超新作映画『マスカレード・ホテル』感想文 〜叱られる木村拓哉さんと叱る長澤まさみさん、神出鬼没の文世さん〜

ミステリーは映画に向いていない。

意外に思われるかもしれませんが、サスペンスの神様であるヒッチコックはそう明言していてミステリーの映画化はそれなりの工夫をしないと成り立たないのが常で、本作『マスカレード・ホテル』はもうすでに発生している連続殺人を謎解いていく推理要素に加えて【次に起きる新たな殺人の阻止】というサスペンス【容疑者かもしれない多種多様な宿泊客の人間模様】という群像劇的要素2つの軸を用いることで観客を飽きさせない作りになっていてミステリー映画として素敵です。

昨年公開された原田眞人監督『検察側の罪人』で罪を犯してしまう悪者検察を演じ、ネクストレベルに到達したと言わしめた木村拓哉さんが次の殺人現場となるホテルにホテルマンとして潜入する頭キレキレ刑事・新田を。

原作の荒削りでやさぐれていながらも鋭い洞察力も兼ね備えているという絶妙なカリスマ感を体現できるのはキムタク意外に誰がいようか!?

※原作者の東野圭吾さん自身がキムタクのキャスティングを望んだようです。

敏腕ホテルマン・山岸を演じる長澤まさみさんに「第一ボタン、ネクタイもしっかり閉めて、髪も髭も整えて」とドS丸出しの指導をされて「うるせぇなぁ」を言いながらもしっかり言うこと聞いて、なんなら「ホテルマンって素敵な仕事だな〜」って心が変化してきているところなんてキャワイイ。ただのカリスマ性だけでなく、言われちゃう側が似合うようになってきたと、ある意味で新境地じゃん!って思ってるのは僕だけでしょうか?

そんなキムタクにビシバシ言えてしまうのも長澤まさみさんじゃなきゃ成立しないですよ!これは。美しさと芯の強さってのもあるけれど、良い意味で空気読めない浮いた感が僕は大好きです。『モテキ』の「しゅしゅしゅしゅしゅ〜!お先にドロンしま〜す!」って可愛さで誤魔化されてるけど、一歩間違えればさらし首ですよ!こんな行為!戦国時代じゃなくてよかった。ゾンビ邦画の傑作『アイ・アム・ア・ヒーロー』でも怖気付く大泉洋さんに無線で「助けろよぉおお」と吐く場面も独特のまさみ節発揮され映画のバランス関係なく異質なものが入ってきた感がありますよね!

長澤まさみさんってとっても非現実的存在で天使みたいな人でありながらもこの人なら何やっても許されるし映画として浮いててもこの人ならイイ!ってなる不思議な魅力があると思います。

だから、まるでターミネーター3の女アンドロイドのアイツのように表情を崩さずホテルのフロントを闊歩して、あらゆる事態に冷静に対処する姿を見てると…なんかこいつヤバそう!と存在に違和感を感じる勢いなんですけど、それがしっくりきます。

キムタクはキムタクでスターでありカリスマ・ヒーローであるから非現実的で、そこに対抗するにはまさみちゃんか岩下志麻さんしかいないんですね!

この2人のコンビ以外にもいろいろ役者さん大活躍されていて、あげればキリがないので1人だけ言うとやっぱり【かゆいところに手がとどく神出鬼没の小日向文世さん】です!

フラ〜っと現れて新田を助けるし、終盤の文世in名古屋には拍手喝采ですよ!よっっっ!!!!

「新田さんは助けたくなるような不思議な魅力がありますよ」って文世さん言うけど、いやいや!文世さん!あなたが一番不思議な魅力ありますから!と叫びたい。

 

で、本作はイイ意味でも悪い意味でも忠実に原作を再現していました。

同時に各所で話が進む原作を映像で見せるために整理してテンポよくみせるのはさすが鈴木雅之監督。ドラマの演出を経て大衆の心を掴み続けてきた監督の培ったスキルのおかげ。

原作に変に手を加えず(原作にあった刑事とホテルマンの疲労感と泥臭さは個人的には欲しかったですが…)変なアレンジしなかったことによって、テーマや本質を見失わず再現。たた小説の文章だから理解できるお客さんの【理解の領域】映像にした時の【理解の領域】はちょっと違うので、もう1工夫あったら助かった気もします。

冒頭で述べたヒッチコックの定義というのが、これでして。【すでに発生した事件を推理する】という行為を映像で見せるのってセリフや説明を用いた説明シーンになってしまう。だから話が止まるし地味だし、要は観客が一気に退屈になってしまうんですね。本作は、そこに工夫を十分こらしてるんですが……それでもキムタクがまさみちゃんにいろいろ説明する場面は…まぁ退屈……だし…頭こんがらがります。これは作り手が悪いとかじゃなくて、元来仕方ないことなのですね!

が…今年の映画初めとしてはかなりふさわしい豪華絢爛なストレスのないイイ面白さ!ぜひみんなでチラシを見て「誰犯人だろ〜?」なんて当てっこしながら劇場でワイワイしてください!

“超新作映画『マスカレード・ホテル』感想文 〜叱られる木村拓哉さんと叱る長澤まさみさん、神出鬼没の文世さん〜” への 2 件のフィードバック

  1. YouTubeの動画にもコメントさせていただいたホテルマンです。先ほど鑑賞してきましたので是非感想を共有させてください。
    全体的にテンポが良く飽きの来ない映画だなという印象でした。長澤まさみさんの、お客様に見えている間は微笑みを絶やさず、バックヤードに戻った瞬間に真顔になるという細かな演技も見ていて素敵だなぁと感じました。また、急いでいる時に限って業務用エレベーターが混んでいて仕方なく非常階段を駆け上がるという“ホテルマンあるある”が個人的にツボでした(笑)。
    原作を読んだのは中学生の頃でしたが、「いや、何でそーなんの⁉︎」と衝撃だったのを覚えています。しかし、映像化すると犯人の“仮面”の部分が分かりやすくなってしまい面白さ半減といった感じでしたね…。それでも、観に行く価値は十分にあると感じた良い作品でした。
    自分はホテルマンといってもバイトの身ですし、ただの映画好き大学生です。小さい頃から演技の道へ進みたいという夢を抱きつつも、自分に蓋をしてありきたりなレールの上を走っています。目指すところは違いますが、大人になっても自分の好きなことに全力で取り組んでいる斉藤さんを始めとしたシネマンションの皆さんは僕の憧れでもあります。いつも投稿を楽しみにしていますので、これからも頑張ってください。応援しています!

    1. わざわざこのサイトに来てくださって感謝です! 長澤まさみさんの切り替え演技はお見事でしたね!
      ホテルで働いてる方から「ホテルあるあるがツボ」というコメントは作り手は万々歳だと思います!笑
      もともと小説じゃないと成り立ちづらい真犯人の仮面のため、映像化すると半減しますよね。全役者様の力量とドラマ畑で培った鈴木監督の【飽きさせない力】でテンポよく見るととができますよね!
      大人になってより実感しますが、大学時代。若い時代の可能性は無限大ファイヤーです!!!!まじで!!!!若いからブレて当たり前だと思います。ていうか、今じゃなきゃ迷えないし!ぼくも応援しております!今後もシネマンション含めよろしくお願いします!

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