの出来る「人」を目指すのだが、それが8回までに成し遂げられなければ、地獄で鬼として一生を暮らさなくてはいけなくなるという設定だ。

640-2

 これはクドカンが生みだした世界ではない。しっかりと仏教の考え方として存在する。クドカンは太古の昔からある仏教の考えをベースに作品を作りあげている。もちろん、死後の世界がどうなっているかなんてわからないが、宗教とは目に見えない分野において人に希望を与えるものであり、その「死後の世界」を信じて生きるのと信じないで生きるのでは、人生が180度変わる。

 つまり、観客に対して「死は終わりではない。死は始まりにすぎない」という楽観的な思いに自然とさせてくれるのだ。

 宗教に馴染みがなく無宗教と言われているこの日本で、本作はそういう堅い話をわかりやすく説明し「死」という誰にでもつきまとう問題を扱いながら、観客に自然と希望を与えてくれる。結末は園子温、そして星野源ばりの「地獄でなぜ悪い」「あなたがいれば天国じゃないか!」という強烈な意味の込もるラストになっている。

 観ていてそこまで深い重い考えにさせないのがこれまたクドカンの偉いところ。残された側の人間として死んだ人間がこんな風に楽しくやってくれてると想像したら、少しは気持ちが楽になるじゃないか!!

 

 クライマックスのバトルあたりから…「あれ?ちょっと雑?」と思う気もするけれど、地獄とロックという新しい切り口だし、「死のその先」についてしっかり仏教をベースにやった映画ってなかなかないです。しかも、日本独自のエンタテイメントを追求するクドカン作品なんだから、上で記したような堅い話は抜きにして純粋に楽しめる映画でもあるから、ぜひ劇場へ!

 

 低いところから失礼しました!

新作『ノック・ノック』ネタバレありの感想文 〜素人男性のお宅に2人のビッチが訪問します〜

新作とはいえど、もう東京での公開は終わってしまっています……ごめんさい!

低いところから失礼します。ジャガモンド斉藤です。

 

『ノック・ノック』

解説とあらすじ

キアヌ・リーブス主演、「ホステル」「グリーン・インフェルノ」のイーライ・ロス監督によるサイコスリラーで、理想的な家庭を築いた良き父親が、一晩の快楽の誘惑から破滅へと突き落とされる様を描いた。仕事のため、家族と離れ、1人留守番をすることとなったエヴァン。その夜、ノックの音に玄関のドアを開けると、そこには2人の若い女性が立っていた。道に迷ったという2人を親切心から家の中へ招き入れたエヴァンは誘惑に負け、彼女たちと一夜をともにしてしまう。それはエヴァンの地獄への第一歩だった。「グリーン・インフェルノ」で初主演を務め、ロス監督の妻でもあるロレンツァ・イッツォが美女の1人ジェネシスを演じる。

 

はじめに

 なんの逆転もなく、悪はそのまま生き続けるっていう映画がある。そりゃ正義は勝つ!っていう方が気持ちよいんですけど、いい人間がやられっぱなしになっても面白い映画ってある。本作『ノック・ノック』はほんとそれで…。主役がキアヌってこともあって、逆転するかと思いきや全くしないで終わる。あ。ごめんなさい、この時点でネタバレっすね。とりあえず書きなぐっていきます。

 

監禁が大好き!イーライ・ロス監督

本作の監督イーライ・ロス

出世作となった拷問ホラー『ホステル』は人体に拷問することで快楽を感じる金持ち集団が拉致されてきた人々に片っ端から拷問していくという監禁映画。筆者が熱狂した『グリーンインフェルノ』は意識高い系大学生たちが食人族に拉致されて片っ端から食われていく監禁映画だった。

監禁!!!

主人公は絶対に逃げられない状況に追い込まれ、一方的に痛みを与えられていく。監禁している側が絶対的存在となり、監禁される側は服従するしか選択肢がないというこの「どうにもならない状況」の面白さを追求しつつも他ジャンルの要素をブレンドすることに成功しているのがイーライ・ロス監督!

本作は「誘惑・快楽とその代償」をテーマにとにかく一方的にやられていく(2つの意味で)映画だ!

s2dmcdnnet_9096023_19196684

 

こんな可愛い2人が来たら…ねぇ…??

まず結論から言おう!

こんな可愛い2人にあんなことされたら……やっちゃうよ!!!笑

あ。でも、おれはやんないよ!世間の男子だったら…ってことだからね!ね?ね?これはさ…女の子にもわかってほしいの!

脱線しちゃうけど、2人のビッチの片方が満島ひかりちゃんのフェロモンを倍増したみたいで超絶キュート♡

maxresdefault-1

こんな子がきてあんな事されたらさ…どりゃぁ…ねぇ…キアヌのこんな風にデレデレしちゃう気持ちもわかるよ!!!

224160

 

こんなに情けないキアヌ・リーブス見たくないよ!

こんなキアヌは見たことないよ!

 2人のビッチが言い寄ってくるときに発する童貞じゃないのに童貞感…!!もう女の子の目を見れないわけですよ。触られると敏感に反応して、すぐ違うイスに逃げちゃうし、途中で「自分、こんなにオープンな子に慣れてないっす。うっす」みたいな発言もある。

 誘惑に負けて結局やっちゃって、そのあと束縛されるんだけどね。散々ビッチにいじめられて「殺す」って言われたときのキアヌの逆ギレは最高!

「ふざけんなよ!あんなことされたらやっちゃうに決まってるでしょ!おれ悪くないだろ!」

観てるこっちもの「本当そうだよな…」と思いつつも狼狽えるキアヌに笑ってしまう。

そのあと拳銃を持つビッチズから逃げだし、キッチンへ。包丁とフライパンを手にしたのを見て「包丁はわかるけど、そのフライパンは何をしようとしてるんだ!キアヌ!」と愛らしくなってしまった。

355718_002

バスの爆破を防ぐために奔走し、ピストルの弾を止め、たった一人でマフィアを潰すキアヌはもういない!!!

o0460027612870590396 254aeb4e 23481

 

ビッチ二人にいきなりお宅訪問、支配され、最終的には穴に埋められる!!!

本作で見れるのは、そんな最高にキアヌなんです!

Knock_Knock-Keanu_Reeves-Ana_de_Armas-Lorenza_Izzo-007

 

カップルでは絶対に観るな!

 カップルで観に行かない方がいい!特に男はしんどいぞ!これは男性の教訓映画でしかないのだから!

 ラストでビッチが去り、家族が家に帰ってくるくらいのとき、筆者の背筋は凍りついた。これって死ぬより辛い状況になってるじゃないか…最悪の状況はここからだったのだ!!!たぶん、これをカップルで観るとなると、見終わってどっちが先に口を開き、何を言うのかが難しい。

男は口を開けばキアヌ側に立って言い訳をしたくなるだろう。女はそれに対して批判をする。

男「あの状況じゃ仕方ないよね」

女「は?じゃあ、ああいう状況になったらヤルわけ?」

男「いや、そういうわけじゃないけど…」

女「サイテー!!」

みたいになる。絶対なる!

ていうか、みんなそうなってほしい!!

f3df572f74706a636f91362800c0820c-620x413

 

結局、ビッチ2人はなんだったのか

 ずっと監禁されて緊迫感のある状況が続くが、クライマックスで結局これはビッチ2人の「遊び」だったということがわかる。テッテレ〜!ドッキリでした〜!みたいな雰囲気になるのだが…(遊びだとしたら、途中で死んだあの良いヤツは可哀想)あれ!?と筆者は思った。これって男性だけが勝手にとてつもない恐怖を感じているというとんでもなく恐ろしい映画なのではないか。

 先述したような男と女での本作の受け止め方の「ズレ」がここでも生じる。拷問されるキアヌを見て男性は恐怖を感じ、女性は「ざまぁ見ろ」と中指立てているのではないか…!? 

「やばい!殺されちゃう!」とヒヤヒヤしていた自分が馬鹿らしくなる息子のオチ台詞「パパ。パーティー楽しんだんだね」も用意されている!

 本作『ノック・ノック』は女性にとっては「誘惑に負けた男が狼狽する」コメディであり、男性にとっては「逆レイプしてきた女の一方的な拷問」というホラー。つまり、観る人間によって捉え方が変わるという傑作映画なのだ!!

 イーライ・ロス監督は前作からそうだが、得意な監禁・拷問描写を活かしつつも、全く違ったテーマをねじ込んできている鬼才!恐るべし!今後も監督の作品に期待したい!

 

低いところから失礼しました!

 

新作映画『日本で一番悪い奴ら』ネタバレありの感想文 〜ただの男が「悪」という「生きがい」を見つけてしまう物語〜

低いところから失礼します。ジャガモンド斉藤正伸です。

 

『日本で一番悪い奴ら』

解説とあらすじ

実在の事件をもとに描いた「凶悪」で話題をさらった白石和彌監督が、2002年の北海道警察で起こり「日本警察史上最大の不祥事」とされた「稲葉事件」を題材に描く作品。綾野剛が演じる北海道警の刑事・諸星要一が、捜査協力者で「S」と呼ばれる裏社会のスパイとともに悪事に手を染めていく様を描く。大学時代に鍛えた柔道の腕前を買われて道警の刑事となった諸星は、強い正義感を持ち合わせているが、なかなかうだつが上がらない。やがて、敏腕刑事の村井から「裏社会に飛び込み『S』(スパイ)を作れ」と教えられた諸星は、その言葉の通りに「S」を率いて危険な捜査に踏み込んでいくが……。暴力団と密接な関係を持ち、諸星に影響を与える村井役で、「凶悪」に続き白石監督とタッグを組むピエール瀧が出演する。

 

はじめに 〜主人公が成長しない映画について〜

 本作『日本で一番悪い奴ら』は主人公が成長する映画ではない。むしろ闇に堕ちていく転落劇。悲劇なんです。だから、そういったモノを求めていない人にはオススメはしません!すんげー面白いけど!!!

 主人公がスカっと成長していく映画ももちろん楽しいですけど、こういうグチャ!っと。ああ。人生って大変だと思い知るのも映画体験の1つ。世の中、成功体験の方が少ないわけですからね。あと、こういういわゆる悲劇って喜劇性をすんげー含んでるんだなって本作で改めて感じました。「悪とは滑稽だ」と言いますか。実は、「笑わそうとしない」ことが一番笑えますからね!!昔の東映がやってた深作欣二監督『仁義なき戦い』も事実を元に作られた映画でして、トーンとか似てるな〜と思ったんですけど、それよりもしっかり笑えます。

 とにかく筆者は大好きな種類の映画だったので、書きなぐっていきます!

 

最高の音楽によるオープニング

まず、音楽が最高!

 残念ながらネットのどこにも転がってないんですが、テーマ曲によるオープニングとか最高なんです。「チャラチャラチャララララ」みたいなチャルメラっぽいんですけど、悪いやつらの滑稽さと怪しさがうまくブレンドされていてこの時点でニヤニヤしちゃう!

 調べてみたら安川午朗さんという方が作曲でした。この人の仕事量すごくて、『GONIN』『白ゆき姫殺人事件』『凶悪』そして、ぼくの大好きな『残穢 〜住んではいけない部屋〜』もやってるんですよ。ド派手な音楽というよりもその作品の精神性をしっかり捉えた上で丁寧に音楽を作ってる気がします。

 この安川さんの音楽により「あ〜。これから楽しいこと始まるな〜」って、もうこの時点でワクワクできます!これ絶対面白いわってテンションがあがるんです。これって映画にとって最高のオープニングですよね。

nichiwaru_main

 

綾野剛くんが最高 〜日本の役者のこういう演技を待っていた!〜

 剛くん、すんげー好きになりました。本作で。やっぱり二枚目よりもこういうグチャっとした演技というか、やさぐれた荒い役がハマる!ハマる!今回は役作りで10キロ増量したり、あえて歯垢をためたりしたそうです。あと、ずーっとかすれた声を出してるんですよね。細身すぎて柔道やってたようみは見えないという指摘もしたくなりますが、ピエール瀧さんの「おい、青年」と呼ぶ気持ちがわかる!ヤワで真っ白な青年感があるんです。

 そして、ピエール瀧さん。主人公・諸星を墜落させるキッカケとなったお師匠さんのようなポジションなんですが、荒ぶれすぎず割としっかりとした喋り口調なのがイイ。この役柄ならもっと荒い演技してもいいはずなんですけど、あえて抑えてる。ヤクザじゃないですから。一応、公務員。このちょうど良い喋り方が逆に怖かったりする。ギャンギャン叫んで暴れられるよりも、淡々と話されほうが意図があるように見えて怖いんです。「あ。何か考えがあるんだな」と。怖い!そういう一面もありつつキャバ嬢のオッパイもんで「ぐっちょんぐっちょんに…」っていう台詞は特に最高っすよね。白石監督は前作『凶悪』でもそうでしたけど、頭に残るセリフが多い。脚本家の池上純哉さんはドラマの脚本を書いてる方なので、『凶悪』とは関係ありません。だから、このセリフのクセは白石監督の作家性なのかもしれませんね。

 中村獅童さんのヤクザも良かった〜。ヤクザの幹部なんすよね、どう見ても。それは落ち着き具合。今まで修羅場をくぐり抜けてきた感じがする。古き良き東映映画みたいなのはイマドキの役者さんじゃ無理かなとも思ってましたが、そんなこと無かった。

199350

 

周囲が彼を変え、彼が周囲を変える

 主人公の諸星って中身が空っぽなんです。柔道やってて、北海道警察からスカウトされてもはぁ…みたいな。意志が無い。真面目ではあるんだけど、善人なのかと言えば、そうでもない。周りに流されそのまま警察に入る。入った後もなぜ警察で働くモチベーションも「公共の安全を守り…」みたいなマニュアルのようなことしか頭にない。そういう空っぽな人間はどっちにも転びやすいから、一番危ない。

 ピエール瀧さんが彼を違法捜査になびいて行くわけですけど、完全にそっちへ踏み込ませるのは周囲の環境なんです。

 その象徴的なシーンが諸星が吸えなかったタバコを無理して吸ってススキノの街を闊歩するシーン。

 キャバ嬢からは「諸星さ〜ん!」と大人気。ヤクザは頭を下げ道を開け、若手は挨拶をしてくる。諸星の街だ!感が半端ない。タバコの煙でむせながらも街中を進み、振り返る…

スクリーンショット 2016-07-06 0.24.45

ココ!ココです!完全に諸星が調子付いた瞬間!

「俺の街だぜー!」

 次のカットでは衣裳がガラッと変わりますからね。完全に染まった諸星は次々と仲間を増やし、上司までもを巻き込み始めて「組織犯罪」という規模にまで広がっていくわけです。

 環境が諸星を変え、諸星がさらに環境を変えていくという連鎖が起きているわけです。

 ピエール瀧さんの導きもあったけど、それだけじゃない。周りの扇動によって、今まで受けたことのない注目を浴びて、舞い上がっていく。拍車がかかっていく。

 だかれこそ、この映画が映すのは薄暗ーい、汚ーい世界。正義であるべき警察のオフィスでさえタバコの煙でずっとモヤがかかってるんですよね。治安を守るはずの警察自体にモヤがかかっていてる。つまり、この映画で正義の味方は出てこない。他の場面も路地だったり、キャバクラだったり。漁船の上でったり、ホテルだったり・・・そんなシーンが続くわけです。

諸星の秘密の部屋

 綺麗な場所が1つも出てこないんですよね、この映画。ただ、映画の後半で諸星が帰宅し、ある部屋を開けます。そこには番号式のロックがかかっていて、厳重になっている。その部屋には今まで諸星が警察から受け取った数々の賞と拳銃。そこに黒革の大きなイスが1つ。そこに諸星は腰を下ろして心と体を休める。この諸星の秘密の部屋がこの映画で一番、純粋で神聖な場所なんです。この部屋って諸星の人間性を表現してると思うんです。どんなに外で汚れようが、彼を支えているのはこの部屋だけ。今までなーんにも無かった諸星に警察という組織は、生きがいを与えているわけです。

355482_002

 

悪とは一体、何か?

 本作を鑑賞していて、筆者が猛烈に連想した海外ドラマがあります。アメリカの名のある賞を受賞しまくった『ブレイキングバッド』

81021115 season1promo

 高校の理科の先生が末期ガンに。自分が死んだ後、残された家族に金を残すために科学の知識を活かした本格的なドラッグ作りに手を染めていき、その世界でのしあがっていくという物語。

 『ブレイキングバッド』の主人公であるウォルターも堅気でモラルを守る真面目な人間。このドラマの中でウォルターの象徴的な台詞があります。

「ガンになってから、よく眠れるようになった」

 これは、もちろんガンだけでなくドラッグ作りに熱中した上で、という意味合いも含まれています。ドラマを全話コンプリートしていただければわかるんですが、本ドラマはウォルターという男が「使命」に目覚めてしまうという物語。晩年になって生きる場所、安息の地を見つけるんです。そう説明するとキレイな話に見えるかもしれませんが、ドラマの中盤で「悪とは何か?」と考えさせれる。ドラッグを作り、売るというのは社会的には法に触れているので犯罪。だけど、国をまたげば違法ではない国だって存在するわけです。

 じゃあ、悪とは一体何なのだろう。

 単に法律を守ればいいのだろうか。

 社会が決めたラインを越えなければ悪ではないのだろうか…。ドラマを観ているとそんな葛藤にかられるし、日に日にイキイキと輝き出すウォルターを見ていると、なんだかモヤモヤした気持ちになる。誤解してほしくないのは本ドラマはドラッグを薦める作品では決してありません。結局、法律を犯し続けたことによって全てを失う男を描いています。諸星だって結局は、引いていた越えてはいけない一線を自身で飛び越えてしまうわけですから…。

 本作『日本で一番悪い奴ら』にも「悪とは何か」という点でも通ずるところがあります。「正義とは何か?」ってよくあるテーマですが、「悪とは何か?」ってなかなか無いテーマだったりするんです。そういうテーマを描くことによって結果的には正義ってなんだろうと考えている。逆を描くことでこっちが浮き彫りになるんです。

 たとえそれが犯罪だとしても、諸星は生きがいを見つけてそれによって墜落していきます。

 指摘として「日本で一番悪い〜」とは言いつつも殺人を犯してるわけでもないからそうは見えないという意見もありますが、1人の殺人鬼よりもおそろしいのは、警察というデカイ組織が犯した罪が結果的に何万人もの人たちの人生を狂わせていくという点です。直接的に誰かを不幸にするわけではありませんが、規模がデカイ。どの罪の行き着く先は多くの人の不幸な訳です。

 

 「日本警察史上、一番の不祥事」と予告編にありますが、こういった日本の組織犯罪の事実を映画化する試みってなかなか無いです!

 本作のラストで、出るその後の話を読むと「え〜…まじかよ」と思わず口に出してしまう。ストーリーは重厚ですが、笑える演出がたくさんあるためすんごい観やすいです。この手の映画苦手だな〜という人でも観れると思うので、ぜひ劇場でご覧ください!

 

 低いところから失礼しました!

 

本作、気に入ったならマーティン・スコセッシのこの2本を是非!

poster2 imgres

夏だからホラー映画について片っ端から書きなぐる!③『貞子3D 2』〜貞子2世は無敵の殺人ハッカー〜

 「低いところから失礼します」とか言ってるけど、めっちゃ上から目線のブログだよねって周りから言われます。笑

 はい、だいぶ偉そうなこと言ってます。でも、根本的に「映画人」を死ぬほど尊敬しているんです!

 壮大なビジョンを保ち複雑かつ具体的なイメージを具現化する監督。求められているものを肌で感じ、理解し、自由勝手にやるのではなく、あくまでその作品の1つのピースとして役を演じる出演者。そして、何より本編で少ししか映らないような部分にまで最大限の気を配り、映画の世界観を構築する現場のスタッフの皆々様!…「芸人が何を知ってるんだ」と思われるかもしれませんが、一時期CM制作会社に勤めていたを過去を持つ筆者にとってはその苦労はわかっているつもりです!!!(本当の苦労を知れたところまで働いたとは言えませんが…)

 とんでもない時間とお金と人をかけて、綺麗事ではない映画制作を職業にする映画人を本当に心の底から尊敬しているし、強烈な憧れをいだいているんです!!!

 だからと言って、その映画に対して思ったことを口にしないか…といえば違う。それは映画に対して失礼だからです。

 映画は観る人がいるから成り立つ。観て、感じたことをハッキリ言葉にして記す。話す。そこで初めて、映画が完結するのだと思うのです。正直「つまらなそう」と思った映画でも真剣に鑑賞しますし、できる限り調べて、考察します。その上で思ったことを発信しています。

 この「低いところから〜」という一行にはそういった尊敬と憧れの念。そして、「自分ごときですがすんません!!!」という想いを込めています。

 前置きが長く長くなりましたが、参りましょう。

 低いところから失礼します。ジャガモンド斉藤正伸です。

 

今回は、「夏だからホラー映画について片っ端から書きなぐる!」の第3弾!前作の印象が強烈だったので、こちらを取り上げます!

 

『貞子3D2』

あらすじと解説

ジャパニーズホラーを代表する恐怖のアイコン・貞子を3Dで描いた「貞子3D」(2012)の続編。謎の大量死を引き起こした「呪いの動画」事件から5年、安藤孝則との間にひとり娘の凪をもうけた鮎川茜は、出産時に命を落としてしまう。孝則は妹の楓子に凪を預けて娘と距離を置いていたが、そんなある日、「呪いの動画」による死亡事件が再び起こるようになる。それらの死がすべて凪の周辺で起こっていることに気付いた楓子は、5年前の事件について調べ始めるが……。前作に続き「リング」シリーズの原作者・鈴木光司によるオリジナルストーリーを、英勉監督のメガホンで映画化した。NHK連続テレビ小説「てっぱん」で知られる若手女優の瀧本美織が楓子役で主演。

 

はじめに 〜かつての『リング』の面影はなし〜

 リングシリーズ第5弾!とは言いつつも、本作は貞子が全然出てこない。というのも、貞子を後継者「凪」についての物語だからだ。貞子が出てこないゆえにシリーズの中で一番「リングを観てる」感が皆無。貞子以外の要素でも『リング』感を感じることができない要素があります。それは、呪いを伝達する媒体の問題。前作からそうでしたが、「呪いのビデオ」という言葉はもう使われず「呪いの動画」というふうに変換されています。98年『リング』当時のビデオという一般家庭に当たり前のように存在するアイテムが、今ではネットに変わり、そのネットを媒体に呪いが連鎖しているという設定です。

 正直、これはやむを得ない処置でしょう。2013年に「呪いのビデオ」が流行っていても、未だにビデオを使っている可能性がある(だいぶ低い可能性)おじーちゃん、おばーちゃん中心のターゲットになってしまう。お年寄りだけが呪い殺されていくホラー映画って、成立しませんからね(それはそれで観たいけど)もしくは、架空の離島や村を舞台にして……それでも、無理がある。少人数規模のコミュニティ内で呪いが漫然しても小規模な話になっちゃう。もしくは90年代に主人公たちがタイムスリップしてビデオが当たり前の世の中で、貞子の呪いを受けるとか…もうめちゃくちゃになります。「呪いのビデオ」という要素をそのまま活かそうとすれば、とんでもない設定を用意するしかなくなります。

 98年の『リング』は当たり前のように存在するテレビとビデオを呪いのアイテムにしたことが画期的でした。観終わって家に帰っても映画に登場する呪いの媒体が家に存在する…これって怖いですよね。ただ、それだと通用しないからネットとパソコンに移り変わった。たしかに日常で使用するアイテムという点では、同じなのですが、貞子はもともと超能力者でその「念写」によってビデオに刻まれるというのがリアリティがあったんです。ネットとパソコンだとハイテク感、デジタル感が邪魔して信ぴょう性がなくなるんです。

 

貞子2世は殺人ハッカー 〜ルール無用!人、死にまくり!〜

 『リング2』のコラムで「貞子は職人」だというふうに書きましたが、その時の面影はありません。元の『リング』は、ビデオを観る→電話がかかってくる→きっちり7日後のビデオを観た時間と同じ時刻に貞子に殺される。というとっても律儀な呪いをしてくれてたんです。この正確さで殺しを繰り広げる貞子は職人気質な幽霊さんなんです。

 本作では貞子2世はパソコンや携帯に触れるだけで、その使用者を瞬殺することができる!携帯に触れる→使用者は呪われてゾンビ化する(この理由がわかりませんが)→周りを巻き込んで死ぬ

 これもはや殺人ハッカーですよね!無敵の!サイバーテロですよ!この要素はpart1でも垣間見えましたが、本作でレベルが上がってます!ただ、この「殺人ハッカー」化によって本来『リング』が持つ「死までのタイムリミット」が無くなり、緊張感がない。

 つまり、もうこれ僕らが知ってる『リング』じゃないんですよね。

 

 

愛せないキャラクターと筆者の嫌いな現実と幻覚の演出

 上記のように『リング』じゃないな〜っと思いながら観てるわけなんで入れ込めないんですが、それよりも気になる点がありました。

 映画に出てくるキャラクターが誰をとっても可愛げがないんです。誰も愛せない。最初に殺されちゃう奥さんは何だか「さっきまで悪いことしてました」感がやけに強いんですよ!なんでだろ?意味深な表情をしてる。なんか企んでるのかな?って疑っちゃうほど。そのあと現場に駆けつける刑事は不謹慎だし。その後輩刑事は乱雑。家政婦は無駄に意地悪。なんで、そんなにひねくれてるんだお前!っていうくらい意地悪!てか、こんな家政婦を雇うなよ!凪ちゃんを診断する心理学の教授は教壇に立つ資格がないんじゃないかってレベルで役に立たない。

 けど、美織ちゃんは怯えてる姿が可愛い!守ってあげたくなる!

A0003831-00 0_63791100_1377495849

 こういうのって作品のノイズになるんです。いくらストーリーがよくできていても、キャラクターが邪魔いてくる。スムーズに観れない。いちいち「は?なんだこいつ」と思わせるわけですから。

 ノイズはもう1つあります。

 っは!と目が覚めて夢か。的な演出の仕方に苛立つんです。現実と幻覚どっちかわからなくなるみたいなやつです。別にこれ自体は否定しないんですが、この映画そういったシーンが多い割にどこまでが「現実」で「幻覚」なのかという演出がメリハリが全くない。「幻覚」のあとに「現実」を見えるならしっかりやってほしい。

 例えば、主人公が家で凪ちゃんに襲われるという幻覚を見るんですが、そのあと現実に戻った時ちゃーんと凪ちゃんを映すべきじゃない?そうじゃないと今回の凪ちゃんの「本来の姿」と「周りの偏見」の対比ができない。ここを明確にすればもっとグレーになって「え?どっちなんだろう?」ってなるわけで。一方的すぎて凪ちゃんは悪い子なんだと思ってしまう。疑う余地なし。

 それに加えて、人物の配置とかカットのつなぎが雑すぎてそれも混乱の元!「え?なんでこいつがここにいるの?」とか「え?この子はどこから落ちたの?」っていちいちわからなくなる。

「いやいや、幻覚だから」とか言われても観ずらいんだから、直して!!!ほんとにノイズになる。

 

前半ダラダラ。後半から……あれ?面白い!!

 このように前半はダラダラしててナメていた筆者。しかし……後半から脚本の伏線が回収されていき、二転三転する展開に「あれ!?面白い!」と思ったのは事実!!!これ本当!!!観ていて、「え?そうだったの!?」って声をあげてしまった。油断した……!!!上記で書いたノイズも真犯人を隠そうとする作り手の意図による影響だと思うんです。(そうじゃない部分もあるけど)

 ただ、ここで筆者が言う「面白い!」はホラー映画としてではなく、ファンタジーとしてです。意外にも、目に見えない世界での話になっていくんですよ。このスケール感が筆者は好き!全く怖くないし、ノイズだらけでストレスは溜まるんですが、話の展開は好き!

 だから、あえてコラムではネタバレ全くしてません!楽しんでほしいから!…観る人いるかな?笑

 ちなみに前作のあらすじさえ知っていれば、十分楽しめるんでこれだけ単体で鑑賞しても良いかもです。

 

 低いところから失礼しました。

 

関連記事⇩

新作映画『貞子 vs 伽倻子』ネタバレありの感想文 〜山本美月はこの勢いで世界を救うヒーローになる!〜

夏だからホラー映画について片っ端から書きなぐる!① 『リング2』(1999)感想分 〜怖くない理由がちゃんとある〜

 

新作映画『10 クローバーフィールド・レーン』ちょっとネタバレしてる感想文 〜不快なデブが牛耳るテラスハウス〜

CMやチラシで内容を判断して映画を観ると、良い意味でも悪い意味でも、とんでもない裏切りに合うことが多いよね!

低いところから失礼します。ジャガモンドの斉藤正伸です。

 

『10 クローバーフィールド・レーン』

poster

 

あらすじと解説

「スター・ウォーズ フォースの覚醒」の監督で、ハリウッドきってのヒットメーカーとして知られるJ・J・エイブラムスがプロデュースした謎のSFサスペンス。恋人と別れた女性ミシェルは車を運転中に事故に遭い、気を失う。気が付くと見知らぬシェルターの中で目を覚まし、そこには「君を救うためにここへ連れてきた」と話す見知らぬ男がおいた。男はシェルターの外の世界はすでに滅びたと主張し、ミシェルと男の奇妙な共同生活が始まるのだが……。ミシェル役は「ダイ・ハード」シリーズでジョン・マクレーンの娘ルーシー役を演じたメアリー・エリザベス・ウィンステッド。監督はこれが初長編作となるダン・トラクテンバーグ。脚本に「セッション」のデイミアン・チャゼル、製作総指揮に「クローバーフィールド HAKAISHA」のマット・リーブスが参加。

 

はじめに 〜日本の宣伝に騙されるな!〜

「洋画を宣伝する日本のポスターとかキャッチコピーってセンス無い」って最近すごい思うんです。

 お客さんを入れるために、映画の内容をわかりやすくしようと「変換」して宣伝してるんですよね。海外に比べて日本は映画のライトユーザーが多いから、「わかりやすく」伝えるためには仕方ないことなんだけど。もう少しなんとかなんないかって思う。ただダサいくらいならまだしも、宣伝によって、映画を観る前のイメージに変な影響を与えて、観た後に「思ってたのと違ったわ…」って思われちゃうのって損。そういう感想って、ほとんどが事前にチェックした宣伝と違うから生まれるクレームなんだと思うんです。本作『10 クローバーフィールド・レーン』もその1件。

左が日本版のポスター。右がアメリカのポスター。

320 poster

 アメリカ版ポスターの方が、作品の謎めいた雰囲気が伝わるし、タイトルロゴの下に伸びてる線も劇中の舞台となる地下のシェルターを彷彿とさせてくれて、本作のポスターらしく仕上がっている。けど、日本版のポスターは……うん。実際、観ればわかるけど、こんな追いかけっこするような映画じゃない!でも、わかりやすいのは日本版なんだよなぁ。もし左の印象でSF超大作を観れると思って、本作を鑑賞すると悪い意味で裏切られる。しかも、本作は「何の映画かわからない」という状態で観ることが一番良いので、観るつもりの方はここで読了ストップ!(けど、読んでくれてありがとね♡)速攻、映画館に駆け込んで頂きたい!

 

「ソリッド シチュエーション スリラー」というジャンルの応用

 上記で記した「何の映画かわからない」という宙ぶらりん感覚は本作のコンセプトにマッチしている。映画の冒頭、主人公ミシェル(メアリー・エリザベス・ウィンステッド)は結婚が嫌になって車で逃避行!その途中に事故に遭い、気づけば見知らぬ地下室に…。手錠で足を固定され、身動きが取れない状態になっていた。そこへ見知らぬ男 ハワード(ジョン・グッドマン)が現れる。「君の命を救った。世界は大規模な襲撃を受け、外に出ることは危険だ」と告げられる。主人公は何を信じたらいいかわからない混乱状態に陥る。テレビはない。携帯は圏外で全く電波が入らない。もちろん、インターネットもなく、窓さえない外部と完全に遮断された状態に閉じ込められる。つまり、主人公ミシェル自身も「何が起きてるかわからない」のだ。予告編やポスターさえ観てない人間が本作を鑑賞したら、主人公と全く同じ心境に立ち完全に追体験することができる。

ux1urf56ar819hass9xo

 この設定は「ソリッド シチュエーション スリラー」という一時期、流行ったスリラーのジャンルの手法だ。代表作で言えば『キューブ』や『ソウ』シリーズなど。密閉された空間の中にいきなり主人公が放り込まれ、そこへ行き着いた理由を探ったり、脱出を図ったりする映画のジャンルをそう呼ぶ。

 この手の手法は観客を惹き込みやすい。画面に映し出される情報や登場人物(特にその空間で主権を握る人物)の台詞に対してとんでもなく集中するからだ。なんとか少ない情報からヒントを得て謎を解こうとする観客の心をつかんでいく。本作は、このシチュエーションに加えて、面白い点があるので、バシバシ書きなぐっていきたい!

 

ジョン・グッドマンの好演 〜推測できる彼の過去。元はいい奴だったんだよ!〜

 見終わった後に「デブいやだ〜」って思うのが本作。上記で記した主人公ミシェルと同じく地下シェルターの同居人であるエメット(ジョン・ギャラガー・Jr.)を牛耳るのは元海軍(自称)のハワードを演じるのジョン・グッドマン!

eigacom_20160619002_0

 映画の舞台である地下シェルターに全財産をつぎ込み、その王国で生きる者にルールを強制しているハワード。もし従わなかったり、彼の機嫌を損ねる態度をとれば、とんでもない圧を感じる巨漢パワーでぶちギレる!これ、監督がいやらしいのはハワードのまるまる太ったお腹を必要以上に寄って撮影するカメラアングルを多用したり、デブならではの荒い息遣いまでハッキリ聞かせてるところ。生理的に嫌!!!と観客に感じさせる演出が巧み。また、ぶくぶくに太った体格もストーリーの展開にしっかり活きてる。ミシェルが逃げ出そうとするシーンが幾たびかあるんだけど、ミシェルの気持ち……わかるよ!「このデブなら逃げ切れそう」っていう希望がよぎっちゃうんだよね!

 でも、こういう人類の終末論的な本をどっぷり読んで、もしもの時に備えてる人っていると思う。ここからは推測なんですけど、ハワードってもしもの時のシェルター作ってるおっさんでもあるけど…海軍に身を捧げて、きっとベトナム戦争とかイラク戦争(性格な年齢がわからないので判断できず)でとんでもなく心に傷を負ってる。結果的に家族で失敗している。もしくは、家族を作れなかったんですよ!きっと!!!だから、今更ながら仮の家族を無理矢理、構成させようとしてるんだけど「軟禁」という手段を用いらなけらば接することができない。愛情表現ができない。「失う」という事を常に恐れてるんです。不安なんですよ!ハワードは!そんな過去を持っている。(そうでなければ、ただの変態オヤジ!!!)

 で!こんなハワードを救ってくれたのが今回の「未知の襲撃」なんです。これによって「拘束」する大義名分が出来た。外出させないことを正当化できる非常事態な訳です。人生で1番気持ち良く「ここから出るな!」と叫ぶことができる。よかったな…!ハワード!名作『未知との遭遇』で「未知」が人を救うということはありましたが、本作のようなある意味での「救い」は今まで観たことがありません。(救いと言っても一時的で一方的ですが)

 ちなみに、この生理的にきついデブが主人公を監禁するという設定はトラウマ映画『ミザリー』を思い出させる。

20150408105853  misery

 主人公は「ミザリー」という本を書いている小説家なんだけど、その熱烈ファンがこのおばちゃん。作者を監禁して、「私の思う通りの展開にしなさい!」と強制的に小説を書かせるというとんでもない映画なんだけど、『10クローバフィールドレーン』を気に入ったなら『ミザリー』も要チェック!

 

オシャレな家もオシャレな車も無い。地下シェルター版「テラスハウス」

 そんなハワードが家主なわけだから、もう1人若い男が同居人となればそりゃもうお互いの想いが交差しまくる愛憎劇。こりゃもう「テラスハウス」な訳ですよ。

01b25054754731ca518457f23feffc55-1 160227cloverfield2not ClKZTpMVEAIHlPT

 

 上記の予告編を観ればわかるけど、なんやかんやあるんだけど一山越えてシェルター生活をだいぶ楽しんでるんです。このシェルターはハワードがめんどくさいことを除けば快適で理想的な物件でございます。「隠れ家」っぽいんです!窮屈なんだろうけど、ワクワク気分。このシェアハウスでの共同生活は3人の想いを察知すればするほど楽しめる。2回目鑑賞したい!オチもすべてわかってるから、チュートリアルの徳井さんやYOUさんらのような解説気分で本作を観ることができる。さて、この3人の運命やいかに…!?

 

「気まずい映画」の傑作

 筆者は「気まずい映画」が大好物である。

 正確にいうと、観ていて「気まずーーーー。ツラーーーー…!」と冷や汗かくシーンが大好きなのだ。

 これは心理サスペンスやミステリーにももちろん多いのだが、「動」の多いアクション映画にこそこの気まずいシーンはよく活きる。黒澤明監督の名作時代劇『用心棒』や『椿三十郎』にも気まずいシーンがあるし、最近で言えばタランティーノの『ジャンゴ 繋がれざる者』のレオ様による人種に対する偏見スピーチは劇場でソワソワしてしまった。

376075l 1fe6769e741ef5f7ed8b956e52dd09ad  o0500024913185804185 

 淡々と描かれてるように見えて、登場人物の心がぐちゃぐちゃぐちゃ〜って動いてる様子を描くのは映画にしかできない表現だ。「静」のシーンに見えて心の「動」く。観てるこっちは「ぅっわ。やっべ〜…大丈夫…!?え…どうなるの??」とドキドキしてしまう。こんな最高の緊迫感を生み出してくれる監督と役者さんに拍手喝采である!

 本作『10 クローバーフィールド・レーン』にも先述した通りのテラスハウス状態も相まって「気まずいシーン」かある。劇場の大スクリーン、大スピーカーでないとこの上質な気まずさは味わえない!ぜひ主人公たちと一緒に「う〜わ、気まじ〜。つらー」っと共感して頂きたいのだ!

00-top

 しかも、本作はこういうシーンがめっちゃある!今年度公開の映画ランキング部門別があるのなら「キング・オブ・気まずい映画」だ!

 おめでとう!!!

 

 スターウォーズ 新シリーズの監督を勤め、今後の『SW』シリーズも手がける乗りに乗ったJ・J・エイブラムスが仕掛ける『10 クローバーフィールド・レーン』を是非、劇場でご覧あれ!

 

低いところから失礼しました!

夏だからホラー映画について片っ端から書きなぐる!② 『残穢(ざんえ)住んではいけない部屋』絶賛!ネタバレ無しの感想文

低いところから失礼します。ジャガモンド斉藤正伸です。

夏だからホラー映画について片っ端から書きなぐる!の第2弾でございます。

今回、扱うのは今レンタルビデオ屋さんで取り扱われている新作!

200

『残穢(ざんえ)住んではいけない部屋』

あらすじと解説

小野不由美による第26回山本周五郎賞受賞の同名ホラー小説を「予告犯」「白ゆき姫殺人事件」の中村義洋監督により映画化。小説家の「私」に、読者である女子大生の久保さんから届いた一通の手紙。「住んでいる部屋で奇妙な音がする」とい書かれたその手紙に、好奇心から「私」と久保さんが調査を開始する。そこで明らかとなったのは、その部屋の過去の住人たちが転居先で自殺や無理心中、殺人などさまざまな事件を引き起こしたという事実だった。彼らは、なぜその部屋ではなく、さまざまな別の場所で不幸に遭ったのか。「私」たちは、ある真相にたどり着き、さらなる事件に巻き込まれることとなる。主人公の「私」役に竹内結子、久保さん役に橋本愛と人気女優が共演し、佐々木蔵之介、坂口健太郎、滝藤賢一らが脇を固める。

 

 筆者自身は劇場公開時に足を運び、「こえ〜!そして懐かしい〜!」という思いでもう一度、足を運んだ。

 本作の監督である中村義洋さん。中村さんは1999年から未だに続く人気ホラーオリジナルビデオ『ほんとにあった!呪いのビデオ 〜一般投稿により寄せられた戦慄の映像集〜』の初代 構成・演出。そして、なんと言ってもナレーションを務めているのだ!この『呪いのビデオ』は筆者が1998年『リング』に激烈にビビってた時と同時に流行っていたシリーズで、目を塞ぎながら親戚や友達と一緒に家で鑑賞していた青春のトラウマ映像作品なのだ!知らねーよ!って思う人もいるだろうけど、下記にリンクさせたYouTubeの映像を観てもらえれば「あー。こんなタッチ観たことある」ってなるはず…!下の動画は、今回の『残穢 〜住んではいけない部屋〜』の別バージョン予告なのだが、なんとファンにはたまらない『呪いのビデオ』タッチで作成された予告編になっている!

 

このスタッフルームにカメラが入ってインタビューする感じ、問題の映像を「Replay」する構成…そして、何より独特のナレーション…

 

「それでは問題の映像をご覧いただこう」

「おわかりいただけただろうか」

「…とでも、言うのだろか」

 

この名ナレーションがたまらない。

 

『呪いのビデオ』はノンフィクションタッチだ。他のホラー作品とは違って「作りモノではない」という提で作られてる。その前提が怖い。実在するものを扱っているから。構成においても最初から「問題の映像」を見せないのもうまい。視聴者の興味を煽りまくって、良い意味で余計なインタビューなどを重ねて重ねて…そして、最後に映像を見せる。見てるこっちとしては、通常よりも緊張して集中しながら、その映像を観ることになる。

 この演出が当時、画期的でとてつもなく怖かった。一般の投稿者から送られてくる的なTV番組はほとんどこの手法を使っている。もはや、ホラー作品のマスターピースだ。

 そんな『呪いのビデオ』の構成・演出を担当した中村義洋(監督)and 鈴木謙一(脚本)がタッグを組んでホラー映画を撮ったとなったら観るっきゃない。そして、観てみたらこれが大当たりで最高に面白くて怖かった。

 最近のJホラーは「わっ!べろべろばー!」と驚かせるものが多い。『リング』や『呪怨』などの公開当時の盛り上がりは今では皆無。どんどんネタ切れになっていき、とにかく幽霊を出しまくるという飽和状態に陥っている。が、本作はそういった路線からの逸脱に成功している。

 

ホラーとミステリーの掛け合わせ

 本作はその『呪いのビデオ』の手法を映画にトレースすることに成功している。

 これは『リング』にもあった要素だが、本作はホラーというよりミステリーに近い。怪奇現象が起きるアパートを調べていくと、建物では無くその土地に原因があることがわかり、より深く調べていくとずーっつ前に住んだ人たちの怪事件まで辿りつく。張られていた伏線が少しずつつながっていく。点と点がつながっていくごとにミステリーとしての鳥肌とホラーとしての怖い鳥肌が同時に襲ってくる仕組みになっている。普通、ホラー映画で悪霊が出て来れば霊媒師を読んで退治したりとか呪いを解く方法を探していくのがベタだ。要はいかに「避けるか」ということが話の主軸になっていく。だが、本作は竹内結子演じる主人公「私」はホラー作家で、その「私」へ手紙を投稿する橋下愛演じる久保さんは大学のホラー研究会のメンバーだ。(この設定は後出しなので違和感があるが…)つまり、その問題から避けることをしない。追求して深入りしていく展開になっている。観客も怖いんだけど真相を知りたいからどんどんのめり込んでいく。観客は私と久保さんと同じように推理しながら、追体験として作品を楽しめることができる。

353459_004

 

アイドルは叫ばない

 日本のホラー映画の常になってきているのが「女優やアイドルが主人公で叫ぶ」というお決まりのコンセプト。もちろんこの手の映画に美少女はかかせない!おっさんが悪霊に追われてギャーギャー行ってるよりも画になるし、男性にとっては美少女の方が…なんというか…燃える。本作にも竹内結子と橋下愛が登場しているのだが、全く叫んだり逃げたりしない!上記のような設定も相まってとんでもなく淡白だ。言っちゃえば地味。肝が据わってる。そう。これでいいんだ!

353459_002

 

フィルムの不鮮明さが生み出す「恐怖」

 本作で筆者が個人的に一番恐怖を感じるのは「穢れ」の原因を辿って行き着く昭和より以前の話。その頃の回想シーンや当時の写真やイメージが出てくるのだが、この「古さ」が異常に怖い。最近1998年の『リング』を観て思ったのだが、当時のカメラのフィルム感が映画の恐怖を倍増させている。ザラザラした画面がやけに怖い。今はすべてデジタルになって何もかも鮮明になりすぎて、恐怖が半減している。映像にしろ写真にしろフィルムで不鮮明だからこそ不可解なものが映るリアリティが生まれる。本作はもちろんデジタルで撮影し、古い映像もそういったエフェクトで古く見せてるんだろうけど、そのエフェクトが上手い。映像もそうだが特に写真。昔に資料をめくって貼ってある写真をアップするカットはかなり不気味である。

 

いろいろ書きなぐったが、本作『残穢(ざんえ)住んではいけない部屋』は近年のJホラーとは一線を画す大傑作だ!

ちょっと地味で物足りない印象もあるが、後を引く怖さというJホラーらしさがしっかしある。

ぜひご覧あれ!

 

低いところから失礼しました。