映画コラム

この時期は怪盗グルーもやってるし、君の膵臓を食べたいっていう映画も絶賛上映中だから…

 

「グール観た?」「ミニオンの?かわいいよね」「いや、違くて…」

「グール観た?あの、人肉食べるやつの…」「いや、『君の膵臓を食べたい』はそういう映画じゃないから!」

 

というややこしいやりとりが各地でされていると憶測している今日この頃、本作『東京喰種 トーキョーグール』を鑑賞。原作ファンの知り合いからすると、もちろん人にはよるが、割と合格点らしく、第1巻しか読んでなかったが『暗黒女子』で清水富美加を観て「引退がもったいない…」と心の底から思っていた筆者は劇場へと駆け込みました。

人を食い腹を満たす種族 「喰種」(グール)がはびこる東京。ニュースではグールによって被害が出ていることが連日、報道されている。

主人公カネキは蒼井優に一目惚れして念願のデートを勝ち取るが、なんだかこの子…やけに積極的で…なんだか……

 

 

 

 

 

 

と思っていたら、人間の世界に紛れ込むグールーだった!!

 

やばい!食べられちゃう!

 

蒼井優になら食べられていいかも…と思ったんだけど、顔つきが変わって変身した時の姿を見て後悔……。主人公、絶対絶命!と思ったその時に鉄骨が落ちてきて二人とも下敷きに。搬送された病院で蒼井優の内臓を移植されたカネキは半喰種となってしまった!人肉しか食べれなくなったカネキはグールと人間の間で葛藤しながらも、グールを駆逐しようとする人間たちに対抗していく…。

カネキ君はハンバーグ吐いちゃったり、友達を食べようとしちゃったりと大変で自分の中にあるグールの存在を拒否しようとするんですけど、その度に幻覚として蒼井優が現れ誘われて、そこがすげぇ怖えし爆裂的存在感!蒼井優キャスティングはナイスです!なんというか、体の中から支配されている感がすごいんですね。

 

最初「怖い!グールー!」って思うわけです。人を襲って食うなんてけしからん!って、だけど次の瞬間にハンバーグを食う人間の口元がアップで映ったり、人が飯食ってる時の口の音ボリュームが意図的に大きくなってて耳に残るようになってる。

 

「くちゃくちゃくちゃ」

 

うるさいの。

あれ?人間も生きるために何かしらを殺めて飯を食う…これってグールーと変わらないじゃん。って気付かされるんですよね。

やけに芝居かかった大泉洋がグールを駆逐しようとしてるんですけど、そういうことも相まってグールー側に感情移入していく。

そうか、彼らはただ生きるために人肉を食しているだけなんだ。つまり、これ善悪の話ではないんですね。ポスターにもあるけど「守るために闘う」話です。

こういう観客の気持ちを誘導する演出はナチュラルで非常に上手いと感じました。退屈になりかねない会話シーンもただの会話でなく、主人公の心境を表現する演出として消化してたりと非常に観やすかったです。

ただ戦闘シーンになって、グールーたちの触手的なやつでCG多様するようになったところはやっぱりちょっとゲンナリしてしまいます。『シン・ゴジラ』の最初で尻尾だけが海上から出現した時の不安な気持ちがフラッシュバックしました。

冒頭の蒼井優場面が夜で影とかをうまく使ってあの触手の恐ろしさを表現してて、主人公の顔に触手の影がかぶるところなんていいカット!そういう間接的な描写を増やせばもっとうまくいったと思うんですけど、なんせ原作が少年漫画だしクライマックスの戦闘くらい触手おっぴろげなシークエンスはやらなきゃいけなくなりますから仕方ないですね。

だから、その分ですね、カネキくん演じる窪田正孝と清水富美加の修行シーンは生身でしっかりやってるからあがりましたねぇ!スタントマンもいるでしょうが、身のこなしようが大変に良かった。戦闘シーンでCG多様があるぶんああいうマジのシーンはグッと光りますね!

その訓練後に、クライマックスの決闘シーンに突入するんですが、あの訓練があったゆえにできた技とか戦い方とかが反映されてないのは痛い。戦いに勝つロジックがないんです。やみくもに戦って勝ちました〜って。邦画のアクション映画ってそういうの多いです。清水富美加あんなに強かったんだから、もうちょっと見せ場欲しかったですね。

とはいえ、演出が冴えていたところがけっこうあって、冒頭で【人間】カネキの瞳から始まってラストカットは【半喰種】カネキの瞳で終わる。という粋なつながり演出もイイなと。

 

そして、何より清水富美加の存在感。

『暗黒女子』で親友の肉を鍋に入れて闇鍋するという所業の後に人肉を食う役柄。映画内で人肉食う場面はほぼないんですが、この役の汚い言葉遣いに慣れず嫌になって引退にいたったとか…。まぁ、もったいない。

彼女の役みたいないかにもアニメ向きのキャラって一歩違えたらノイズになるんですけど、清水富美加の説得力は凄まじい。スッと飲み込めるんですね。

「平和」と逆の世界を描くことがエンタテイメントとして成立するということは重要なことで、その作り手にいれることの幸せを感じれずに去ってしまった彼女は最高にもったいないし、そうさせてしまったオトナ達はマジ頭ドンマイ。

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