映画コラム

『忍びの国』

 

自己中心的で残忍なその生き方から「虎狼」呼ばわりされ、織田信長が恐れた忍者が住む国・伊賀

国内で毎日、理由も無く殺し合いで暇をつぶし、技を競い合う忍者の中に最強の男がいた。彼の名は無門。

嵐の大野君演じる彼の前では己を守る城の門は無いも同然!

しかし、彼は石原さとみ演じる妻の尻に敷かれ「こんな稼ぎは意味ねーだろ!」と叱咤され、帰っても家に入れない始末。

どんな門も簡単に乗り越えるのが無門の強味なのに、自分の家の門は超えれないという悲しい現実!

そんなある日、猛威を振るっていた織田信長の倅・織田信雄(知念くん)が父の期待に答えようと伊賀の国を攻め落とすことに…!

さぁ!どうなる!?

というのが、本作のだいたいのあらすじ。

 

原作・脚本は和田竜さんで野村萬斎主演『のぼうの城』と同様に「時代劇」とは言うものの、現代に生きる私たちになじみ深い言葉遣いを所々で入れてたり「強軍vs弱小軍」といったわかりやすい構図や展開もシンプルなので、時代劇に抵抗ある人もダイジョブ!

のぼうの時もそうでしたけど、主人公が「周囲とは違った異彩」を放っている人物設定が特徴的で観客も「ああ。この人が主人公なんだ」ってなじみ深くて受け止めやすい。これって集英社の少年ジャンプに出てくるルフィ、桜木花道、孫悟空、剣心……みたいな主人公像に近いですよね。周りに真面目、繊細、怪力、情熱…みたいなわかりやすくて象徴的なキャラがいる中で、主人公はちょっと力が抜けててオフビート。だけど、力はある!みたいな。そんな主人公に対して周囲の人間がが「な…なんだ、こいつ!!」「なめやがって!!」みたいな反応をすることで、主人公がより異彩を放つ!みたいな。無門もそんな感じなんですね。

だから、冒頭の忍び同士の小競り合いでも無門は金で雇われて戦うんですけど、門を開けて一仕事終えた瞬間に…

 

無門 「ほいじゃ。おいら帰る」

雇い主「おい…また門を開けたら帰るのか?」

無門 「うん。死んじゃうかもしれないし。おいら嫌だ!」

雇い主(ずっこけ)「わ…わかった!じゃあ、お金たっくさんあげるから、あいつ殺してきて!」

無門 「いいよ!ほいじゃ、おいらちょっと行ってくる!」

 

戦った結果、めちゃめちゃ強ぇえええ!!みんなどん引きぃいいいい!!みたいな。

この力の抜き加減はルフィに近いですね。

これって大野君の実際のアイドルとしてのキャラクターとめちゃめちゃ合ってますよね。ほんわ〜って顔してて話してても脱力系。だけど、グループのリーダーやってて、ダンスめっちゃうめぇ!みたいな。誤解を恐れずに言うと初見誰もがナメちゃう顔立ちとキャラクター。だけれど、実際はとんでもない実力者!

ライバルでもある熱血王道キャラの鈴木亮平うぉおおおおおお!って感じとも対になってて、ステキな構図。

実際の戦闘シーンもさすがの大野君。キレキレ、身軽、運動神経抜群。もちろんスタントマン使ってる箇所もありますけどけっこう本人でやってますよね!大事ですよね。代役立てると撮れない場面たくさん出てきますから。

ていうか、途中の場面ではもう楽しそうに踊ってましたよね??あれ?これ嵐の曲?みたいな。あそこ映画としては崩壊してるけど、楽しそうだったな〜

大野君以外の忍者さんも忍びらしいイイ動きしてたり、土にもぐってたり木に紛れてたりと、楽しい忍者ワールドも炸裂しておりましたね。観てるだけでワクワク。

全体的な戦闘シーンもガイ・リッチーのスローモーションマシュー・ボーンの長回し撮影を足して2で割ったみたいなところがあったりして、忍者とサムライの戦い方の違いがよく出ててグッド。

また、善悪を簡単に分けずお互いに事情と信念がある。その上での戦なんだという描き込みも良かったですね。

特に知念くん!「出陣じゃ!」みたいな男らしい台詞やおいしいところは伊勢谷先輩が豪快にぜーんぶ持ってってましたね!長澤まさみがかつて惚れてたのも納得で、伊勢谷がキマリすぎてて逆にまさみちゃんに嫉妬してしまうレベルの格好良さでした。抱いてくれ!

しかし、知念くんも良いのだ。

貧弱で童顔な雰囲気を存分活かして、天才・織田信長を父に持ってしまったコンプレックスの固まりまくり小倅を熱演!

泣きじゃくりながらのわめく場面はちょっと涙腺攻められますよね。

「お前達に慕われてないことなんてわかってるよ…!!けど、僕の気持ちがわかるかい?!何をやっても一番を取る天才の父を持った…僕の気持ちが…!!」

ピッタリでしたね〜。ダース・ベイダーという祖父を持ったカイロ・レンでしたね〜。

この場面で家臣たちは信雄の人間に惚れ込み、国攻めを決心し雄叫びをあげるわけですね。熱いっすね。

こういったように、シンプルでわかりやすい敵味方構図、配役のマッチ、大野君の運動神経によってかなり見応えがある作品になっています。

 

が………大野君が尻に敷かれている妻の描き込みが浅いゆえクライマックス全く気持ちが入らなかったり、人でなしと呼ばれる伊賀の忍者たちの扱われ方もちょっと不愉快ですよね。現代人への警告といのか何なのか。いやいや、伊賀の人たちは自分たちの高等技術に見合った正当な報酬を貰わないかぎり働かないっていうタイプの職人さんでしょ!?金じゃないとかっていうキレイゴトはほざかない、あれはあれで立派な信念じゃないの!?

だからこそ、逃げようとしていた忍び達は発心したところで、本当は強い奴らが本気になったぞ!って盛り上がったのに……

現代に生きる人でなしの子孫はみんな忍者ですよ〜みたいな。忍たま乱太郎に謝りなさいよ。

明らかにこの2カ所は終盤で映画にブレーキかけてますよね。

 

うん、でもいいのです。役者たちの楽しい演技が観れるから!

スクリーンを踊り飛び交う大野君をぜひ劇場で!!

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