新作映画『ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー』感想文 〜ネタバレ無し!すっかりキャバくなってしまった幼馴染と銀河を大冒険!〜

 

遠い昔、遥か彼方の銀河系で……帝国が設立され、強制的に労働させられる惑星に束縛されていた孤児のソロとキーラだったが、ある出来事によって2に人は離れ離れに。

それから3年後。入隊した帝国アカデミーの上司との関係性がうまくいかず、その場にいた盗賊と合流するハン・ソロは誰にも従わず自分が思う通りに生きる流れ者!まさにアウトロー!銀河の寅さんと化していた!

風の吹くまま気の向くままに生きる車ソロ次郎の願望は1つ!

 

愛しのキーラに再会し、共に旅をすること!

 

 

すると、ひょんなことからキーラと再会!

まじかよ!!!ラッキーすぎる!

話終わりじゃん!

 

 

と思いきや……田舎にいた時とすっかり変わり胸元ぱっくり開いた服をまといキャバくなってしまったキーラ

 

「あら、ソロ。久しぶり。垢抜けないわね」

 

さらには、自分よりも金持ちで小綺麗な犯罪組織のボスの女に……

ソロが昔のノリで接するもキーラはどことなく冷静。

 

「これまでの私を知ったら、もうそんな目で二度と見れなくなるわ…」

 

ドキィィィィッ!

 

そう、この3年でソロは必死こいて愛しのキーラを必死に追っかけていたが、キーラはもう「大人の女」になってしまっていた。

これまでのSTAR WARSシリーズでそれなりのラブロマンスはあったけど、こんなリアルな生々しい恋愛模様は初めてじゃないか…?

別次元の女になってしまったことに気づかずガキ・ソロは懲りずに「俺と一緒に旅に出ようぜ」っとキーラを隙あらば口説く。

 

違うんだよ!!ソロ!!

 

もう君の出る幕は無いんだ!!!キーラは昔と違う!

そんなキーラもソロに対して「あなたと銀河を旅することを考えると○○」と昔から想っていた心情をソロに吐露するんですが…その気持ちは明らかにソロを男として見ているわけではない事がわかる。それでもソロは能天気にニヤニヤが止まらず決め台詞

 

「迎えにいくぜ」

 

違うんだよ!!ソロ!!

もう無理なんだよ!!!

 

高校時代、秘密基地作ったり川でザリガニ獲ったりする日々を送っていたクソ童貞の僕が年上の男性と付き合う、というステータスがかなり上の同級生の女の子に対して抱いていたあの感情…あれと同じだ!

「うわ、エロい…」という思春期ならではの感情と共に「やめてやめて…」と思っていたあの感情!あのズレ!虚無感!

エピソード4では童貞ルークをガキ扱いしてスカしていたハン・ソロにもこんな時代があったのか…!

ソロ!!!

今のおまえルークみたいだぜ!!!

 

 

バカだね〜、まったく…。

 

そう、これは誰もが憧れる【幼馴染との恋】を成就させようとする大人になれないソロによるすれ違いラブストーリーだったのだ!

 

そんな切ない話がベースにありつつ、ファンを唸らせるサービスや超サプライズを程よくまぶし(ファンサシーンでさらっとジョン・ウィリアムズのSWのテーマを流すあたりがしびれる)、ここ数十年間ファンの間で論争が起きていた【ソロの倫理観】についてもラストでしっかりアンサーを出してきてくれている!

このラストはヤクザ映画『県察 対 組織暴力』や『暗黒街の対決』で描かれたような荒くれどもの不器用な友情、生き方を彷彿とさせるジェダイでは描けない熱いアウトローな展開!

ちゃんとハン・ソロならではの、ハン・ソロによるハン・ソロ映画!

ファンが楽しみにしていたフィル・ロード&クリストファー・ミラー監督の降板の衝撃、本土で他のSWシリーズより興収が低かったりと観る前の情報でいろいろのノイズが多い本作ですが、初見の観客でも楽しめる痛快な冒険活劇!ぜひご覧ください!

 

6/30公開!超新作映画『明日にかける橋 1989年の想い出』レビュー 〜リターナー鈴木杏による過去改変祭り!〜

かつて山崎貴の『リターナー』で未来からやってきて、金城武と共に人類を救った鈴木杏ちゃんがまたしてもタイムトラベル!

今回は宇宙人から人類を救うとまでは言わないけれど、1989年の夏に交通事故で死んでしまった弟を救うんだ!

 

 

父、母、弟と暮らす主人公・みゆきは高校生という思春期真っ只中で、チャラいバンドマンの彼氏を作り「おらこんな村いやだ!」と吉幾三ばりに田舎を出たがる。

東京いくべ!

 

 

そう思っていたのもつかの間、弟がトラックにひかれて死んでしまう。

そこから家族は音を立てて崩れていく。

母は心を病み、父は酒浸り。そんな中、バブル崩壊が訪れ父の会社は倒産。

そんな家族を支えるため故郷でOLとして働くみゆき。バブル崩壊によって、同級生は親が倒産したり、本人が自殺したり…生々しいニュースを交えながら実際に起きた当時の日本の経済不況が永遠と描かれる。

バブルについては知っていたが、直接的に被害にあった家族の苦しすぎる生活をここまで可視化されてしまうと、身にこたえる。

 

そんな重々しい前半だが、地元にある橋を渡り奇跡を起こしたリターナーみゆきは弟が死んだ年にタイムトラベル!

 

 

この手の映画はタイムパラドックスが云々かんぬんと難しい話に陥り、タブーが発生し、話がややこしくなるのが常であるが……

この映画、その辺はすべて無視。

30歳みゆきは弟を救うために奔走し、当時の高校生の自分とも喋るし、母とも父とも対面!

ていうか、当時の問題にガンガン介入しまくり、過去改変祭り。

挙げ句の果てには、自分を騙していたバンドマン男を平手打ちするという大暴れっぷり!

 

 

「こんなに無茶したら…未来変わってしまう…」というこっちの心配を他所に、リターナー鈴木杏の暴走は止まらない。

デッドプール2でもタイムトラベルを乱用する描写があって、頭でっかちな人にとっては「ん?」となったけど、本作はその比じゃないくらいガンガン無視。

 

 

というか、無視していいのだ!これは主人公が【二度と取り戻せない過去】に置いてきた後悔を念を晴らす痛快ファンタジームービーだ!

そして、鈴木杏が弟を救うために起こす行動は、当時のバブル期を改変したいと願う現代人の願望と完全に重なり合う。

もう二度と変えることができない過去を改変するのは、映画をはじめとするフィクション作品の特権だし、今回はその権利をフルに活用した味わい深い作品でした。

予告編や宣伝では感動系ということが押し出されているが、中身はけっこうエンタテイメント性が高いので楽しめるはず。ぜひ。

新作映画『オンリー・ザ・ブレイブ』レビュー ネタバレなし! 〜おい!サノスよ!こっちのサノスを見習え! 実在した森林消防隊の戦い!〜

エンドロール観ながら「ちょちょ、待って待って勘弁してくれよ…」って言いながら(本当に言ってました)涙ドバドバ。ホントに止まらなくてSAWの新作か!ってレベルのマジ拷問。涙拷問。あんなの耐えられるわけがない。

『アベンジャーズ IW』ではサノス。同年公開で同じくアメコミヒーロー『デッドプール2』ではケーブル役という、今骨のある悪役をやらせたら右に出る者はいない!ヴィラン俳優のジョシュ・ブローリンが今作では森林消防隊のボスを。その消防隊に入団する元ヤク中の新人役は『セッション』でスパルタハゲにボコボコにされ『ファンタスティック・フォー』リブート版ではあまりのコケっぷりにボコボコにされたマイルズ・テラー。

この映画は彼らを含める20名の消防士たちが2013年にアリゾナ州で起きた巨大山火事に立ち向かう実話を元にした物語です。

事件の詳細を知らなかった僕は「なんかバックドラフトでたのしそ〜」と軽い気持ちで映画館へ。

 

すると…

 

お?

なんだ?やけに地味じゃないか?

 

山火事を専門とする彼ら少数精鋭部隊が何をするかと言えば、乾燥した季節に発生する山火事の炎から住宅と住民の命を守るために…

 

木を切り溝を掘る。

木を切り溝を掘る。

木を切り溝を掘る。

その仕事を終えると、ピラミッド作ったり、瓶ビールを飲んだりしながら「こりゃ最高の仕事だぜ」と。

 

おいおい!

 

おれは今『北の国から』を観てるのか?脚本・倉本聰なの?

 

 

しかし、消防隊の若者達が仕事の合間に

「昨日さ○○とヤってさ〜」

「え?マジ?やば!」

「激しすぎたわ〜」

みたいなキャッキャする会話を観て愛さずにはいられず、あぁ!いいよな!仕事の合間で話すそういう話が一番楽しいよな!ってなんだかのほほん。

また、各登場人物が妻との関係、娘との関係、彼女の浮気…あらゆることで悩む姿を見て寄り添いたくなる。

「そうだよね、地味に見えるけど死と隣り合わせの仕事だもんな…。悩みを抱えながら戦ってるんだよな…」

 

 

実力ありすぎるキャストの名演もあって、こっちの気持ちがぐいぐいぐいぐい引き寄せられ、みんなに心が持ってかれる前半戦なんですけど、ある場面での急な展開……

 

ああ……

開いた口がふさがらない…

嘘だろ……

 

あえて押さえた前半で「人間」を描くことを徹底。それによって表面上の感動を呼ぶのではなく、現実の彼らがあの時どんな想いでどのように仕事を成し遂げていくかを描いた最高にアツイ男の映画だった。

そこからの例のエンドロールでストレートパンチを数十連打くらいます。

 

 

なんか、ヒーロー映画が溢れすぎてるこの世でいつの間にか【勝手なヒーロー像】が頭の中に出来上がってしまっている自分に気が付かされました。

映画じゃなく、ぼくらが生きてるこの現実に【本物のヒーロー】はいて、それは思ってたより地味で目立たないけど、ていうか、もはやぼくたちがそのヒーローに守られている事実さえ知ることはないかもしれない、それくらいの次元に本当のヒーローはいるんだって、そう思えた大事な1本になりました。

 

 

 

新作映画『ワンダー 君は太陽』レビュー 〜応援されたり応援することで人は生きていける応援映画〜

病気を利用してお涙頂戴する映画だったら嫌だなぁ…と思いながら『ワンダー 君は太陽』を鑑賞。

生まれ持った障がいによって人とは違う顔を持った10歳の少年オギーはこれまで自宅学習をしていたが、5年生からは学校に通うことになる。

オギーが宇宙服のヘルメッドをかぶることで身を守り、唯一の心の拠り所であるSTAR WARSの空想をしながら自身の生活をおくる…

そんなストーリーを「ふむふむ」と冷静なぼく。

「オギーの純な心を利用して観客の同情を引かせ病気なのに頑張ってる的な感動をさせようとしてるなら、その手には乗らないぞ〜!」とイヤな心構えをしていたんですが…

 

しかし…!

なんとまぁ!

 

 

主人公・オギーの説明シーンが終わったと思いきや…突然、映画の視点が切り替わります。

オギーに構いっぱなしで自分は【手のかからない子】と親から言われてきた姉・ヴィアの話!

ヴィアは大好きな弟を支えながらも、彼女には彼女の世界があってそこで悩んでいて苦しんでいる様子が描かれます。

「そうだよね〜。お姉ちゃんにはお姉ちゃんの悩みがあって、辛いのはオギーだけじゃないよね…」と彼女の孤独をそこで感じた時にぐわっと勝手に落涙。

「やべ!やべ!こんな不意打ちのパンチ食らうとは思わなかった…!」

と予想外のカウンターに焦りながらも涙止まらず。

「あれ?あれ?おかしいな?こんなはずじゃなかったのに…!」

 

そこから、オギーの友人ジャックやヴィアの友人ミランダ……次々と視点が変わり、あらゆる人物の人生が語られていきます。

そこでハッとしました。

これはオギーの顔を病気としてとらえているんじゃなく、1つの個性であり乗り越えなくてはならない壁として描いてる!!!

だから、オギーだけを描いて「病気なのに頑張ってる〜」とか「かわいそう…」と同情を引かせて泣かせる作りになってない。

むしろ壁を乗り越えたオギーはすごく楽しそうに少年期を謳歌してるんです!

じゃあ、この映画なんなんだ?と言いますと、副題にもセリフにもある通り「オギーは太陽」で彼を中心として周囲の人間が回っている1つの宇宙みたいな話。

しかも、みんなそれぞれの人生を歩みながら絶妙なところでオギーやその他の人間と絶妙に折り重なっている部分があって、こんな表現チープですが、支え合っているんですね!

ただし、お互いに考えていることはわからないから勘違いやズレが生じる。

こっちは嫌われたんだ…と思っててもあっちは実は好きでいてくれている。でもお互い正直に気持ちを言えないから陰からそっと応援してたり、みたいな。

これは【誰かに応援されたり応援すること】で人は生きていけるという応援について描いた傑作映画だったんですよ!

個人的に1番泣いたのはヴィアと親友ミランダの演劇シーン。

あそこは気持ちがすれ違ったままの2人だったのに……ミランダ!!!あんた偉いしエロいよ!かわいいよ!大好きだよ!!!ミランダ!!!

新作映画『名探偵コナン ゼロの執行人』感想文 〜社会派で大人向けの前半を払拭するコナン君の暴れっぷり!〜

1997年に公開された名探偵コナンの記念すべき劇場版第1作目『時計じかけの摩天楼』は怪しいと思っていたヤツが結局犯人だし、その犯人が変装した場面でも「いや、変装できてないよ!あんたあいつだろ!」と思ったことがすべて的中してしまうくらいの可愛らしい出来だった。(disではございません)

だが、今回の22作目に当たる『名探偵コナン ゼロの執行人(しっこうにん)』紆余曲折を経た作品のトーンが完全に【大人向け】にシフト。

しょっぱなから毛利小五郎が冤罪で逮捕されてしまい、そこを乗り切るのはコナンくんの推理や無茶なメカではなく【法】という武器で、司法制度や公判前手続きなどまるで社会派法廷ドラマのような物語を前半1時間近く使ってたっぷりと描く。

クライマックスでも国を守る公安警察という組織ゆえに生じる悲劇や闇がドバドバドバ〜っと出てきて胸が痛む展開に。

そんな空気を払拭するかのように、最近のシリーズではすっかりお約束となったコナンくん大アクロバティックシーンが炸裂!

以前は、なんやかんやあって転がっていく観覧車をコナン君が自力で止めたり、なんやかんやあってスカイツリーの高さまでジャンプしたコナン君が展望台にシュートしたり…とアメコミヒーローばりの活躍を見せたが今回も健在。なんやかんやあって多くの民を救う事になります。

もうコナンファンならチラシを見るだけで、映画内で起こる【最悪の事態】を想定できると思うが、今回こんだけのことをやってしまったら次どうするんだ?と。いよいよコナンは宇宙に行く話になるんじゃないかと今からヒヤヒヤもので楽しみ。

このようにアンバランスな作りになっている意欲作だが、コナンお馴染みの【キャラクターの活躍によりアガる】ポイントが要所要所で発揮されるという力技に心の急所を突かれる観客のおかげもあって、現在では興行収入78億を突破し歴代シリーズの記録を更新中というバケモノシリーズに変貌を遂げた。

体は小さくなっても頭脳と集客力は衰えない本シリーズ、来年以降も目が離せません。

新作映画『デッドプール2』感想文 〜アメコミヒーロー映画の地縛霊・デップー再び大暴れ!今回は社会風刺⁉︎〜

『デッドプール』シリーズはヒーローのルールや常識が溢れかえったこのご時世だからこそ生まれることができたカウンターパンチ的作品である!

今、私たちが楽しく神輿を担いでお祭り騒ぎのできるアメコミヒーロー映画は先人たちの失敗作の積み重ねがあるから。そして、このご時世ではそのパイオニアたちの黒歴史は永遠に歴史に刻まれてしまうし、結果主義のハリウッドではそれ以降の仕事に多大な影響を及ぼす……。

 

その失敗群から生まれた地縛霊がデッドプールであり、演じるライアン・レイノルズです!

 

「パイオニアである俺たちを忘れるな!!!…いや、忘れて!消したい!!…消す!消す!」と言わんばかりにライアン・デップーは暴れ、ルールを壊し、常識を裏切ってくる。それらはアメコミ映画飽和状態に苛まれた観客に向けたサービスでもあり、そこに加わる開き直った自虐ネタ、パロディの数々に私たちは腹を抱えて笑う。(個人的にはXフォースのくだりに爆笑しならも、あいつがああなった意味を後から考えるとなんだか深い)

あ〜あ。おもしろ〜イ。

ここまでは前作でもやってたことだしおなじみのデップーが観れてキャッキャしてる私たちだが、気づけばハッとする……あれ?何かが違う…

もともとデッドプールの元であるX-MENのコミックシリーズは人種差別が根本テーマにある作品だが、今回はそういった社会問題のネタを本家以上にどんでもない量でぶち込んできている。

なんとまぁ、デップーなのに体型、性別、人種、同性愛に対する大きいくくりでの【差別と偏見】が根本的なテーマになっていて随所にネタが散りばめられている。しかし、説教くさくないのはあまりにもバカらしい振る舞いを貫くデブノルズのおかげであり、もはやこれは社会風刺作品と言ってもいい。

また、前回は「こんなキン○マみたいな姿で彼女に嫌われたらどうしよう」が悩みだったデップーだけど今回はある岐路に立たされ(不死身というある意味で弱点設定を逆手にとったある悩み)以前とは違うマジな葛藤に苛まれる。悩んでももちろん行動を起こすのだがそのモチベーションが胸にググッと刺さり…しかもこれは他のメンバーは知らない彼とあの子だけがわかるモチベであり…デップー映画でこんなことになるとは思わなかったけど……うん、泣きそうになりました!!!冗談じゃないよ?普通にいい話なんだよ!!

監督も『ジョン・ウィック』『アトミック・ブロンド』のデヴィット・リーチに交代したことで相手の銃を利用したガンアクション(特にジョシュ・ブローリン演じるケーブル)や人を殺すための格闘になっていて現実味と外連味が増し増し!作品が内包するテーマ性だけでなく、映画としての外側もグレードアップしており抜け目なし。

なんだよ!ただハチャメチャなのではなく、普通に立派なエンタテイメントじゃないか!

このアメコミヒーロー映画が乱発される中で隙間産業を見つけ観客のツボをおさえたライアン・レイノルズに拍手喝采!