新作映画『クワイエット・プレイス』感想文 〜全ての生活音が【死の扉へのノック音】〜

ホラーと聞いたら、幽霊や心霊現象を思い浮かべる人は多いはずで僕もその一人。

おまけにポスタービジュアルといい宣伝に「イットを超えた!」とか書かれたらより一層そっちの考えを膨らます人が多いと思います。

本作『クワイエット・プレイス』はその想定で観に行くと「思ってたんとちが〜う!」とか言われちゃうので、その考えは捨ててもらいたく思います!笑

 

これはホラーというより【体感型サバイバル映画】でした!

 

事前に解禁されている情報が少ないので、この記事でも極力ネタバレは避けますが、もし観に行く予定のある方は静か〜にこの画面を閉じていただきたい!(静かに閉じないと即死!!!)

 

 

 

 

まず、秀逸なのがこの大胆な設定。

音を立てたら即死というキャッチコピーのまんまで、音を立てた瞬間に容赦なくお陀仏!あの世行き!

(音を立てたらやってくるヤツのあの感じは部屋で騒いでるとクレームを入れてくる隣のおばさんって感じで、スゴく苛立ってていい味出てました。「もおおおおお!うるさいのよ!」って。)

この設定によりどんな日常生活の些細な動きでもすべてがスリリングになります!

歩く、お店に行く、音楽を聴く、おもちゃで遊ぶ、出産、ちょっとした生活音すべてが死への扉を叩くノック音になってしまうわけです。

最新の注意を払う緊張感もそうだし、この環境を逆手にとった主人公たちの【生きる知恵】を観てるだけで猛烈に楽しい。

防音のため道にまかれている砂、防音のためのクッション、本来邪魔になるはずの車の使い方、花火のトリック、赤ちゃん(そもそも子作り中の音は大丈夫だったんかい!どっちも静かなタイプなの?)の鳴き声対策……

この設定により本編中は静かな時間が流れ、観客である我々の息遣いまで聞こえてくるほど(ポップコーン買わなくてよかった…)の静けさ。

そういった我慢が蓄積され解放される時はダイナミックに!静かな時は徹底的に静かに!音を出す時はバカでかく!この緩急により謎の気持ち良さが胸を駆け抜けます!(こっちも我慢しるもんだから映画内で大きな音を発する時に一緒に叫びたくなる!)

 

 

特に筆者が感動したのは【音を立ててはいけない世界】のそのまた向こう側にある【音がしない世界】を描いていた事。

こんな環境下だから、みんな小声でコミュニケーションを取りながら手話を用いて会話をするんだけど、この家族の中に耳が聞こえない少女が出てくる。

冒頭で特に説明がないので最初はわからないんだけど描写が秀逸。それはまさに冒頭で少女が弟と対面して会話する場面。弟を映すともちろん静かなんだけど空気の流れの音や服や指がこすれる些細な生活音が入る。しかし、少女を映すとそういった環境音が一切なくなるんですね。軽めの耳鳴りがしてる感じ。無の世界がそこにはある。

最初観た時「ん?なんだ?」って思うんですけど、だんだんわかってくる。

彼女の世界にはそもそも音が存在しない。

これ面白い!!!

静寂の世界のその先にもう1つ奥に【本当の静寂の世界】があって、それを映像演出で観客に伝えてくれている。これは映画ならではの芸当です。

これによって彼女はこの環境下では不利であるために、より一層にスリリングさが増します。

しかも、そんな彼女を救おうとある人物が毎日努力していたとある事がこの窮地を救うキーアイテムになるという…上手い!!!素材を無駄にしてないですね〜!

ちょっとM・ナイト・シャマランの『サイン』と通じる部分が多い感じがしましたが、本作の方が密度的は高い!

つまり、この映画は【音を立ててはいない世界】という大胆な設定を生んだ上で決してあぐらをかかず、細かいディティールに凝りまくってこれでもか!ってくらい限界まで面白くしてる偉すぎる映画なんですね!

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