新作映画『アントマン&ワスプ』感想文 〜銀河も大事だけど、目の前の人を全力で救う庶民的パパヒーローがいたっていいじゃないか!〜

衝撃作『アベンジャーズ / インフ二ティ・ウォー』(以下、『IW』)を本当に楽しむには、この10年間で蓄積されたMCU作品群を追い続ける必要があり、作り手がそういったリスキーな選択をしたからこそ『IW』は余計な説明を挟まずテンポを損なわずに怒涛の展開をすることができた濃い〜傑作でした。

そんなビッグバンの次の作品がちっちゃくなったりおっきくなったりするヒーロー・アントマンの続編『アントマン&ワスプ』ということで、どうなるんだ?と思いきや……

前の『IW』の余韻を一切引きずらずにアントマンはアントマンらしく伸び伸びと(実際、本編内で伸び伸びと巨大化していました)キャッキャしてて嬉しかった!

銀河壊滅の危機!という規模の大作をやっておいて、次はこんなに可愛い作品を世に送り出すなんて、さすがのバランス感覚であり、観客を飽きさせない。

 

この手の映画で個人的に上がるのって「大きなハッタリ」だと思っております。

ハッタリってなんなのか?って。たとえば、博士が持ってるケースの中にトミカサイズの小さな車がクッキーみたいに敷き詰められてる。(カツンカツンって音的に完全にトミカ的なオモチャ)それをリモコンで巨大化したり縮小したりして持ち運ぶ。

 

このハッタリ感!!!わかります?

 

CGじゃなくて、実写で撮った実物を「こういうもんです!」って言ってる感じ。冷静に考えたら、馬鹿らしくなっちゃう設定を工夫して本当かのようにリアルに見せようとしている映画ならではの特撮感というんでしょうか。

だから「持ち運びできるラボ」ってのが登場してこれを奪い合うんですけど、これはもうたまんないわけですよ。

でっけぇビルがリモコン1つで小さくなって、がらがらケースになって持ち運ぶ。そんな運び方してたら次大きくした時に部屋の中ぐっちゃぐちゃになってない??って愛おしくてニヤニヤしちゃう。

このすげー非現実的な設定を実物を使って表現してる感じが最高なんですね!

54年の一作目の『ゴジラ』もオキシジェン・デストロイアっていう兵器が出てくるんですけど、この手作り感溢れるアナログな兵器を球体の開き方とか泡とか熱帯魚を使った映像的マジックを駆使して、あたかも「とんでもない危険な兵器」に見せる。そもそも本多・円谷ゴジラ自体が着ぐるみを着せて、街を小さくして、歩いてる映像の速度を落として「ハイ、大きい怪獣が歩いてますよ〜」っていうのが心の琴線にバンバン触れるわけですよ!

だからハッタリ!伝わりますか!?

こんだけCGI多様の時代にアントマンはそういうことしてくれるから、すんごい可愛くて好き。

スーツだって小さくなっててセロテープでくっついてて、それを大きくして真面目な顔して着ちゃう…って。楽しすぎるよ。

巨大化して海に現れるアントマンがCGじゃなく実写の着ぐるみ使って特撮的に撮影されていたら僕は昇天していたと思いますね!

そんな楽しいディティールしかり、作品のテーマ性も素晴らしかったです。

アントマンたちは目の前の1人を救うために頑張ってて、他作のように敵を倒すとか殺すとかっていうパワーゲームにならないんですよね。『IW』がまさに弱肉強食的な話だったので、『アントマン&ワスプ』のテーマ性は余計に目立ちました。

今回のヴィランも世界征服とか滅亡とかじゃなくて、自分の病気を治療するためにラボを奪おうとする。

小さい規模での戦いなんです。

善悪の戦いがみてぇよ!!!って人には物足りない気もしますけど、だってほら。ちょっと待てば『IW』の続編でそういうのやるからちょっと待ちましょうよ!

アントマンは敵を壊滅させるぞ!とかそういう荒々しさがなく、攻撃ではなく「救い」が目的なんです。

ていうのも、やっぱりアントマンはヒーローである前に父なんですよね!目の前の娘を守ることも彼にとって一番のヒーロー活動ですよ。娘を悲しませないために、仕事中で気まずい中スーツを脱いで家に帰ったりするんですよ。

まずは、大事な娘なんです。だから、どんなに危機的な状況でも娘からの緊急電話には出るし、無事に保護観察期間を終えて、外の美味しい空気を娘と一緒に吸いたいんです!

娘とヒーロー家業の両立……『IW』直後にこの庶民的なテーマ性はすごくないですか?

全国のお父さんの応援映画ですよ、これ。そういう庶民的な感覚を持っているから敵と戦ってどうこうじゃないっていう精神性にもすごくリアリティがあって。昔ヤンチャして喧嘩っぱやかった人も結婚して娘ができると責任感によって一気に更生するってあるあるじゃないですか?

パパだからこそ社会にも迷惑かけないよう攻撃ではなく守りを大事にするようになるんですね。

そういう意味ではアベンジャーズ内で一番大人の男なんじゃないっすか???アントマン!

で、このアントマンならではの「救い」というテーマがラストで活かされてグッとくるんですね。

相手を救うのもヒーローじゃん?って。

さらに言うとですね、この映画で笑ったりワクワクして楽しむこと自体が『IW』で後遺症を負ったファンにとっての「救い」であり「治療」になってるわけですね!

GotGシリーズのジェームズ・ガンがクビになった今、MCUの空気を明るくしてくれるのはアントマンしかいないんじゃないでしょうか!?

頼むず!アントマン!頑張れ!パパ!

 

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