読んだら必ず観たくなる

目的のためにそこまでやるのか…とその狂気を疑う一線。

キャッチーなタイトルとポスターからは想像しにくいが、本作にはその一線が登場し、主人公たちはその線を超える。

 

映画冒頭、どーーーん!!!HOLLYWOOD!!!ロサンゼルスの会場で広瀬すずらが所属する高校チアダンスチームJETSが掛け声をあげ、舞台に躍りでる。

だけれど3年前は…???と、話は遡り福井県立福井商業高校に入学した主人公たちの話へ。

主人公の言葉の訛りがなんとも言えないゆるやか〜なムードを醸し出し、入ろうとしているチアダンス部にもマイルドヤンキーばっかりで覇気が全く無し。ただのど田舎にあるゆるめの部活(というか、どこにでもあるごく一般的な部活)としか目に映らない。全米!などという単語は全く連想させない映画のスタートである。

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他の新入部員と比べて、ダンス経験が全くない広瀬すずの取り柄は笑顔「だけ」

退部しようとするすずちゃんを同部員の中条あやみらが止めようとする。「あなたの笑顔だけはよかったのに!」あらゆる部員が口にする励ましのつもりになっている本台詞。この「だけ」の誇張の仕方があざとかったり、顧問であるスパルタ地獄先生(ぬ〜べ〜ではない)を演じる天海祐希が怒る時に雷が落ちたようなピカッ!演出や、間の抜けたシーンで後ろに飾ってあった額がカタっとズレたりと…平成29年とは思えない痛々しい演出のオンパレード。

この時点で青春を描いた可愛らしいアイドル映画。と割り切ってスクリーンを見守ってしまうし、かつて経験した高校時代の青春ってこれくらいユルかったよな〜と誤ったノスタルジーに自らを落とし込んでしまう。

だが、しかし、この映画は後半で最初に記述した「目的のためにそこまでやるのか…と観てる側がその狂気を疑う一線」を超えてしまう。

タイトル通りこの物語は【女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話】である。

これがフィクションであれば、先ほどの緩めの青春期のままなんとかアメリカ進出は可能かもしれない。しかし、これは【実話】なのだ!

腐り果てた弱小チアダンチームがアメリカに進出するし、優勝するには、その一線を超える行動を要する。

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それまであったゆる〜い雰囲気はどんどん姿を消し始める。

怪我を負い、踊れなくなった広瀬すず。チームのために出来ることはないかと、練習で部長に怒られる部員に声をかける励まし役に回る。いかにも、純粋な高校生がしそうな行動だ。が、そんな広瀬すずに地獄先生は一言。「あんたのその感じがチームを油断させんのよ!あと、可愛すぎる。あたしより若くてかわいい子はなるべくいなくなれ!目の前から失せろ!」(ここまで言ってたかは定かではない)

アメリカ進出を目前にしたチームはこんな風に熾烈化していき、部員自ら身を削り、ボロボロになりながらも全米制覇という頂きをひたすら目指す。その姿がとにかく辛い。

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さきまでの和気あいあいとしたムードはどこ行ったんだ!???

 

青春時代の部活動を思い出そう。

楽しい練習。仲良い仲間。ふざけながらの下校。くだらない会話をかわしながらの買い食い。最高!イェ〜イ!と思っているが、そこに「勝利」というゴールを設定し、「執念」という1字を投げるととてつもない炎を燃え上がらせ、それまでのユルさは姿を消す。

皆が本音を吐き出し、ぶつかり合いながら、勝つためにここまでする必要があるのか?と葛藤する。

映画を観て「ユルい青春」というぬるま湯に浸かっていたら、突然上から熱湯をぶっかけられハッとする。

 

そうだ、青春ってこんな感じの地獄だった!

 

筆者はこの地獄に身を投じた時もあれば逃げ出し、安全圏での青春を勝手に謳歌していた時期もあるので、よくわかる。

この地獄は浸る者の内側にある余計なプライドをポッキリ折り伏せてくれる。

仲間より劣ってる事実を突きつけられ折れ、仲間に弱味を見せることで折れ、積み重なる敗北によって折れていくあの時代。

そんな感覚がフラッシュバックした時、不覚にも涙が止まらなかった。

しかも、この映画は当時夢見たいた私たちに「その夢の先」とその「裏」を見せてくれる。

とくにこの「裏」を見てしまった時……そうだったんだ!あの時も!あれの時も!あそこでは…あぁぁあぁぁ!!!!

 

……もう涙腺ぶっ壊れてしまう。

 

あー。1人で見てよかった。あんなボロ泣き他人に見せれない。

あの青春時代にもっと地獄に浸っておけば、こんな余計なプライドすでになかったのかも

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