映画コラム

相手の心を瞬時に洗脳し【思い込み】だけで死に至らせる。

例えば、ガムシロップを入れた水を相手にかけスズメバチを放ち、アナフィラキシーショックによって殺害する。しかし、ハチは存在せずすべて被害者の思い込み。

法律ではこの犯罪を立証できない不可能な犯罪。略して「不能犯」

本作は、上記のようなありえない方法で連続殺人を実行する松坂桃李と彼を追う抜群の正義感を持つ沢尻エリカ様のサスペンスドラマである。

殺人を依頼する人間は電話ボックスにメッセージを残し桃李くんはその通りに実行する。殺人は成功し、依頼人の欲は満たされるもののその先に落とし穴があり、結局は依頼人も不幸になってしまう。本作ではこういった幾人もの依頼人のてん末が描かれる。

この展開は『笑うせえるすまん』を起草させる。

人の心を扱うセールスマン・喪黒福造の商品は客の「本来なら叶わない願望を成就」させるが、その先に思わぬ落とし穴があり客は自分の欲深さを反省し業を知ることになる。

そう。松坂桃李くんはイケメンな喪黒福造なのである!

あんなにイイ男なら洗脳されたい…と思っているそこの君!映画を観ればわかるが、洗脳され思い込みによって自滅していく人間たちの最期は悲惨だぞ!

彼は人間とは違った悪魔のような存在。彼の目的は金でもなく自分の利益でもなく「人間の闇を証明する」ただそれだけだ。

これは『羊たちの沈黙』におけるレクター博士であり、『ダークナイト』におけるジョーカーと重なる。

そういったキャラクターを現代社会を舞台に活躍させる上で、説得力と存在感を持つことは非常に難しく、さすがの桃李くん。一方ではパディントンの吹き替えも見事にこなしているという力量と幅が素晴らしい。

電話ボックスに向かって歩くシーンはさすが白石監督で、監督の十八番であるホラーや都市伝説を思わせる不気味さが漂っていて最高にクール!

ただし・・・日常生活の場面における桃李くんはどうしても浮きすぎていて…「この人は…誰からお金をもらって生きてるの?」「え、普段なに食べてるの?」と観てるこっちが実生活が気になりだしてしまうのはイタイ。

桃李くん1人の存在感は圧倒的だが、画面や演出を通じて脅威には感じらないところは大変にもったいない…!

不能犯が人間の「闇」を肯定する存在だとしたら、その対極の位置にエリカ様。彼女は「光」を信じる存在なのだが、酒飲みすぎたせいで足がヨタヨタになってしまい桃李くんをまんまと逃がしてしまい「ちくしょーーー」と悔しがっているところを見ると…

 

ん…?この人は真っ当な光なのか…?

 

と疑ってしまう。

 

ここまできたらエリカ様には常に一升瓶を持っていただき常に泥酔状態。「おい、こら新人〜!」と後輩を殴りつけパワハラの頂点へ!酒癖は悪いが捜査は一流!くらいなアウトローなエリカ様の方が盛り上がったのでは!?盛り上がるというか、その方が似合います!すみません!!!エリカ様!!!

そうは言いつつ、法律で絶対に裁くことのできない不能犯を法に沿って行動する警察が追いかけるというはがゆい構図は見応えがあるし、1つ1つのエピソードにおけるバッドエンドは戦慄させられるので、ぜひご覧あれ。

コメント

  1. この記事へのコメントはありません。

  1. この記事へのトラックバックはありません。