映画コラム

 

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地球からさらわれたヤリチン。

音楽を知らない殺人緑女。

冗談と比喩が通じない筋肉バカ。

凶暴な喋るアライグマ。

木。

 

以上5名で構成されたヒーローチーム【ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー】は3年前の2014年 マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)の1シリーズとして世に解き放たれた。

誰も知らないヒーロー達に対して、周囲は「マーベル映画で初の失敗か」と噂をしたが、そんな愚かな疑いをひっくり返し大ヒットを記録。その功績はトロマ映画出身の優秀な脚本家でもあるジャームズ・ガン監督の力も大きい。このvol.1についてはかつて書いた筆者の記事を参照していただきたい。

映画『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』感想文 〜楽しい‼︎面白い‼︎笑える‼︎泣ける‼︎ちゃんとダサい‼︎〜

 

 

【誰も知らなかった】ヒーローたちは3年経ってスクリーンに帰ってきた。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』

 

キャラクターの説明と仲間になる成り行きは前作で済ませ、今回のvol.2で監督はキャラの深掘りと応用を思う存分やってのけた!

 

本来ならばネタバレ無し!で書きたいのだが……ごめんんさい!

興奮状態なのでガンガン書かせていただく。

 

この記事を読む前からもう行く気満々のあなたはもちろんこれ以降は読まずに劇場へダッシュ!

観る気のない方。読んでからでいいので、行ってくれ!いいから!ていうか、黙って行け!面白いんだから…!!!

 

 

まず、本作はシリーズ2作目ということで当然気になる部分だし、いろんな意見あるだろうけど、前作のvol.1は絶対観たほうがいい。

例えて言うなら、STAR WARSをエピソード2から。もしくはエピソード5から観て話の内容を掴みつつ感動できるか?ということ。

STAR WARSにも通ずることだが、本シリーズは【観客が観る銀河の物語】として作られていない。1つ1つの設定や状況を丁寧に客観的に字幕やナレーションで補うことはせず、そこに当たり前のように銀河が横たわりそこで物語が繰り広げられる。

つまり、ご丁寧なナビはなく目や耳で理解し、追い付いてこい。っていう作りなわけだ。世界観を構築する上で、この作り完全に正しい。

こういった事もあるので、もちろんvol.1で起きた事柄を回想するなんていう海外ドラマみたいなやり方はしていない。なので、確実に前作は観るべし!

 

さて!その上でどんな話か。

 

地球。1980年代。ピーターの父であるエゴが、恋人(ピーターの母)とドライブをするシーン。愛し合っている2人は森に得体の知れない花のような植物を植え、それを見守っている。

そして、現代の銀河。ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー(以下、GOG)たちは金箔人間ソヴリン人たちに雇われ、星のエネルギー源となっているエネルギーの源である電池を怪獣から守っている。

緊迫した状況ながらも、いつもの調子で爆笑会話を繰り広げているGOG!

そこへ超キモい宇宙怪獣がドシーーーン!!!

さぁ、みんなで戦うぞ!4人が立ち向かい悪戦苦闘する中で、ベイビーグルートはスピーカーの線をつなぎピーターお気に入りの『Mr.blue sky』を再生。仲間たちが後ろで吹き飛ばされる中でグルーとはご機嫌に踊り出す……そこで、タイトルどん!!!!

 

GUARDIANS OF THE GALAXY vol.2

 

はい!!!前作同様ここで思考停止!!!

 

もう傑作確定。今年1位でっす。

ここから長回しノーカットで踊り歩くグルート。その後ろでは仲間たちが叩きつけられ、ふきとばされながらも「Hey!グルート!大丈夫?」「その虫は食べたらダメよ〜」とかって心配してる。

ここから読み取れる。グルートはみんなの中で【赤ちゃん】的存在になっていて、彼を中心に団結している。前作でグルートは身を犠牲にして仲間の命を救っているから、こんどはみんなが彼の面倒見てるわけです。

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つまり、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー家という一家に赤ちゃんが誕生したという意味合いになっている。前作では5人が【仲間】になる過程を描き、本作では【家族】でスタートしている。

この【家族】というのが本作で大変重要なテーマになるんですが、そのテーマをハイセンスなオープニングの中でちゃっかり宣言している。もうすでにこの時点でvol.1よりバージョンアップしてるわけなんですな!!

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無事に怪獣から電池は守ったものの、アライグマのロケットがこの電池を盗む事で金箔野郎どもから追われるハメに。この金箔野郎共もプライドの高い面倒なやつらで、優秀な遺伝子だけを継承し、業務的に繁殖をするという価値観。面白いのが戦い方で、GOGを追う小型の船はすべて遠隔操作。みんな遠いところからシューティング・ゲームをするかのように遊び半分でGOGたちを追い詰めます。

そんなピンチを救ってくれるのがピーターの父親であるエゴ!カート・ラッセルが演じている時点でもう怪しいんですけど、この親父はとんでもないヤリチン野郎でした!

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エゴは天人と呼ばれる神のような存在。銀河に星を生み出すことができます。ていうか、そもそも彼自身が星。←この辺はもう本編観てください。

かつて、彼は自分の存在意義に答えを求めようと、あらゆる惑星を放浪。人類という生命に遭遇しますが落胆します。「こんなことならすべての星が俺になってしまえ!」そう思ったエゴは銀河のあらゆる惑星に女を作り(ピーターのママもそのうちの一人)、我が天人の力を継承する優秀な子孫を作りつつも、あらゆる星に自分のマーキング(例の得体の知れないお花)をし続けます。

つまり、いろんなところに女を作るヤリチン野郎なんですわ!(だから、ピーターはいろんな女に手を出してたんですね!)

 

まさに、エゴ!!!

自己中心の塊な訳ですわ!

 

そんなエゴの陰謀も知らずに、やっと会えた父親に魅了されていくピーター……。

そこに現れた育ての親であるヨンドゥ。

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血は繋がっていないけど、家族である【ヨンドゥ】と【GOGの仲間】たちがいる中で、本物の父親が現れて…さて、どうなる!?ピーター!!!

ざっくり言ってしまうとこんな話。

 

今回の直接的な敵は2派閥います。

1つはプライドだけ高い金箔星人そして、ピーターの父・エゴ。

面白いのが、どちらの敵も共通している点が2つあり「自分たちを高貴な人種だと思い、それ以外を下等生物として見下している」「優秀な遺伝子残したがる」です。

これに真っ向から立ち向かうのが生まれながらに辛酸を舐め、必死な想いで生きてきた犯罪者集団【ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー】

つまり、敵とは根本的に真逆な存在になっている。エリート思想 vs 負け犬軍団というクソ上がる構図なんです。

下から突き上げ、泥臭く戦うGOGのおかげでこっちの溜飲が下がる!最高に気持ち良いカタルシス!

優秀な遺伝子?民族?エリート?そんなもんクソ喰らえ!

こういった敵との構図戦う意味も前作よりバージョンアップされていますよね。前作は金がきっかけで団結し始めるわけですが、今回は生き様と生き様のぶつかり合い!本人らに意識はなくとも、思想と思想の戦いになっている、くぅウウウウ!あっち〜〜〜〜〜!!!

 

そして、もう1つ踏み込んだテーマが『父と子』です。

実の父 エゴ。育ての父 ヨンドゥ。

前作から感じていたヨンドゥのピーターに対する異常な愛は本作で何十倍にもなって描かれます。その愛の不器用かつデカさに絶対に涙腺崩壊。

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降り注ぐしかばねの中を歩くヨンドゥ…かっちょええですね〜。

 

筆者は気になっていました。

前作でピーターは母親からもらった「最強ミックス」のカセットテープの封を開けます。

vol.1とvol.2は母親からもらったテープに入っている音楽が映画を彩る。けど…そのあとは?つまり3枚目のテープは誰から受け取るのか。という事です。本シリーズにとって音楽は肝ですから、使い回しなんてできない。けれど、母親はもうこの世にいないので新たなテープを受け取る事なんて出来ない。

本シリーズで【音楽】は主人公と地球、そして母をつなぐ大事なアイテムなので、GOGの仲間から受け取るのもちょっと違う。

本来の流れなら、ピーターは実の父であるエゴから新たなテープなり音源をもらうはずなんですよね。親から受け継いでいくという意味合いで。だがしかし、……ここがヨンドゥなんですね〜(泣)

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ヨンドゥを通じて「家族とは血のつながりではない」「自分が探していた大切なものはもっと目の前にあった」とピーターは悟ります。これは【父】との絆の悟りでありながら、GOGを本当の【家族】だと改めて感じる悟りともつながっていく。イコールで結べるんです。

このように2つのテーマを1つの表現で見事に描写しているので無駄がない。こんなの簡単にできることじゃありません。

ちなみに、唸ったのがラストカット。本作ではみんなが過去の家族にけじめをつけたり、新たな家族を迎えたりする中で一番苦い思いをしているあるキャラクターがいるんです。この映画は彼のクローズアップで終わる。劇中で実はこっそり心を揺さぶられてるの彼なんですよね。初めて核心を突かれた。みんなにはもうないプライドや壁が彼にはまだあって、そこをツンツン突かれたんです。

 

上記のようなテーマを濃厚に描きながら画的な既視感はちゃんと0。

見た事ない世界の連続です。

例えば、STAR WARSではおなじみのハイパースペース描写。星から別の星へ瞬間移動するわけですが、本作はそのワープでさえオリジナリティ溢れるルールを入れている。また金箔野郎どものゲーム感覚な戦闘や肌にぴったりと密着したジェル状の宇宙服。ロケットが使用するガジェットの新鮮味、何と言ってもラストの葬式で用いられた色彩の豊かさ。とにかく枚挙にいとまがない。

SF映画としての「見た事あるな〜」というおなじみのアイデアを抜け目なくアップデートし、再提示する。

ていうか、vol.1で見たようなアイデアや似たようなシーンが全くないんですよ!1つも!シリーズ内でアイデアを使い回すようなことさえしてないんです。

その志の高さたるや!たまりません!

 

もうこんなハイレベルになってくると、近年のSF映画におけるマスターピースです。いや、ていうか映画史に刻まれる新たな名作と読んで過言じゃない。

【誰も知らなかったヒーロー】が世間をぎゃふんと言わせてる。映画の中でも外でも。

 

 

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