新作映画『暗黒女子』感想文 〜少女6人が一生懸命に観客を欺こうとする愛おしいキュンキュン映画〜

 

ミステリー映画の内容を語る際に「ネタバレ」には注意しなくちゃいけない。

 

ましてや、すべてを裏切るラスト驚愕の24と予告編に謳われているなら尚更。ネタバレしないように上手く要点を避けながら述べていかなくてはならない。

 

映画の記事を書く端くれの筆者としてもそこは考慮し、ネタバレをしないよう注意して本作『暗黒女子』の魅力を伝えなくてはいけないのだが……ここはいつみ先輩の名言をお借りしよう。

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いぃぃ〜やぁぁ〜だっ…‼︎

※このシーンは最高である。

 

ネタバレはします!!!ガン!ガン!します!

むしろ後半は雑にバラしてしまいます。

なぜならこの映画は見始めてから、あっという間に誰がなんとなく黒幕かわかってしまい、予想通りその人が犯人だから。

ていうか、もはや予告編を観ただけでピンとくるというか。むしろピンときすぎて「いやいや。そんなバカな…」と裏を読もうとするかもしれないが、大丈夫!この映画は真正面からストレートな球を投げてくれている!伏線とよく言うが、本作においては線は伏されず、にピーーーンとわかりやすく目の前に張りまくられている。

 

では、どんな風に線が飛び出しまくっているのか。ストーリーをざっくり追いながら述べていこう!

 

本作は、あるミッション系の女子校のカリスマ【いつみ】が校舎屋上から転落死した真相を探るドラマとなっている。

学校というヒエラルキーのトップにいた人間が退場するというストーリーは桐島を彷彿とさせるが、絶対的な存在を喪失したことによる周りに及ぼす影響に焦点は当てず、あくまで誰がいつみを殺したのか?というミステリーになっている。

被害者・いつみが所属していた文学サークルの中に犯人がいると睨んだ「真相を探る」清水富美加はサークルの部員に【今は亡きいつみにまつわる小説】を書かせ、犯人を浮かび上がらせようとする。その小説の朗読会を恒例の闇鍋を行いながら、小説サークルの小洒落たサロンで開催するのだ。

 

 

ん?ちょっとお待ち。

 

闇鍋?

 

見えた!!!線だ!ピンピンに張ってある!!

 

あまりにも不自然すぎて、もう怪しいじゃないか!

 

この鍋には誰が何を入れたでしょ〜か…?うっひっひっひ…

とニヤつく監督のドヤ顔が目に浮かぶ。

「前回の闇鍋では、マシュマロを入れたお茶目な方がいらっしゃいましたね〜ウフフフフ♪」

緊迫する4人の生徒たちの中でご機嫌な清水富美加。

この中に犯人がいる!

と、お互いを疑いピリピリした雰囲気が漂う中で朗読会はスタート。

まずは平祐奈の小説だ。

『太陽の人』と題された小説は自分がいつみ先輩に惹かれて、文学サークルに入部したこと。いつみ先輩が太陽のように明るい人で自分に家庭教師のアルバイトまでくれたという、崇め奉る内容。しかし、その後に同じ文学サークルの清野菜名がいつみ先輩の父を誘惑していたという暴露……

あ〜!じゃあ、清野菜名か犯人だ!!!

とは、ならない。なぜならこの後に残り3名の朗読が待っているから。

残り3回も清野菜名が犯人です的告発を聞かされるとしたらそれは観客にとって退屈という名の拷問であるからだ。

この時点で物語の筋道に察しがつく。

芥川龍之介原作、黒澤明監督の『羅生門』 近年では大林宣彦監督『理由』中村義洋監督『白雪姫殺人事件』のようなプロットなのだろう!

事件は起きるが、証言者の内容はみんなバラバラで真相がなんなのかわからなくなって…ラストは何かどんでん返しがあるのだ!

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平祐奈の朗読が終わる。

 

「あなたらしい文体で個性が出た素敵な小説でしたね。ウフフフフフ…♪」

 

と冷静に評論する清水富美加。

ここでスクリーンに向かって指をさし叫びたくなる!

 

え・・・あの人犯人だよね・・・?

冒頭でもマシュマロ云々とかって余裕ぶっこいてたし・・・お前なんか知ってるな!??

……まぁまぁ落ち着いていこう。こんな序盤から犯人らしい人が犯人らしい振る舞いをするなんてありえないんだから!

 

平祐奈の後には、残り3人の朗読が続く。4人がそれぞれバラバラの証言をし全員が別々の人を疑っている。ますます羅生門的なテイストの話になってきたぞ〜!!

1人の朗読が終わるごとに必ず清水富美加が「ウフフウフフ♪素敵な文章でしたわ」とご機嫌にかつ冷静なコメントを入れていく。

 

・・・・ちょ、おい!!!!笑

やっぱりお前だろ!!!犯人!!!

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予告編では【真相を探る】とかって言われてるけど、お前のその顔はもう「すべて知ってる人の顔」なんだよ!!!

 

全員の朗読が終わると、富美加ちゃんが立ち上がる。

富美加ちゃん「ウフフフフ♪こんどは私の番。私はね、いつみが書いた小説を持ってるのよ…」

どん引きする4人!なんであんたが持ってるのよ!

富美加ちゃん「座りなさい!朗読会のルールは破ってはいけないのよ。ウフフフフ…」

といかにも黒幕らしいゲームマスター的発言。 

 

いつみの小説には、4人の秘密が書かれていた…。

 

平祐奈は老人ホームのお手伝いと称してエロじじいから金をもらいエッチなことをしていた。

清野菜名は女流作家として受賞した作品は、実は盗作だった。

玉城ティナは双子の妹を事故に見せかけ怪我させて、自分が代わりに日本に留学した。

小島梨里杏は実家の老舗旅館に火をつけた。

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いつみは007顔負けの優秀なスパイっぷりで4人全員の上記の秘密を掌握し(短期間にどうやってこんなに掌握したのかは不明)彼女らを脅して、無理矢理、文学サークルに入部させ「自分が主役として輝けるようこの4人に脇役を演じさせる」という訳のわからない目的を果たしたというのだ。

ここからは面倒なのでいろいろ端折り、とんでもなく雑なネタバレになるが、いつみはある件で4人に裏切られてそれを根に持っていたようで、本当は自分は死んでなくて、これからみんなを殺しに行くよ〜!みたいなことが手紙に書かれていた。

 

富美加ちゃんが代読するいつみの小説は4人を半狂乱にさせる!雷の光の錯覚によって、富美加ちゃんが一瞬いつみに見える。 

この時、筆者はハッとした…!

もしかして、これは…清水富美加の出家先であるあの団体の総裁である某先生の得意技なんじゃないか!!

生きていようが死んでいようがその人の魂を自分に憑依させ語り出す……あれだ!!

こんなところにも伏線が張られていたのだ!!!恐るべし!!!

 

しかし、富美加ちゃんは余裕の表情で語り出す。

「大丈夫。いつみは私が殺してその遺体はバラバラにして、闇鍋にれたわ。ウフフフフ♪」

 

ピンポン!ピンポン!

ピーーンポーーーン!!!

大正解〜〜〜!

 

すべてが正解だった!!!

 

最初から疑っていたことは見事に綺麗に当たっていた。

つまり、本作『暗黒少女』は最初から怪しいと思っていた人が予想通り黒幕で、怪しいと思っていた闇鍋はやっぱり怪しかった。というとんでもないどストレートなミステリー映画なのだ!

 

しかし、落ち着こう。

最初から観客がわかりきってミステリーなのに、女子6人が一生懸命に欺こうとするのはなんとも愛おしいではないか!!!

むしろ、観客の予想を完全に裏切りとんでもない着地をこの映画がしてみせたなら、きっと騙した彼女らを恨み一生応援できなくなるはずだ。

そんなかわゆい映画が本作『暗黒女子』なのだ。

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