最新作『21世紀の女の子』『おいしい家族』映画監督ふくだももこ インタビュー 後編

—-そして現在、劇場で絶賛公開中の『21世紀の女の子』ですよ!山戸監督が集めた15人の女性監督が短編を撮りそれを集めたオムニバス形式。事前にももちゃんから聞いてたけど濃密で疲れました!笑 もちろんイイ意味で!この仕事はどういった経緯で?

ふくだ「ありがたいことに山戸監督ともう1人のプロデューサーのダブル指名で、去年の2月にうちにオファーが来たの。プロデューサーがうちの小説を読んでくれたようで…」

—-ももちゃんは小説2本出してるからね。笑 受賞もしてるという天才ぶり!

ふくだ「いやいや。山戸さんなんて雲の上の存在で。いつか同じ時期に同じ映画館でお互いの作品が上映されたらええな〜ってなんとなく思ってたら…まさかの向こうから声をかけてくれて…

—- ご指名は嬉しいね。じゃあオファーのきっかけは小説なんだね。『21世紀の女の子』はオムニバスだけど全作を貫くテーマがあるじゃない?
“自分自身のセクシャリティあるいはジェンダーがゆらいだ瞬間が映っていること”それ以外は特にノーヒントで丸投げ?

ふくだ「そうやな……むずい。笑」

 

 

—- 笑 でその中の『セフレとセックスレス』という作品をももちゃんは撮ったわけだけど、テーマはどう解釈したのかな?

ふくだ「正直言うと、頂いたテーマの前にもうこのタイトルだけの閃きはあったんよね

—-タイトルがイイよね!笑  一行でもうすでに矛盾が生じてるという。

ふくだ「そうそうそうそう!この一行で2人の人間がいて過去、現在、未来が混在する感じがして面白いよね」

—-相反する言葉でもないしね、絶妙なバランスだよね!

ふくだ「実はこれうちの元カレの携帯のメモにあった言葉で…笑

—-え!そんな大胆なメモ!彼氏にセフレがいたの!?笑

ふくだ「そういうわけじゃなく、たまたま彼がワードとして面白い!とも思ってメモったみたいで」

—-『貧乳クラブ』もそうだけど、他の人から与えられたヒントに化学反応起こして数倍も面白くする力がふくだ先生にはあるよね!

ふくだ「先生はやめて。笑 “自分自身のセクシャリティあるいはジェンダーがゆらいだ瞬間が映っていること”っていうテーマに対して、うちなりにいろいろ思うことはあったんだけど、それを8分の短編には昇華できなくて…。その時に彼氏のメモを思い出して、最初はこのタイトルでPVでも撮ろうと思ったんだよね。友達に歌ってもらって」

—-作品内にも主題歌として流れてたね

ふくだ「そんな時に『21世紀の女の子』のお話を頂いたから。テーマと関係あるとは言えないけど、やっちゃおうと。笑

—-笑  黒川芽以さんと木口健太さんのキャスティングはどういう経緯?

ふくだ「脚本を書いた時から最初からこの2人にお願いしたいと思ってたんだよね〜。黒川さんは前に撮った『父の結婚』を観てくださって私の作品が好きだって言ってくれてて!で、それから交流はもともとあって『セフレとセックス』の脚本送ってくれたら快く承諾してくれたんだよね」

—-黒川芽以さんがセフレ役だなんて…ぜ、贅沢な…!

ふくだ「それで2人でカフェで脚本読んでくれて、その場でどうなったらもっとよくなるか?って話し合ったの」

—-じゃあ、黒川さんと2人で脚本をブラッシュアップしたと。

ふくだ「そうそう!好きだから感じなくなったっていう話なんだけど、そのアイデアは黒川芽以さんが出してくれたの」

—-はぁ!なんと素敵な提案!タイトルに沿った、物語の核を表した言葉じゃん!

ふくだ「そうそう!もともとはもっと詩的な話だったんだけど、黒川さんのその提案で作品のトーンが変わったんよね

—-黒川さんのベッドで仰向けになってて、下半身は写ってないんだけどどうやらセフレ役の木口さんがいろいろ工夫をこらしてくれてるんだけど…黒川さんは感じないという。「あれ?ここ気持ちがってたよね?」って。いや、手もみんじゃないんだから!笑

ふくだ「あはははは!笑 あの場面もうちと黒川さんで考えたんだよね。その脚本ミーティングしてる場に木口健太さんを呼び出して、読み合わせしてもらったんだ。笑」

—-カフェで!笑

ふくだ「即興芝居もしてもらったし。そこでの2人のとっさに出てくる表情もいいし言葉も良くて」

—-そうなんだ!じゃあ、そのキャストと作り上げてく感じ、自主映画に近い楽しさあるね。

ふくだ「そうだね!あの映画は基本みんなそんな感じなんだけど、うちの作品が一番手作り感あったかも」

 

—-マニキュアのシーンも良かったし、ももちゃんの映画は自然な日常会話になりつつ笑えて、ちゃんとエンタテイメントになってるよね

ふくだ「自分なりに短編を面白く撮れるよう工夫してて、8分で起承転結やるのは難しくて1つなにかを飛ばさなきゃいけなくて…。うちはちゃんと終わらそうと思ってて、タイトルの主張が強いのと主題歌があらすじを代弁してくれてるってのはありがたかったね」

—-映画始まって『セフレとセックス』ってタイトルが出た時点で「起」はもうすでに済んでるという。笑

ふくだ「そうなんだよね」

—-タイトルと歌が秀逸で短編の手助けをしてくれてるんだね。終わり方も2人の決着はついてるけど、まだ未来もあっていいよね。あと黒川芽以さんのあの最後のセリフ!彼氏や夫に対しては絶対出ない言葉だよね。セフレだから出る一行。全くそれまでエロさを感じなかったのに…最後エロかった〜。急に色気が出てドキッとしてしまいました。

ふくだ「やったぁ!そうやねん!あそこだけは綺麗に撮ろうと思ったの。普段、綺麗な人を人間的に醜くとろうと思ってて、ただあのラストは綺麗に撮ろうと心がけてたね。普段うちあんまり演技の演出はしないんだけど、あそこはけっこう指示をしたし、カメラの角度も工夫した」

—-びっくりしたよ!急にエロいじゃない!ももちゃん!笑

ふくだ「よかった。エロいシーンうちが照れちゃうし、観てても余計なこと考えちゃうん…笑」

—-その照れはあるよね。タイトルにセフレとセックスって言葉が入ってるのに、内容はエロくないという。エロ目的で観た人はブチ切れだね。笑

ふくだ「そうなんですよ。すみません。笑」

 

—-そんなふくだももちゃんは新作『おいしい家族』公開が控えているという!

 

ふくだ「前に撮った短編の『父の結婚』を長編にしませんか?とお話いただいて、長編で商業映画デビューさせていただけるというありがたいお話。あの時描ききれなかった事をここで改めて描かせてもらってるのでぜひ観てください」

—-今後が楽しみ!応援してます!

ふくだ「ありがとう!斉藤くんも演技磨いて役者デビューしてください!

—-演技苦手!

ふくだ「知ってる!下手だもん!笑」

—-ひぃいい!

 

『21世紀の女の子』現在劇場にて公開中

http://21st-century-girl.com/story/

 

『おいしい家族』9月20日 全国ロードショー

 https://oishii-movie.jp/

 

ふくだももこ

https://twitter.com/fukuda_27

 

聞き手:ジャガモンド斉藤

インタビュー写真:えりざべす

最新作『21世紀の女の子』9/20公開『おいしい家族』映画監督ふくだももこ インタビュー 前編

どうも。ジャガモンド斉藤です。

いつもつたない本コラムを読んで頂きありがとうございます。

この度、本ブログ初の監督インタビューに成功しました!……と言ってもぼくがCMの制作会社に勤めていた時の同期が映画監督だという幸運に恵まれたからです。そういった縁での今回の企画のため、形式にとらわれずラフな対談形式でインタビューをさせていただきました。初めてのインタビュー書き起こしのため、少々時間が経ってしまいました…すみません。

今回取材をさせていただいたのは、現在、絶賛上映中の『21世紀の女の子』の「セフレとセックッスレス」の脚本・監督を勤め、今年の9/20には商業長編映画デビューとなる『おいしい家族』の監督・脚本を勤めるふくだももこ監督です。

ここで監督本人のプロフィールを『21世紀の女の子』公式ホームページから抜粋させていただきます。

ふくだももこ/ Momoko Fukuda1991年生まれ、大阪府茨木市出身。監督、脚本を務めた卒業制作「グッバイ・マーザー」がゆうばり国際映画祭、第六回下北沢映画祭、湖畔の映画祭に入選。 2015年、若手映画作家育成プロジェクト(ndjc)2015に選出され、短編映画「父の結婚」を監督、脚本。 2016年、小説「えん」が集英社主催のすばる文学賞を受賞し小説家デビュー。 2017年、小説「ブルーハーツを聴いた夜、君とキスしてさようなら」を発表。2018年10月、連続ドラマ「深夜のダメ恋図鑑」監督。

 

監督との関係性はインタビュー内を読んでいただくとして、屈託無く相手と話してくれるももちゃん(あえて親しみを込めてあだ名で呼ばせて頂きます)の人柄が皆様に伝わったら幸いです。

また、取材に応じてくださったふくだももこ監督。当日撮影をしてくれたえりざべすさんにこの場をかりて厚く御礼申し上げます。

前置きが長くなりました!早速どうぞ!

 

映画監督ふくだももこインタビュー

 

—-こういう感じで話したことないから緊張しますが…笑 馴れ初めから話すとして…

ふくだ「馴れ初め?付き合ってないよ?笑」 

—-そもそもおれがCMの制作会社で働いてた時、別の会社だったけど同期で知り合って、それからおれが退職して芸人になって。そのあと、共演という意味で言うならももちゃんが学生時代に撮影した『グッバイ・マザー』が2015年にゆうばり国際映画祭で上映した時に、今やイラストレーターとして活躍してるアーノルズ長谷川とMCをやりに夕張まで行ったのが最初だね

ふくだ「それや!それあったなぁ!懐かしい!でもなんであんな展開になったのか覚えてない…笑」

—-それからたまにおれらのライブ観に来てくれたりして…おれはおれでふくだももこ先生の作品を観ていました。笑

ふくだ「え、そうなの?」

—-まずはももちゃんが脚本を担当した作品だけど2015年『家族ごっこ』

—-短編で構成されたオムニバスになってて、ももちゃんは若かりし新木優子さん主演の『貧乳クラブ』で脚本担当してたね。CMの会社退職後、どういった経緯で脚本を担当することに?

ふくだ「学生時代に撮った『グッバイ・マザー』が映画祭で呼ばれるようになって、やっぱり映画やりたいなと…。で、会社をやめて、そこからフリーランスで助監督になったの。そん時にゆうばりで出会ったのが内田英治監督。『家族ごっこ』ってほぼ自主映画に近い映画やから、ラフな感じで内田監督から一本脚本書いてみてよと」

—-そこで内田英治監督オファーを受けて「貧乳」という題材はももちゃんなの?

ふくだ「あれ実はネタとプロットは内田監督で、うちが書いて送ってからいろいろ修正してくれたんやけど、ありがたいことにクレジットに私の名前を入れてくれたの」

 

 

—-じゃあ共同執筆に近い?

ふくだ「そうそう!ほとんど内田さんが書いたみたいなもんやねんけど」

—-貧乳で悩む四姉妹の話だけどさ、主人公の新木優子さんの役名がもも。笑 ももちゃん自分を投影してるんだって思ったんだけど…

ふくだ「なってたね…!でも役名は内田さんが決めてる。笑

—-『貧乳クラブ』を観た時に学生時代の『グッバイ・マザー』の重めの雰囲気とは違ってまずビックリしたの。『貧乳クラブ』は肩の力抜けてコメディだったから。何かあったの?

ふくだ「あれは学生時代じゃないとあの重いのは撮れなかったと思ってる。山戸結希監督(2016年『溺れるナイフ』で興行収入7億円を突破。ふくだももこ監督がメガホンをとったオムニバス『21世紀の女の子』では企画・プロデュースを担当)の作品を観て衝撃を受けて『グッバイ・マザー』みたいの撮ってたらダメやな〜って思ったの。女子高生とモラトリアムを扱う映画を撮っても山戸さんにかなわへんな…と。だったら違う方向でやれることやろうと、明るい映画をやうろと」

—-そうだったんだ!『貧乳クラブ』の女の子のコンプレックスをズーンっと重く悩むんではなく、四姉妹がお互いの乳触り合って「あんたの方が小さい!」とかって言い合ったり弟の絶妙な思春期感や彼女がいい具合の巨乳だったりするの笑ったもん!これが『グッバイ・マザー』の監督か!?って。風通しよくて気持ちいい作品で、ももちゃんらしいなという。笑

 

後編につづく

http://tobila-uneri.com/saito-blog/2019/03/20/%E6%9C%80%E6%96%B0%E4%BD%9C%E3%80%8E21%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%81%AE%E5%A5%B3%E3%81%AE%E5%AD%90%E3%80%8F%E3%80%8E%E3%81%8A%E3%81%84%E3%81%97%E3%81%84%E5%AE%B6%E6%97%8F%E3%80%8F%E6%98%A0%E7%94%BB%E7%9B%A3/

3/22公開!超新作映画『新宿タイガー』感想文 〜自分主役の映画をどセンターで観る主人公、万歳!〜

今年は寅年か?って思うくらい色んなトラがスクリーンで暴れまくる2019年

「Kis-My-Ft2」の北山宏光さんが主演の転生して猫になった父を描く『トラさん僕が猫になったワケ』は現在公開中で、年末には山田洋次監督の寅さん50作目となる『男はつらいよ』が公開される。

そんなトラ映画の中、タイガーマスクを被り40年間、新宿で新聞配達を続けた男・新宿タイガーに密着した『新宿タイガー』が3/22に公開される。

仕事場が新宿になることの多い僕はピンクの衣装と虎のお面に身を包み自転車に乗っているところに遭遇したり、映画館でもお見かけすることのある新宿タイガーさん。

なぜ?と思いつつも、ご本人にいきなり聞く以外に深掘りする手段もないため、結果的には何の疑問にも思わないくらい自分の中で馴染んできてしまった存在・新宿タイガー……

いったい何者なのか?

縁あって本作のマスコミ試写会にご招待していただき前から2列目の中央に座った時。目の前、つまり1列目のどセンターに「指定席」と手書きで書かれたA4用紙が置いてある。「おや?」と思ってると、上映開始直前にピンクのブロッコリーが駆け込んできて着座。

自分の映画そこで見るんかい!

まさかの新宿タイガーさん、自分主演の映画をどセンター真ん前で観るという心意気!あっぱれ!

僕視点からすると本物の新宿タイガーさんナメの映画『新宿タイガー』を観る。という貴重な体験ができました。

 

さて、このタイガーさん。

映画と女性とロマンと夢をこよなく愛しているそう。

女性にいたっては毎晩、別の女性とお酒をかわし「あなたみたいな綺麗な人は他にいない」と決め台詞のような口説き文句を連呼。口説くといっても決して肉体関係を求めるのではなく、ひたすら女性を褒めちぎってその場で解散。

ややこしいが、まるで寅さん。

そんなタイガーさんの日常を追うこの映画に、不思議な気持ちを抱く僕。

というのも、あえて言葉を悪くするならば街で見かける「町のヤバい人」である新宿タイガーさんに対して、我々お笑い芸人は普通【ツッコム側】に回るわけです。なんなら自分らのネタ、他芸人のネタにそういった「町のヤバイ人」要素が入ってくることだってある。

こんなことを言ったら後出しジャンケンだ!と思われるかもしれませんが、正直僕はそういった人に対してそこまで違和感を感じません。

なんなら「自己主張万歳!」と共鳴しつつ、実際自分はそこまではやらないというズルい立場にいます。でも、潜在的にそういった方々を肯定している自分がどこかにいるわけです。

それは芸人としてどうなんだよ!と叱られてしまうかもしませんが、「町のヤバイ人」にちょっとした愛おしさや興味さえ覚えるレベル。

40年間、価値観や時代の流れを気にせず「ラブアンドピース」を胸に、タイガーマスクの格好を貫いてきたご本人におこがましくも親近感と尊敬の念を僕が抱いたことは確かです。

大袈裟に思われるかもしれませんが、タイガーさんの姿を見てなんとまぁ「継続は力なり」という立派な言葉を思い起こしてしまいました。

変な格好をし続けることが継続か?と笑う人の様子も目に浮かびますが、じゃあ私たちはいくつこの事柄を今までに継続しているか?と自問した時に押し黙ってしまうことは明白!大概の人が長年も継続してるのは飯食ってクソして寝ることくらいです。

 

この自分の気持ちは何だろう?と不思議な気分に浸っていると…映画内にタイガーさんの生年月日が映されました。

 

2月1日

 

いや、僕も!僕も……です!!!

 

嬉しさと困惑が50:50で去来しました。

この事実により俺もあっち側なのかも……なんなら数年後の自分の姿なのか…と不思議な可能性を感じながら映画は終了。

目の前にいらっしゃるわけだし、色々胸も熱くなってるから声でもかけようかと思ったものの、場内が明るくなった途端にタイガーさんは隣に座った美女に話しかけハッキリは聞こえないが「あなたはこの世で1番美しい」的なことを言ってるご様子。

少し待つか…と思いつつ、全員試写室から退場しても席を立たず美女と話すタイガーさん。…諦めてその場を後にしましたとさ。