11/1公開!超新作映画『ビブリア古書堂の事件手帖』ネタバレ無し感想文 〜本には持ち主のドラマがある〜

古書に関することなら朝飯前、人見知りという弱点は吹き飛び、スラスラと本について喋り出すビブリア古書堂の店主・篠川栞子(黒木華)

ひょんなことからその古書店でアルバイトとして働くことになった本を読むことができないフリーター・五浦大輔(野村周平)

この2人の元に舞い込む奇妙な客人が持ち込む事件を次々と解決していくバディものが原作小説『ビブリア古書堂』シリーズです。

映画化された小説の第1巻は4編のエピソードから成り立っていて、栞子は冒頭から入院しっぱなしでベッドから動けない!大輔はそんな栞子の元に直接足を運び、客人からの依頼内容を口頭で栞子に説明すると…彼女は現場行かずして病室で事件のすべて推理をし的中させてしまうという『ボーン・コレクター』のデンゼル・ワシントンを彷彿とさせる名探偵っぷり!

フジテレビで連続ドラマ化された際はキャスティングが合ってない!と大炎上したものの、ドラマオリジナルのキャラクターを加え物語を賑やかせつつ、原作通り1話完結仕立てにしたことで原作の軽妙さを生かしたシリーズとなりました。

そして、今回の三島有紀子監督版『ビブリア古書堂』はドラマの逆手をとって、登場人物を限界まで省略し、夏目漱石の『それから』と太宰治の『晩年』この2冊にまつわるエピソードに絞り、さらには原作には無かったとある人物の背景を掘り下げることで、全く違ったディープな1本に仕上がっています!

登場人物を絞ったことでミステリーとしての意外性は希薄になりましたが、原作では描かれなかった【過去パート】をしっかり描くことで現代で扱っている2冊の本がリンクし、切ないラブストーリーが展開。全く関係ないと思っていた回想シーンがまさかの繋がりを見せてくれる驚きが!

この大胆な省略と追加は「本には持ち主のドラマがある」という原作小説の精神を最大限に具現化した結果ではないでしょうか?

「好きです!」と思ったことなんでも言っちゃう馬鹿らしいラブストーリーではなく、本を渡す時の手の力み方、実際の距離感、カツ丼…など説明に頼らず【映画ならではの描写】で男女の心の距離を表現しつつ、劇中で扱われる小説に実際にある文章や台詞を引用しながら交流を深めるという描写もお見事で、三島有紀子監督の演出が冴え渡っております!

原作ファンからすればドラマ版で足りなかった部分を補ってくれているし、初見の人からしたら、しっかりサプライズがあって楽しめる美しくて落ち着いた良作です!

 

10/6公開!超新作映画『LBJ ケネディの意志を継いだ男』〜目立たずともやるべきことを成し遂げた男の奮闘!〜

LBJ…?ケネディの意志を継いだ男…?

アメリカの大統領ジョン・F・ケネディ、JFKは馴染みがあるけど…LBJ…リンドン・ジョンソン?…ケネディの次の大統領か……。

なんだかピンとこないまま試写会にお邪魔させていただき鑑賞。

 

 

映画冒頭、エアフォースワンで空港に降り立ったケネディ大統領。

アメリカの理想を描き、そのスター性溢れるルックスからも国民から絶大的な人気があったケネディ大統領はもちろん空港の出迎えで大人気!拍手喝采!握手を求められるカリスマ大統領!

そのケネディの後ろについていたジョンソン副大統領ももちろん国民に手を差し伸べるが、誰も見向きもしない…

すねっちゃって車に向かうジョンソン。

 

か…かわいい…

 

 

切なくて涙ぐんでしまう大好きなシーン!

ケネディに比べ怖い顔で、職員の前では下ネタを連発で大胆。けれど、しっかり仕事で結果を残し【自分と違った考えの人間を切るのではなく味方として取り込んでいく】という知恵のあるジョンソンの男っぷりにハートをつかまれすっかりファンになること間違いなし!

副大統領になったものの周囲から蚊帳の外にされていることに気づき奮闘する中、ケネディ暗殺事件が発生。

幼い頃から願っていた大統領という夢が最悪の形で叶ってしまう。

もともと国民から人気のなかったジョンソン新大統領は不安を抱えるものの、周囲には一切出さない。

どこで弱音を吐くかと思いきや奥さんとの寝室。

仕事で凹むとお酒とアイスクリームを奥さんのいる寝室へ持って行き「俺なんて…」とすねながら食そうとすると、奥さんから「ダメでしょ!こんな時間に!」と叱咤されるジョンソン。

か…かわいい。

 

なんと人間味のい溢れているんだろうか!

猿の惑星、ハン・ソロ、スリー・ビルボードと荒々しい役が続くウディ・ハレルソンがLBJを好演。

最近の役とは違い、不器用でチャーミングかつ仕事にかける男を演じきっている。

実際、アメリカ国民にロマンを語り希望を持たせたのはケネディ大統領だったが、公民権法や貧困対策などの法案を成立させていったのはLBJだったそう。

目立たずとも着実に仕事をし、実現させていく男の鏡のようなLBJの奮闘をその目に焼き付けましょう!

新作映画『散り椿』感想文 〜ちょっと!これはすごすぎる!V6 岡田くんの新境地到達を目撃せよ!〜

「時代劇」

聞くだけで食わず嫌いしてしまう人もいるだろうし、いくらそれがV6の岡田准一主演だとしても広告から漂う静かな雰囲気が「なんか地味そう…」と思わせてしまうのもわからなくもない!ない!

しかし!

そんなもんじゃなかった!!!

ラブストーリーをベースにした岡田くんによるリベンジ映画でした!!!

 

監督、撮影は生きる伝説・木村大作さん。

若かりし頃から黒澤明監督の作品に撮影助手として『隠し砦の三悪人』『用心棒』などに参加し、そこからも『八甲田山』『鉄道員』など。(雪大好きな監督)本作『散り椿』は監督作としては3作目。

経歴的に【日本映画の本流】といえる映画人ならではのこだわりが随所に。

もちろんデジタルはなくフィルム撮影による独特の画面のザラつきが逆に新鮮でこれまた味わい深く、中でも黒木華が頬に流す一筋の涙はまるでCGで加工したかのように白く輝いていて美しい!(どうやってるのかわからないんだけど、おそらく照明さんとの職人技!)

スタジオは使わずオールロケという試みにより、もちろん現実味は増していて室内から映す外の葉の揺れや自然光の当たり具合など、大河ドラマ等で見飽きたスタジオにある人工的な雰囲気とは一線を画す領域。

普通は画面に役者がしっかり映るように加減して降らせる雨、雪もリアルを追求し容赦なく土砂降らせていて笑っちゃうほど。

 

 

待ってよ、待ってよ。だとしてもなんか退屈そうじゃん…と思ったそこの君!

僕もそう思ってたんですよ…岡田くんの殺陣を目にするまでは!

 

もう、本当にスゴイんだから!!

 

三池崇史監督『十三人の刺客』(2010)を観ると一目瞭然なんですが、若手の役者さんらの殺陣と違って松方弘樹さんの刀の使い方って全く違うんです。

腰が入っているというか、本当に重たい真剣を振っているんだっていう迫力がありました。

「ああ〜、やっぱり昔からの役者さんは別格だな〜」って思ったの覚えてるんですけど……

いやいや。岡田くん!!!岡田くん!!!…岡田くん!!!!

木村監督は高倉健さんを意識させたっておしゃってるんですけど、これは明らかに『用心棒』『椿三十郎』の三船敏郎さんですよ!!

 

 

刀を抜いて何人も一気に斬る一連の流れを1カットで撮るのはまんまだし、そもそも本作の御家騒動だったり、用心棒として利用される展開や、何より「椿」というモチーフは明らかにそれと重なる部分があります。(原作があるわけですが、監督の脳裏には『用心棒』『散り椿』がこびり付いていたはず)

三船さん演じる三十郎をもっと堅実にした感じが今回、岡田くんが演じる瓜生新兵衛という浪人武士。

岡田くんが自ら考えたという刀の殺陣はもちろん斬る前と斬った後の覇気がスゴイの!

度々、襲ってくる刺客を岡田くんは殺すのではなく、手首に傷を負わせて刀を握れなくさせたり打撲によって戦意を喪失させ、つまり「故郷に帰りな」という紳士な振る舞い。

なんですが……

後半、岡田くんの感情が表に出てきて【本気】で斬る場面が登場するんですが、刀を抜くときに体から滲み出るモノが全く違うんですよ!覇気というか殺気というんでしょうか?

少し猫背気味になって怪しい雰囲気を醸し出し、ためてためてヌラリと刀を抜く…

 

や、やばい!こいつ本気だ!!!

 

ってすぐわかる。すげぇ怖いの。

そんなマンガ見たいな話…と鼻で笑ったそこのアナタ!劇場で観てみればわかるから!!!

ほんとに体からなんか出てるんだって!

 

そんな殺気ガンガン放ちまくって人を斬りまくる岡田くんに対して敵が一言…

 

「鬼か…」

 

キャーーーーーーー!ばんざーーーーーい!かっくいいぃぃぃぃぃーーーーー!

 

 

 

こんなにスゴイ岡田くんを引き出してるのが、相手役の西島秀俊さん!

この2人クライマックスでエライ事になってジャンルが変わったのか!?と思うくらい激しいことになって開いた口がふさがりませんでした。

ラストで敵に下すある屈辱的な行為も(岡田くんのアイデアだって)お見事すぎて鼻血出そう。

もっと静かで画面の綺麗な美しい映画で終わると思いきや……いや〜、こういう衝撃は本当に幸せですね。