映画『淵に立つ』感想文 〜コップのフチ子をイメージしてたら痛い目に遭いました〜

淵(ふち)と聞くとコップのフチ子ちゃんを思い浮かべてしまうが、そんな可愛いことを連想して鑑賞した本作にボコボコにされました。6FAA48BA-90B5-428D-B9FE-FABDD8B62B6F-13607-00000F4837A31485

 

金属加工の小さな工場を営む父母、娘の平凡な一家に男(浅野忠信)が1人現れる。

どうやら父(古舘寛治)の旧友でかつ久々の再会。

 

父「痩せたな」

男「あそこにいたら、痩せますよ」

 

昔の友人であるはずの相手に習慣で身についてしまったという敬語をぶつけるおかしな距離感。

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その日から浅野はこの工場で働き、家の居候に。動揺する母(筒井真理子)だったが、寡黙で誠実なこの男に次第に惹かれていく。どうやら、この男は殺人の罪で長い間刑務所にいたらしくさらに犯行現場にはなんとまぁ、父がいたらしい。

男は父が共犯者であることを伏せ、何年も自分1人で刑を受けていた。何も語らない父だが、どうやらこの男に恩ととてつもない罪悪感を感じている。

 

「俺が捕まってる間にお前は女作って、娘もいて普通の暮らしをしやがって」

 

突然、ブチキレた後に「冗談だよ」と開き直る男に嫌な予感がする父。

その予感は最悪の形で現実と化す……。

 

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元々、家族の中で流れる不協和音が浅野忠信によってより乱れていくこの作品はタイトル通りとてつもなく不安定な気持ちにさせられるヤベェ一本だ。

 

隠れた色気をちょい出しする母・筒井真理子や語らなすぎる父・古舘寛治の愛はあるのに鈍感というか無神経さは絶妙。

そして、浅野忠信が不気味すぎる。

電気を付けたまま就寝した男を見つけ、母が気遣って電気を消す場面。

「うううううううああああああああっ!」

つって浅野が飛び起きる。

「ごめんなさい…。電気消えてると寝られないんです」

いやいや、怖すぎるし、ちょっと面白いじゃないか!

習い事をサボる娘を見つけて「行かなくていいんですか?お母さん悲しみますよ」

娘にまで敬語。

夜中まで自分が殺めた青年の遺族に手紙を書いたりと、あれ?こいついいヤツ?うまくいってなかった家族に現れた居候が潤滑油となって、家族を本当の家族にするちょっぴり不思議だけどホッとするコメディなのか!

そんな【少し変わったアプローチの逆寅さん】みたいな作品なんだと自分に言い聞かせてたら、事態はとんでもない方向に…。

後半のあるきっかけで男は居なくなるんだけど、その【不在】が際立たせる存在感が異常。家族の宿敵となっていく浅野が最初は物足りない家族にピタッとハマるピースとなり、皮肉な事に一時安定するが、とんでもない抜け方をする事でよりガタガタになる。

 

いないのに、いる。

 

この強烈な存在感が、観終わった我々の背後にもびたーっとくっつき回り、未だに離れずコップのフチ子ちゃんのように不安定なところに立たされている気分になる。

男はそんな状態の私たちの背中を押すような事はしない。見てる。じーっと見てる。

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本当に本当にお願いだから、ウチには来ないでほしい。

映画『大誘拐 RAINBOW KIDS』感想文 〜トトロのおばあちゃん VS 国家・警察・メディア・家族の痛快劇!〜

ある若者3人が富豪の老女である柳川とし子を身代金目的で誘拐!

しかし、その犯罪計画はグダグダ…。頼りない若者を押しのけ人質であるおばあちゃんが誘拐事件の舵をとり始める。

主犯3名が事前に考えていた身代金は5000万。一方、とし子の家族が考えていた身代金は3億。しかし……人質自身が考えていた額は100億円…!!!

事件はあらぬ方向に進み国家、警察、メディア、家族を巻き込む大騒動に!!!

 

あらすじを聞くだけでもう超面白いじゃないか!

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金持ちおばあちゃんを演じるのが『となりのトトロ』のおばあちゃん「メ〜イちゃ〜〜〜〜ん!」の声でお馴染み北林谷栄!

頼りない主犯の若者に関西弁で気合いを入れたかと思いきや、3人を孫のように可愛がり面倒を見る谷栄!このツンデレがかわゆくてたまらなく、彼女の情に涙が出るほど。日本国民誰もが理想として想い描くおばあちゃんだ!

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主犯3名を匿う役を演じる樹木希林のおせっかいで情にあつくどこにでもいそうなオバハン感がまずたまらない。1つ1つの仕草に思わずニヤニヤしてしまい最高。

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この5人に対峙するのが和歌山県警本部長を演じる荒々しいデカ・緒形拳。その下に従える通称「東京」を演じる嶋田久作。

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とんでもない贅沢な座組みによる対決だ!

 

誘拐組がマイペースに田舎の一軒家で過ごす一方で、家族、警察、メディアは大慌て。この両サイドのトーンのズレ。その同時進行がたまらなく面白い!

監督は、あの『シン・ゴジラ』に直接的な影響を与えた『日本の一番長い日』岡本喜八監督。

一歩間違えればチープなどたばたコメディになっていたところを警察側の嶋田久作によるナレーションを入れることで、客観的に展開を捉え事件性が持続されスリリングな状態が続く秀逸さ。カット割り、テンポのスピーディーさを優先し、物語の足を引っ張る感傷的なシーンを徹底的に削ぎ落とす監督の作家性がキレキレだ!

1993年の作品だが、ユーモラスシーンのセンスは非常に高く、カット割りのタイミングや役者の演出レベルも程よく今でも十分に笑える傑作娯楽!

おばあちゃんの目的がはっきりしなくてもいいと筆者は思った。先述した通り、日本国民誰もが理想として想い描くおばあちゃんというキャラクターには異常な説得力が備わっていて、その行動に理由がなくてもこっちが納得させられてしまう不思議なマジックがある。『サマーウォーズ』のおばあちゃんが良い例だ。

おばちゃんはその人生の重みを小さい背中で語ってほしい!

ゆえにそのおばあちゃん自身の考えや本音、目的を聞いてしまうと、逆に浅いキャラクターに見えてしまう場合もあるが、本作はその目的やラストが湿っぽくないし、原作がミステリーものということもありので、全然アリ。娯楽作品なので宙ぶらりんな結末は避けるべきだったのでオールOK!

 

国家、メディア、警察…つまり権力をもった者たちを社会の中では一番の弱者である老人と貧乏な若者が頭脳戦で翻弄し、出し抜いていく様は誰もがカタルシスを感じることのできるはず。邦画では数少ない娯楽作品の貴重な成功例です。ぜひ。

映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』感想文 〜楽しい‼︎面白い‼︎笑える‼︎泣ける‼︎ちゃんとダサい‼︎〜

本作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』を僕が中学生の時に観ていたら、エライことになってる。

きっと背伸びして、赤のロング革ジャケットを購入し、ウォークマンを聴き踊りながら通学するというとんでもない異端児になっていたに違いない!

 

今、観ても発狂熱狂してるんだから間違いない!!

 

本作はここ最近のハリウッド映画がやりがちな「暗い」「リアル」「シリアス路線」完全に無視して逆方向に進み、しかも爆裂に面白い!新世代(僕ら)とっての『STAR WARS』的作品だ!

77年に『STAR WARS』を劇場で観たオトナたちに対して、嫉妬心しかなかった筆者の心をジェームズ・ガン監督は吹き飛ばしてくれた!

俺たちにはコイツらがいるじゃんか!!!

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『スリザー』『スーパー!』といったジェームズ・ガン監督の決して王道とは言えない作品を以前から観ていた筆者にとって監督が作品で醸し出す面白くもあり、哀しくもある独特の作家性は最高に好みだった。そんな監督がいよいよ大予算のアメコミ映画を撮ると聞いて、いてもたってもいられず筆者は事前にサントラ購入し、聴きまくった上で初日に挑んだ。縦ノリしながら映画を観たのは初めてで、冒頭でも中盤でもラストでも高揚と感動で涙をボロボロ流した。

間違いなくこれは筆者にとって貴重な「体験」となったし、そういった意味でも筆者にとっての『STAR WARS』的伝説の名作となった。

 

 

いったん物語を追っていくことにする。

 

主人公のピーター・クイルの少年時代から物語はスタートする。

母からもらったSONYのウォークマンと母制作のテープを聴きながら暗い表情で病院の廊下に座るピーター。

女手1つで自分を育ててくれた母親が病のため床に伏せており、今にも死にそうな状況だ。ふさぎこんでいたピーターに祖父が手を差し伸べ、母のいる病室へと向かう。髪は抜け落ちやせ細ったベッドに横たわる母。

「ピーター、プレゼントがあるわ。ママが死んだら開けなさい」

1つの小包を受け取るピーター。もうママは虫の息だ。

「…さぁ、ピーター。私の手をつかんで……」

すっかり痩せ細ってしまった手を差し伸べる母。しかし、ピーターは母の手を握ることができない。さぁ早くと祖父に急かされるが強情に拒否する。この世で最愛の人である母との永遠の別れを受け入れることができない。

 

「ピーター……」

 

心配停止の電子音が鳴り響く病室。

事実を受け入れられないピーターは泣き叫びながら、病院の外へと走り出し、座り込んでしまう。

 

お母さんが死んでしまった……

 

すると上から宇宙船が現れる。ピーターは白い光に包まれてさらわれてしまう。

 

なんというプロローグ!!!

 

母の死という悲しみを受け切れない小さなピーターの悲劇と宇宙船の襲来という高揚感アリアリの娯楽性。この作品がこの両面を兼ね備えているというジェームズ・ガン監督らしい宣言だ。

 

数年後、ピーターは銀河に散らばる廃品や宝物を奪うアウトロー!【スター・ロード】として宇宙を飛び回っていた。ひょんなことからアライグマ、喋るでかい木、ムキムキ野郎、緑女(超セクシーです)と銀河を救うための冒険が始まる!

ストーリーはありがちだが、マシーンや宇宙描写の新鮮なカラフルさ、ピーターが大事にしていたウォークマンから流れる70年代ロック・ミュージックの豊かさ、ジェームズ・ガンによる洗練された脚本によってとんでもない名作となった。

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(ちなみに、母からもらったウォークマンを肌身離さず持ち運ぶというアイディアは監督が1度脚本を書き上げたあと「何かが足りない」とリライトし、その時に思いついたアイデアだし、宇宙船や世界観の提案も監督が自ら行っているので、ジェームズ・ガンのセンス万歳!)

 

本作は絶頂の勢いをかましているアメコミ映画の人気シリーズMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)に関連づく1作品ではあるが、他作とは比べ物にならないくらい激烈に面白い。

先述したように流行りの「暗さ」を映画全体から払拭し、ユーモラスな味付けがしっかりされている。タイトル通り銀河の守護神なわけだから、銀河が滅ぶ危機が訪れてそこに立ち向かうわけだが、その緊迫感を邪魔しないユーモアのバランスがお見事。一歩間違えれば、ただのおふざけになってしまって、吐き気を催すできになっていたはず。(『アイアンマン』が当初、良い力の抜き方をしていたが、現在は極度の心配性というダーク方向にまっしぐら)

クライマックスの重要なある展開でもお気楽なノリをそのままぶつけていて、その展開もムリもなく理にかなっているから秀逸だ!

見事なのはクライマックスからラストまでの1連の流れある行為によって主人公ピーターが母の死をやっと受けとめ、あの時もらった母からのプレゼントを開封し、その中身が…といった冒頭の回収力とそれによるエモーション!このパワーにやられて、涙しないやつはいない!

さらに、本作のヒーローたちはちゃんとダサい!アメコミ映画はこのダサさを避けうまくカバーしてきたが、本作に関してはダサい方向にしっかり振り切って面白かっちょいいところがちゃんとある。

だって途中でみんなが手を繋いで「おれたちは銀河の守護神だ!」と叫ぶシーンがあるんだよ!?

これぞヒーロー映画だ!

 

こんだけグダグダ言ってきたけど、要約してしまえば

 

楽しい!面白い!笑える!泣ける!そして、ちゃんとダサい!

 

ということ!

 

 

本作を鑑賞して、ハッとする。

映画って楽しいに満たされててイイのだ!という忘れていた当たり前のことに気づかされる。

 

 

P.S この続編公開が来月に迫っているということで筆者は今、興奮状態。本当に死んじゃうかも。

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旧作映画『オフィス 檻の中の群狼』感想文 〜新卒生のみんな!ブラック会社勤務キム課長から学ぼう!〜

あるサラリーマンが自分の家族を金槌で惨殺する衝撃的なシーンからこの映画はスタートする。

 

なぜそんな行動に至ったのか彼の心情を直接的に描く場面はないが、原因だと思われる場所が彼の職場、つまり「オフィス」である!

日々、営業の成果を求められパワハラが繰り返される職場の中で彼は真面目で誠実ゆえにそのダメージを誰よりも直接受けてしまい、心がボロボロに。ついには理不尽なリストラに遭ってしまった彼の心の中の何かがプツン切れたのだろう。一家惨殺という行動に走ってしまう。

しかし、本作はここからがメイン。

自分に理不尽なパワハラを行った上司、見て見ぬ振りをしていた同僚たちへの復讐が始まる!

 

彼の名はキム課長!

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キム課長が起こした金槌事件を追う刑事は捜査によってある事実を発見

 

「一家を殺害したあと、キム課長は会社に立ち寄りそのあと外に出ていない…」

 

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ギャァアアアアアア!!!

 

キム課長はビルのどこかに潜んでいて、会社にいる人間を次から次へと襲い恐怖のどん底に陥れる!

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韓国にはよくある馴染み深いキムという名前を使ったのは、ブラック会社に鉄槌を下すダークヒーローに対して誰もが親近感を覚えるためだろう。

社会問題となっているブラック企業の被害者の代わりとなってキム課長は会社に牙を向くのだ!

家族を殺してしまう残念すぎるヤツではあるのだが、回想シーンで描かれる会社からの仕打ちや環境を見せられると胸が痛い。筆者もかつては会社員の時期があったので、よくわかると感情移入してしまうところもしばしば。そんな同情をしつつも報復に励むキム課長を見ていると、いけ!いけ!キム課長!と応援してしまう。

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しかし、さすがは韓国映画。ただの娯楽映画に納めるような事はしない。

調子に乗ってキム課長を応援していたはずが、ラストの展開でそんな簡単な話ではないことがわかる。

が……この結末を踏まえるとよりキム課長は、誰の心にでも宿った鬼という意味合いがより強まり、なんとも言えない後味となっている傑作だ。

 

新卒生のみんな!上司に苛立ったりしたら、本作を鑑賞しキム課長にいったん我が想いを託し、暴れまわってもらおう!そして、恐怖におののく上司たちをあざ笑おう!

しかし、それと同時に彼を反面教師として捉えて気をつけよう!

キム課長に怨念を託すのはいいが、キムにはなっちゃいけない!

「キム」というベタな名前通り彼はあなたであるかもしれないし、あなたの隣にいるかもしれない。それくらい身近な存在であり現象なのだから。

 

國村隼 助演男優賞受賞!『コクソン』の監督ナ・ホンジン処女作『チェイサー』感想文

『チェイサー』

【解説】(Yahoo!映画)

10か月に21人を殺害した疑いで逮捕された、韓国で“殺人機械”と言われた連続殺人鬼ユ・ヨンチョルの事件をベースにした衝撃のクライム・サスペンス。狂気のシリアルキラーをたった一人で追う元刑事の追走劇が、緊迫感あふれるダイナミックかつハイスピードな展開で描かれる。長編初監督の新鋭ナ・ホンジンのもと、連続殺人鬼役のハ・ジョンウと、元刑事役のキム・ユンソクが圧倒的な演技を披露。事件を追う過程で垣間見える人間の心の闇に戦慄する。

 

これえげつない面白いよ!!

え?観ないけど?みたいな顔しながら「韓国映画?」って言っちゃう君!食わず嫌いはいけません!早死にするぞ!

自分は、この映画を学生時代にレンタルで鑑賞したとき面白すぎて、前のめりになってしまう映画なんです、これ。

サスペンスの神様ヒッチコック曰くサスペンスで重要なのは「客には教えてあげること」です。(というかこの考えはヒッチコック一個人の発言というよりはもう映画界の中で定義になっている話)その意味において、本作『チェイサー』はTHE!!!サスペンス!!!

客には教えるって…???とそんな疑問への答えも含みつつ書きなぐって参りたい。

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さて、どんな映画か!?

 

 

まず、主人公がデリヘルの元締めで元刑事っていう設定。はい!!もう面白い!自分の店のお嬢に逃げられて苛立つ日々を過ごすキム・ユンソク演じる主人公。でも、実は女の子たちは逃げたんじゃないんです。ある男によって殺されていた……。うまいのは、映画の冒頭でその犯行の流れ、手口をお客さんに見せてくれるんです。

「この男、やばいですよ!」と教えてくれる。

ココ!!!ヒッチコックの言うサスペンス!!!

主人公も刑事たちも容疑者がどんなことをしているかを知らない。知ってるのは観客だけ……

映画が始まってすぐある出来事よって主人公は犯人を確保!警察にも連行します。

 

え??もう捕まっちゃうの??犯人も「女を9人殺しました」って!

ちょっと!自供してるじゃん!終わりじゃん!と思っちゃうでしょ??

ほら!そこの君!席立たない!まぁまぁ、座りなさい。ここからですなんです。この映画。ここからが面白くて……!!!

容疑者が自供しているものの女性を殺した証拠がない。殺したあとどうしたかの自供も曖昧…。埋めたとはいってるけど、場所がわからない…。犯人は今までも違う街で捕まってるんですが、証拠不十分で釈放されている経験がある。ヤツは警察をおちょくった常習犯なんです。

逮捕状なしで連行した場合、12時間以内に証拠を見つけて起訴ができないと証拠不十分で釈放になってしまう…。そんな中で犯人から衝撃的な一言が…「女が1人生きている」

うまいですね〜。タイムリミットが設定される!つまり、起訴できないと拉致されている女性は殺されてしまう!しかも、観客には彼女がどこにいて容疑者はどんなことをしたかぜーんぶ教えてくれている。知らないのは警察と主人公!

 

こりゃ前のめりになるでしょ!!??

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捜査がなかなか進まない中で主人公のデリヘル元締めおじさんは元刑事という経験を生かして、独自の捜査を進めます。捜査の途中に拉致されている女性の娘を保護。母子家庭のため止むを得ず娘の面倒を見ながら捜査。走る!走る!走る!!!娘とともに走る中で、腐っていた自分の心が少しずつ変わっていき………さて、どうなる?容疑者は捕まるのか?彼女は無事なのか??ウガアアアアア!気になる〜〜〜〜!!!

 

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実際に起きた事件がベースなんですが、その部分よりも映画としての構造が素晴らしいです。根幹は先ほどの「客に真実を教えること」なんですが。この設定を基準にあらゆる工夫がされていて、その工夫が全部面白さを生み出すことに成功しています。

韓国ならではのノンフレッシュな暴力描写。なんていうかめっちゃ泥臭い。本編の中で顔にうんこを投げるシーンが出てくるんですが、もうなんていうか暴力描写だけじゃなく映画全体がそんな感じなんです。これ悪い意味じゃないです!韓国映画ってそうなんですけど、マネ感が少ない。ほんと韓国のお国柄独自のものが前に出てきている感じがしていて、『チェイサー』に関しては国の宗教観や地理状況とか含めて「韓国でしか撮れない面白さ」がちゃんとこの映画に詰まってる。もちろんハリウッドやいろんなところから学んだ技術は多いんでしょうけど、そのインプットしたものを作り手がちゃんと咀嚼している感じがします。

 

ディカプリオがリメイク権を獲得したとか言って、未だに何も進まない本作の監督はナ・ホンジン。

彼の長編映画第3作目がいよいよ日本で公開されます。こちら。

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あれ???

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國村隼さん!そうなんです!

あっちで助演男優賞とっちゃったという今、絶対みるべき1本な訳ですよ!!僕は公開され次第、速攻行きますよ!!

 

公開までまだ時間があるので、まずは『チェイサー』で脳ミソやられてください!!!

 

『シング・ストリート 未来へのうた』 〜「辛い現実」と音楽という名の「幻想」の美しいセッション〜

『シング・ストリート 未来へのうた』

解説とあらすじ(映画.com)

「はじまりのうた」「ONCE ダブリンの街角で」のジョン・カーニー監督の半自伝的作品で、好きな女の子を振り向かせるためにバンドを組んだ少年の恋と友情を、1980年代ブリティッシュサウンドに乗せて描いた青春ドラマ。大不況にあえぐ85年のアイルランド、ダブリン。14歳の少年コナーは、父親が失業したために荒れた公立校に転校させられてしまう。さらに家では両親のケンカが絶えず、家庭は崩壊の危機に陥っていた。最悪な日々を送るコナーにとって唯一の楽しみは、音楽マニアの兄と一緒に隣国ロンドンのミュージックビデオをテレビで見ること。そんなある日、街で見かけた少女ラフィナの大人びた魅力に心を奪われたコナーは、自分のバンドのPVに出演しないかとラフィナを誘ってしまう。慌ててバンドを結成したコナーは、ロンドンの音楽シーンを驚かせるPVを作るべく猛特訓を開始するが……。

 

あっぶね〜!これ映画館で鑑賞してたら涙腺爆発してました。だって、実家のリビングで、母親のイビキをかすかに聴きながら観たんですがそれでも泣いてしまったんですもん。

何がそんなによかったか。書きなぐります。

 

①「辛い現実」から発露した主人公の音楽 

辛すぎる現実に負けないために主人公コナーはバンドに没頭します。彼にとって「音楽」は現実に対抗する手段でもあるのですが、それと同時に「辛い現実」がなければ生まれなかったものでもあります。なので、コナーが書き出す歌詞が現実とリンクしている。灰色に見える世界でも彼らの音楽が彩りをもたらしてくれているわけです!だからこそ、彼らの音楽が流れるシーンは映画内で一番最高に上がりまくり↑↑↑ 

現実に負けないよう力強く必死に生きるコナーたちの音楽に心ビンビン。

そうだよな!!!辛くてもこうやって生きていくんだもんな!!!と心に沁みます。もうこの時点でお涙止まりません。

 

この映画は「辛い現実」とそこから発露した音楽という「幻想」が最高に美しいセッションになってるんです!

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②青春の足掻き 

コナーには一目惚れしたラフィナがいました。1つ上だし、彼氏はいるし…なかなか手に届かない…そんな彼女のために、曲を作り続けます。ていうか、もう彼女の歌ばかり…!この一見、みっともない足掻き……多くの人が…多くの男どもが共感するのではないでしょうか!?好きな子のためにバンドをやる。映画を撮る。お笑いをやる。スポーツを頑張る。これでしょ!!青春って!!

コナーが最初に歌詞を書くときに「ミステリアスな女性ほど美しく、本質を知るとそうでもない」みたいなことを言ってますが、一目惚れした相手って全然、情報がないせいもあってミステリアスに見えますよね。その分、想像も膨らんでしまう。好きな人は誰なんだろう?とか自分をどう思ってるんだろう?とか。で、実際に本人のことを知るとそうでもなくあっけない。登場から化粧や服もバッチリ決まってるラフィナですが、後半のある箇所で素顔が見えるんです。ここで、弱いところも含めた彼女の本当の姿があらわになる。ここで主人公のコナーはちゃんとガッカリしてるんですよね。憤ってる。恋による魔法とその先もしっかり描いてくれていますよね。

だから、昔からモテモテでチヤホヤされてたような人は「青春だな〜」で終わってしまう映画かも。でも、自分と重ね合わせてしまう方はもちろん僕も含めて泣いちゃうよ!!

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③『バック・トゥ・ザ・フューチャー』からの引用と独自の解釈

本作にはみんな大好き『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(以下、BTTF)が出てきます。主人公のコナーはこのアメリカ生まれのBTTFクライマックスである学校でのプロムシーンに憧れて、MVを撮影するんです。ただ、その撮影間近で親は離婚決定。兄貴は一番辛い状況。ラフィナはロンドンへ出発!という1番辛いことが立て続けに起きてる。そんな状況下で歌った曲のMVが映画内で1番「幻想」によってカバーされてるわけです!こうなったらいいな!ああなったらいいな!って。一番辛い時だからこそ彼の願望の実現がすべて音楽にぶつけられる。炸裂する。衣装も観客もドリンクも…ぜーんぶコナーが頭の中で作り上げた映画内で1番完璧なミュージックビデオなんです!!!こりゃ一番あがるシーンでしょ!そして、涙腺崩壊でしょ!しかも、このシーンのコナーのイメージがBTTFがベースになってるわけです!!!その時の曲がこちら!プロムのシーンもちょいちょい挟まれてるので、ぜひ。

 

さらに言うと、彼らが通う学校とBTTFの学校って状況がほぼ同じなんです。意地悪な先生がいたり、いじめっ子のビフ的な存在がいたり。

この校長に対してもコナーたちは「音楽」という武器でラスト最高に痛快なロックなことをしてくれるんですが、重要なのはBTTFで言ういじめっ子ビフの役回りをしている相手をラストでどう扱うか……ここがキーだと思います。オマージュ元のBTTFをただ出すだけでなくて、独自の解釈をして再提示してくれている。これが本当のオマージュっすよね。

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兄貴がメンターとして泣かせるいい味出しながら、ラストシーンは泣かせてくれるし、友人の楽器スペシャリストのお母さんのクッキーを持ってくるタイミングが最高だったり、シャイな妹が踊りに参加するシーンだったり、仲間集めのシーンんとか、とにかくたくさんいいシーンのつまった映画!

1つ言うなら、バンドメンバーの描きこみをもう1歩してほしかったな〜とは思いましたけども、恋という1本に絞ったことで物語も簡潔でわかりやすい!!ていうか、そんな文句は言わない!こんだけいいところたくさんあるんだからさ!!!他の人の意見で、「結局、主人公の音楽は女を落とすためでしかないじゃないか」っていうディスりがあったんですけどさ…それでいいだろ!!!てか、そういもんだろ!!!かっこつけるな!!! そう筆者は思いました。

 

1分で読める映画感想文!SFホラー映画の金字塔『エイリアン』

今年の9月に公開予定の『エイリアン コヴェナント』はSFホラー映画の金字塔『エイリアン』の前日譚『プロメテウス』の続編。つまり、エピソード0.5にあたる作品となります。

さっそく予告編が公開されており、それを観た筆者は「おおおおおおおお…!」と唸りました。1979年に公開された『エイリアン』を撮ったリドリー・スコットが原点回帰し、最先端の技術で『エイリアン』を撮る!これほどあがるものはない!その予告編がこちら。

 

つーことで、今回は原点となる第1作『エイリアン』

 

『エイリアン』はそのストレートすぎる名称のせいなのか、モンスターとしてかなりアイコン化されてしまって、聞くとちょっと鼻で笑ってしまう風潮がないだろうか!??筆者自身も小さい頃に家族で行っていたカラオケ館にエイリアンの等身大のゴム人形が置いてあり、それをひたすらペタペタ触ってた思い出がある。良くも悪くもそれくらい日常に溶け込んでしまったのがSF映画界のスター!エイリアン!

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しかし、改めて冷静に本作を観たらそんなユルいことは言っていられない。じゃあ、『エイリアン』の何がイイのか。まとめて書きなぐっていこう。

 

①デザインの強烈な美しさ!

言われてみれば黒光りするチ○コのような印象も否めないがこのエイリアンのデザインが強烈かつ美しい。劇中で出る台詞通り「完全生物」と呼ぶにふさわしいと思う。

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主人公たちが乗ってくる宇宙船のデザインもしびれる。ただ美しいだけでなく、エイリアンと同じような質感をしていて、どこに奴らが潜んでいるのか全くわからないという恐怖も煽る。このデザインのリンクが終盤で最高の演出をしてくれます。

 

②あらゆるところから攻める恐怖演出!

本作の恐怖の対象はエイリアンなんですが、それ自体が映る時間は実は短い。『ジョーズ』と同じく見せないことで想像させて煽る。焦らずに恐怖の要素を丁寧に1つずつ重ねていって、じらしてじらして、たまったところでバッ!ギャーーーー!!とやってくる。

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この丁寧でゆっくりなテンポがとてつもなく恐ろしいんです。

また、主人公たちのいる船の機械が動く「どっくん…どっくん…どっくん…」とまるで心臓のような音がずっとするわけです。気づいたらこっちまでどっくん、どっくんいってる。この緊迫感はたまりません。

 

③主人公の成長と人間の汗!

なんといっても主人公のリプリー。もはや宿命と言っていいほど、シリーズを通してエイリアンと戦い、シリーズ終盤ではとんでもない関係になっていきます。

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このリプリーのツナギ姿がたまらないですね〜。ただの航海士なんですが、この戦いによって止むを得ず強く強くなっていく。このリプリーのクローズアップがイイんですな。恐怖におののく様子がぐわんぐわん伝わってくる。顔も手も汗だくなんです。この汗がまたいいんっすね。そして、ラストで戦闘を終え安心してツナギを脱ぎ下着姿になるリプリー。この安心しましたよ演出からの展開が本作の白眉と言っても過言じゃないでしょう……。

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ぜひ今からご鑑賞あれ。

1分で読める映画感想文『エクス・マキナ』 AIのエヴァに虜になった僕は主人公に感情移入しっぱなし

この映画の主人公は絶対童貞。だからこそ物語に拍車がかかる。

監督は主人公に絶対言った。「裏設定で君童貞ね」って。そう思ったらこの映画のラストは……アァン!って感じなのだ!

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髭もじゃスキンヘッドのスティーブ・ジョブズみたいな天才発明家は山の奥地にある研究施設にこもり秘密の研究をしている。そこへ髭もじゃの会社から抽選で選ばれた青年1名が派遣される。様々なハイテク技術が駆使され外の世界とは完全に隔離されたその建物に主人公の青年は驚きつつも髭もじゃの研究を手伝う事に。「テストをして欲しい」と言われ案内された部屋のガラスの向こう側には人工知能を搭載した最新ロボット・エヴァが……

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主人公はガラス越しのエヴァと交流をし始めてるんだけど、だんだん彼女をマジで好きになってしまう!髭もじゃも「エヴァってロボットだけど、SEXできるよ」とか言っちゃうからもうドキドキが止まらない。そう言われた時の主人公とおれの目の泳ぎようったらとんでもない。

え…出来ちゃうの…?って。

「いや、エヴァとのSEXとか興味ねーし」とスカしてた主人公の気持ちは完全に同意してしまう…。

観てるとソワソワすんの。え。エヴァ可愛いんですけど。そんな真っ直ぐな目で見つめないで!って!主人公も俺も混乱する訳ですよ。好きだけどさ……でもでもでも…ロボットだもん!

そんな時、エヴァから施設からの脱走の手助けをお願いされる。

「ここから出して…」

こりゃもうこっちはパニックですよ!!!出したい!そして、触れたい!抱きしめたいよ!!!!ここから一緒に逃げよう!!!エヴァ!!!

髭もじゃがどこまで監視してるのかわかんなくて終始ヒヤヒヤものだし、エヴァだって結局何考えてるかわかんない!この心理戦はたまらんですよ。『her』っていう映画も主人公が人工知能に恋しちゃう話だったけど、本作はグレードアップされてる。

またこの終盤のあるシーンがイイんだ!エヴァが人間というより女に成る場面があってそこが美しすぎる。新たに生まれた生命の「選択」と「第一歩」が神秘的だし。

この映画の結末は髭もじゃが仕組んだものだったらもっと良かったのにとか思ったけど違うね。髭もじゃはたかが人間で、自分の名声しか頭にない。神ではないわけですね。髭もじゃは。

しかも、よくよく考えると主人公はさ童貞だとしたら、恋した相手がこんな風に…っね結末を考えたら結末には悶えます。もし、君が童貞でなかったらこの結末には至っていない!必要だったのです!童貞が!

 

この映画、エヴァの虜になってしまったら絶対最後まで楽しめるし裏切られる!そうでなくても違う観点から楽しめる傑作です!

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1分で読める映画感想文『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』シリーズ史上1番グロテスクなワケ

お宝を博物館に収めるために体を張って旅をするドM変態教授インディ・ジョーンズ!

ナチスにお宝を奪われて世界を滅ぼされる前に先にお宝ゲット!っていう世界を救う的大義名分があったりするけど、それはあくまで便宜上でインディは単なる好奇心で動く男!それが1番でてるのが第1作目の『レイダーズ 失われたアーク』3作目は父親をさらわれて止むを得ず旅をしながら、キリストの残した聖杯を巡りナチスと戦うのが『インディー・ジョーンズ 最後の聖戦』4作目の『インディー・ジョーンズ クリスタルスカルの王国』はよく覚えてないんだけど、上記と同じような理由だったと思う。

インディは毎回巻き込まれて仕方なく旅をしてんだよね!「お宝だーーー!」みたいなルフィのようなテンションはないわけですよ!しかも、神秘的なものとか宗教とかそれらの存在をちょっと疑ってる現実主義。そんな男がファンタジーな経験をしまくる訳なんだけども、ぼくが好きなのは第二作目の『インディー・ジョーンズ 魔宮の伝説』だ!

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小動物ウジャウジャのキモい演出は毎度おなじみでもちろんあるんだけど、猿の頭をくり抜いた皿に入ったスープが出てきたり、目ん玉でてきたり、血を飲んだり飲ませたり、生きてる人間の心臓をもぎ取ったり…そもそもカルト的な不気味な宗教が敵だったりと、シリーズで1悪趣味な作品でオカルトチック。なんでこの手の描写が多くなったかっていうと、製作のジョージ・ルーカスが当時の奥さんとうまくいってなかったから。作品に八つ当たりしてるんですよ!ルーカスが!一方、監督のスピルバーグは本作のヒロインとこの作品を機に結婚。めでたいんだけど、のちのインタビューでね魔宮の伝説について「特に思い入れのない作品。奥さんとり知り合えたってのが1番の思い出だよね」的なことを話してる。ウケるよね!両者とも男女関係の節目となる時期に作られた作品なのに、思い入れないとか言いやがってさ!

作品が作り手からそういう見放され方をしてるっていう立ち位置も面白いし、作家のプライベートが直結してて。ここまで如実に出るのかっていうのも興味深い。ショッキングな描写自体も気分悪くなる訳じゃなくむしろ最高だしね!

それだけじゃなくてね、本作はインディの正義感が作品後半の推進力になってるってのが他と違うんですよ。最初に書いたようにいつと巻き込まれる側なんです、インディは。どんな話かっていうと、インドが舞台。心臓もぎ取る悪い教祖が村の子供をさらってる。村人がある日、突然現れたインディを神の使いと解釈して子供を助け出してくれと懇願する。現実主義のインディが崇め立てられるっていう展開が皮肉でイイ。インディはためらうんだけど、魔宮から逃げ出してきてボロボロになった子供を目の当たりにして救出を決意するんです。これ『七人の侍』ぽいよね。もちろんお宝も絡むんだけど、子供を救うために立ち上がるっていうのが他作に無い正義感なんですよ!牢屋から子供たちを逃すインディのショットが笑っちゃうくらいカッコイイ!シリーズ史上一番ヒーローなんです。そこがいいんすよね!!

ショッキングなとこ多いけど、吊り橋を使ったアクションやトロッコで逃げ出す場面など「冒険」というジャンル自体にとてつもない影響を与えた傑作なのです!

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1分で読める映画感想文『アウトロー』〜流浪人のスピリットが練りこまれた傑作〜

ゆまたトム・クルーズがこんなんやってるよって思われるであろう新作映画『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』の前作である『アウトロー』はただただカッコいいを目指すアクション映画に飽きてるあなたにぜひ観てもらいたい傑作である。

なぜならちゃんと地味だから!

トムさんはスタント使わないで、宙吊りになったりビル登ったり飛び立つ飛行機につかまったりとジャッキー・チェンとは違ったアクションへのアプローチをしてる。人間の限界に挑むその姿勢はもうアスリート!けど、それはトム自身がプロデュースをするミッションインポッシブル シリーズの特徴であり、違う作品ではちゃーんと違うベクトルで面白さを追求してくれるのだ!つまり、トム・クルーズ=映画で毎回、無茶するおっさん。ではなく映画ごとに違う顔をちゃんと持っている!

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その中でも本作『アウトロー』はまぁ渋い!ぼくも初めて観た時思ってたのと違う進み具合でビックリしたんだけど、これ原作が小説ということもあってミステリーなんですな!無差別殺人の濡れ衣を着せられ、確固たる証拠もあって完全に死刑確定の元陸軍兵士が「ジャックリーチャーを呼べ」というメッセージを残したあと囚人にボコボコにされて意識不明の重体。そこに現れるリーチャー。最初は「友達なんかじゃねーよ!」と被疑者に対してツンツンするリーチャーなんだけど、事件の捜査をし始めて…。という物語。推理モノなのよね!リーチャーは元軍人で「訓練のつもりが習慣になってしまった」と説明するその習慣ゆえに旅ガラスになってしまった。家は持たず特定の人との関係も持たず所在不明の状態で世界を旅してる。そんな目的もなく旅する強い男が出会った人を結果的に助けていく。この結果的にってのがポイントなんすよ!人助けを目的としていない。ひょんなことから救うハメに〜というノリが大事なんです。これはみんな好きな格好良さでしょ!!!時代劇の流浪人や西部劇のガンマンのスピリットを現代に再現させてるんすよ。できれば戦いは避けたいという哀愁もその手のジャンルと完全に重なり合います。

また本作は終わりもいいんですよ…そして、笑えるところもある。だから、トム・クルーズ作品にしては良い気の抜け方をしてらっしゃる。

こういう映画だから、みんな勘違いしないで!渋い推理モノ×西部劇ですから!続編まだ観てないのでとんでもなく楽しみ。