7/19公開 超新作映画『アンダー・ユア・ベッド』感想文 〜男を殺す笑顔を炸裂する千尋とストーカー三井くんの応援映画〜

※この記事は、展開を予想させるネタバレに近い文章が含まれております。0の情報で楽しみたい方はお控えください。

 

「石の裏の虫」でお馴染みの孤独な青年・三井くんは大学時代に1度コーヒーを飲んだだけの関係である千尋が忘れられず、今や人妻となった彼女の家に忍び込み、ストーキング行為を始めるが……?

 

「高良健吾みたいなイケメンがストーカーなんて役に合ってない」

 

最初はそんな印象を抱くかもしれない本作だけど安心してください。

 

高良健吾さん、ちゃんとキモいぞ!!

 

高良健吾さん演じる三井くんのストーカーっぷりは徹底している。

まず標的である千尋が住む家の近くにお魚屋さんを開業。毎晩その店の三階から千尋家を一眼レフの望遠レンズで監視。カメラは望遠鏡代わりかと思いきや、彼女が服を脱いだ瞬間に怒涛の連写!連写!連写!

いや、ちゃっかり撮るんかい!三井くん!

そんな監視部屋の壁には拡大コピーされた千尋の写真と彼女の大学時代の香水と服装で身を包んだマネキンが常設しており、口づけまで炸裂。

さらには千尋の自宅の合鍵を作りベッドに潜航!性行為によってきしむベッドを下から触れるというストーカーっぷりだ!

 

 

何をしてもイケメンはイケメンなんですが、この美青年という特徴が逆に不気味さと狂気、周囲の人間から忘れられてしまった存在という意味での神話性さえ感じさせてくれいるという見事なキャスティング。

そんな三井くんがゾッコンな千尋演じる西川可奈子さんの「そんなふうに振る舞ったら童貞は死んじゃうよ!」という可愛さっぷり(童貞を殺す笑顔)をこっちは散々見せつけられているので、いけない事だとはわかりつつも三井くんののぞきに共感してしまう!ごめんなさい!!!…けど、覗きたい!!!

 

 

のぞきを楽しむ心理。また、そこから犯罪を目撃し関わっていく過程はヒッチコックの『裏窓』と重なるが、あんなダンディなジェームズ・スチュアートのようにはいかない。なぜなら三井くんだから!夫の千尋に対するDVを目撃するも、何にもできない三井くん…

文章で書いていると、全く嫌悪感しか抱かないはずなのに…私達観客の気持ちは変わりはじめる…

 

がんばれ!三井くん!

 

気づけば、心の中でそう叫んでいる。

 

見つかるぞ!三井!

隠れろ!三井!

逃げろ!三井!

 

イーサン・ハントばりの応援してしまう。もちろん三井くんはトム・クルーズのようなポテンシャルは持ち合わせていないので頼りない。だからこそ…行け!三井くん!私たちがついてるぞ!

話しかけて!お魚あげて!水槽あげて!運んで!よしよしよし……いや、それ取るんかい!…いまだけは寝るな!起きろ!出ろ!謝るな!三井くん…!!!!!

 

我々は三井くんにエールを送り続ける。

 

完全に応援上映である。

 

千尋をいじめるDV夫に対して何もできない我々からしたら「三井くん!あいつをやっちゃってくれよ!もう我慢できねーよ!」と思ってしまう始末。

監督の演出と高良健吾さんの演技にあっぱれ!

 

 

だが……

終盤の某アロアナ展開によって、この観客と三井くんの願望が成就された時の顛末。社会が三井くんに押す烙印に気づかされる。

このパートで日々の報道番組やネットニュースで取り沙汰されるニュースを思い出させられ、私たちはぐぐぐぐっ!と現実に引き戻される。

だから、まるでアベンジャーズの決め画的なショットが出てきた時に我々は本来なら拍手したいはずが……出来ない…。

さらにそこで、とある真実が浮かび上がることで、観客にとっても三井くんにとってもフィクションに【現実】という亀裂が入り混沌とさせられる。

 

その上で三井くんが最後に手に入れた【あれ】はハッピーエンドなのか?バッドエンドなのか?

 

ぜひ劇場にてご自身の目で確かめ心に問うて欲しい、そんな逸品です。