新作映画『手紙は憶えている』ネタバレなしの感想文 〜認知症の老人がナチス残党を追い詰める復讐劇〜

主人公に弱点があると物語は盛り上がる。

ウルトラマンは大きくなって怪獣と戦えても3分しか戦えない。21世紀のネコ型ロボット ドラえもんは四次元ポケットの道具で万能に見えてもネズミが大嫌い。冒険家インディ・ジョーンズは知識も肉体も強靭だが女に弱くヘビを見ただけで跳ね上がる。

『手紙は憶えている』の主人公は弱点だらけ。老人ホームに住むジジィで、手は震え、足はおぼつかない、おまけに認知症を患っており、いったん寝ると記憶が失われる。本作は妻に先立たれてしまった主人公の老人がかつてアウシュビッツ強制収容所でナチスによって奪われた家族の復讐をするために1人のナチ残党を追うロードムービーだ。標的は1人。容疑者は4人。1人1人に直接会って仇かどうかを確かめていく…。

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一見、ジジィの地味なロードムービーになり兼ねないがそんなこと一切ない。上記のような弱点が主人公のカセとなり物語に緊迫感を持たてくれてヒヤヒヤもの。中盤のナチス信者とのやり取りはすさまじい。

主人公は寝て起きると記憶がなくなり、死んだ妻の名前を毎回呼びながら混乱する。妻はどこにいるのか。なぜ自分は今ここにいるのか…。ポケットに入っている老人ホームの友人が書いてくれた手紙を読み、妻は死んだこと。そして、いま復讐の旅をしていることが克明に書かれていることで記憶が呼び覚まされ再び復讐に燃え始める。つまり、復讐の理由は毎日リセットされる。毎度そこを描いしまえばくどすぎてたまらないが、程よくはしょられている。目的の大小ではなく、主人公自身のポテンシャルを極限まで下げることでスリリングな仕上がりになっている。日常のなんでもないハプニングがこちらをハラハラさせる秀逸な作りだ。この作品の脚本家は本作がデビュー作だと言うから驚き。

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旅の途中、検問で列が並んでいるところや収容所のシャワー室を彷彿とさせる演出など、アウシュビッツと重なり合う箇所があったりするが、戦時中やアウシュビッツの回想や史実の解説などは徹底的に削り、ミステリーとして成り立たせている本作。凄惨な過去を切り取るのでなく、その悲惨な事実の被害にあった人たちの「その後の人生」の苦しみと執念、選択を描いている。死んでしまうギリギリまで戦争を憎み復讐に執着する老人2人を見ていると心がキリキリしだす。戦争は終わった。収容所は無くなった。ヒトラーが死んだといった結果関係なく被害を受けた本人たちにとっては一生つきまとう悲惨な体験。その苦しみが心に刺さる。

苦しいゆえに映画が進むにつれて主人公とその友人の執念に疑問さえ感じる。この復讐に意味はあるのか。こんなに孤独と戦いながらやりとげる意味はあるのか。もう全てを忘れて家に帰り余生を暮らす事のほうが幸せなのではないか……。そんなことを考えながら結末を目の当たりにして、この復讐の本当の目的を目にした時、震えた!

復讐映画とはいえ画面のトーンは明るく、お花に囲まれるクライマックスもお見事。彼らの復讐の虚しさが余計に際立っている本作。観終わったら必ずもう一度観たくなります。これ、絶対。振り返って考えると全部が繋がっているから。そして、原題の意味がより強く心を打ちます。そういうことか…と。あれ、これネタバレ?

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ぜひ劇場でご覧ください!

 

低いところから失礼しました。

 

新作映画『ミュージアム』ネタバレありの感想文

もし本作『ミュージアム』を観るつもりだよ〜って人がいたら、予告編と原作には手を出さずにこの映画を観てほしいです!そしてこのコラムも読まないで!

なぜなら、本作にある大事な仕掛けのネタが予告編に思いっきりぶち込まれています。映画の内容も原作の漫画と完全に一致する仕上がりなのでぜひノーーーータッチで!それを踏まえた上で書きなぐっていきますよ〜

 

『ミュージアム』

内容と解説

過激な描写と緊迫のストーリー展開で人気を博す巴亮介の人気サイコスリラー漫画を、これが初タッグとなる小栗旬主演×大友啓史監督により実写映画化。雨の日だけに起こる猟奇殺人事件を追う刑事の沢村久志。犯行現場に残された謎のメモや、見つけられることを前提としたかのような死体から、カエルのマスクを被った犯人像が浮かび上がる。通称・カエル男と呼ばれるようになった犯人を追い詰めていく沢村だったが、カエル男の仕組んだ残酷な罠にはまり、絶望的な状況に追い込まれてしまう。主人公・沢村役の小栗、沢村の妻を演じる尾野真千子はじめ、野村周平、大森南朋ら豪華キャストが共演。(映画.comより引用)

 

①はじめに 〜名作映画のエッセンス〜

 本作の概要を知って多くの人が連想する映画が『セブン』『SAW』です。この2本が好きな人は本作に興味を惹かれるんじゃないでしょうか。

 まず『セブン』 犯人が被害者を勝手に罪に当てはめて「私刑」で裁く。『セブン』はキリスト教の七つの罪に準えた連続殺人事件。『ミィージアム』ではドッグフードの刑やずっと美しくの刑、均等の愛の刑などに処されていく連続殺人です。その私刑の白羽の矢がラストで主人公に向けられていくという展開もそっくりです。雨がずっと降っているという雰囲気作りも近い。

 『SAW』は殺し方のレパートリーやラストで主人公が閉じ込められ、脱出に挑む密室サスペンスの展開になる点(犯人の目的が読めない点も)が類似しています。

 また『羊たちの沈黙』とも共通している場面がありました。サイコキラーのアジトにコレクションが並んでいる。犯人がそのアジトで自分だけの世界、価値観を構築し犯罪を練って練って実行に移していく。そこへ主人公刑事が突入するような展開です。

 本作『ミュージアム』はこういった作品のエッセンスがブレンドされている。その上で『ミュージアム』ならではのテーマが挿入されています。(これは原作の時点でそうです)

 今回は上記の作品との比較も交えながら書きなぐっていきます。

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②構成について 

 連続殺人のサスペンスと謳っていますが、実際の犯行の過程を見せるのは最初だけ。「母の痛みを知りましょうの刑」意外はすべて殺害の結果だけが描かれていきます。だから、思ってる以上に展開が早い。①で記した映画『セブン』のようにじっくりは見せません。あっという間。その連続殺人のターゲットが主人公刑事の小栗旬の奥さんだとわかり奥さんが拉致されてしまうところまでが前半。後半は小栗旬がさらわれた奥さんを追い求めながら妻との回想と家族への懺悔が織り交ざっていきます。わりかし本作の主題は後半のような気がします。

 なぜターゲットにされてるのかは序盤ですぐ明らかになるのでそこではなく「犯人は誰なのか」「犯人はどこにいるのか」といったミステリー要素と妻への回想と反省が後半の推進力であり、本作の主題となっています。

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③原作との違い 〜そことここはアレンジを!〜

 原作との大きな改変が2カ所ありました。1つはある人物設定の改編。もう1つはオチです。

 人物設定の改編によって犯人は妹に殺されます。身内でケジメをつける…うーーん。ここは原作通り生かしておいてほしかった!こういう映画ってサイコキラーの「支配力」が大事だと思ってます。牢獄に入れられても周りに大きな影響を与えたり、死んでも生き残った者がずーーーっと背後に感じるような存在感。要はそのサイコキラーに出会ってしまった時点でその人の人生が大きく変わり、永遠にその面影が残り続けると言いますか…。だから、最低限「やつは生きている」っていう恐怖だ大事だと思うんです。過去作品で言えば『ハロウィン』のブギーマンは不死身だし、名作漫画『モンスター』のヨハンだって重体のはずなのに最後は病院を抜け出して終わる。①であげた作品だってそうです。『SAW』だってジグソウの後継者が現れたりするし、『羊たちの沈黙』だってサイコキラーのレクターがいたから事件解決も出来たし、主人公はトラウマを払拭できたという矛盾を抱えた構図が構築されながらも最後は脱獄してしまいます。じゃあ、『セブン』はどうなんだと。ラスト犯人は○○になっちゃいますけど、それが結果的にラストの7番目の大きな犯行になる訳ですから完璧なんです。で、『ミュージアム』に関してはオチと犯人の仕掛けとは直接的に結びつかないんです。ある意味、犯人の残した「呪い」と解釈する事もできるんですけどこれたまたまなんですよね。個人的にこのオチの不気味さは大好きです!けど、おしいというか犯人の意図したもの感だしてるけど、そうじゃないから…うーんですね!

 逆に改編したほうがよいところがあるのに原作通りにやっていてなんだかな〜という箇所もありました。

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 例えばこの構図。主人公の後輩刑事にあたる野村周平。腕を縛られてビルの屋上で落とされるギリギリの感じで犯人が支えてるんですけど…どうしてこういう状態になったのかよくわからないし、この体勢になるのに1分もかかってないんです。しかも、この状態で台詞のやりとりをしてる。不自然ですよね。漫画だったらまだギリいけるんです。漫画って時間の進み方が人それぞれだからこの短時間でどうやって?とかって思わないんです。人それぞれ読むペースがあるから。でも映画って時間の進み方は観客全員同じじゃないですか。当たり前ですけど。だから、え?ってなっちゃうんですね。

 あとね、クライマックスで主人公が監禁されてそこですんごい仕掛けあるんですけど…いや、結末の前にそれバレるよ!!!っていうくらいブツを映してるんですよ。ブツっていうのはハンバーガーなんですけど、あんなに見せたら感づくよ?わ!奥さんと子供がハンバーガーの肉になっちゃったの!??って。観客に優しすぎる。結局、それはフェイクだったんですけど安心させるのも早い……。これ、漫画と同じタイミングなんですけど、ここは改編してほしかった。この後にもう1つ仕掛けがあって「奥さんと子供をハンバーガーにしたカエル男を銃撃ちまくりながら主人公が追いかけ回す。だけど、途中で犯人はカエル男の服装をしている奥さんと入れ替わる」つまり、主人公が自分の手で奥さんを撃ち殺してしまうという計画なんですね。それを主人公が見抜く場面が漫画じゃないと表現できない演出なんです。奥さんカエル男の背中が、家を出て行く奥さんの背中と重なって撃たないんです。これって映画じゃ難しいですよね。ここすごい感動的なんです。だから、奥さん生きてますよ〜のネタバレが早くても文句ない。けど、映画はそうじゃないんで……。改編するところとしない部分のメリハリを検討してほしかった部分です。

 

④キザな監督とキザな俳優 

 主人公を演じる小栗旬が本当にかっこいい。オレ主役だぜ〜感がハンパない。華ありますね。若くて無鉄砲な雰囲気は『セブン』のブラピをイメージしたんだと思うんですけど、すんげー簡単に言ってしまうと「キザ」なんです。ただ、このキザ感がこの映画と合わないんです。完全に浮いてしまっています。妻がターゲットにされた事を知ってオフィスでむちゃくちゃキレるんですけど、そのキレ方が派手すぎててなんかもう薬物中毒者にしか見えない。そもそも日本人ってこんなキレ方しないんですよね。こんな感情オープンにならない。すごい違和感。クライマックスでどん底に追いつめられての発狂は良かったんですけど、それまでがちょっとオーバーでした。で、実は本作の監督である大友啓史さんの演出がもともと「キザ」なんです。これ別に悪い意味じゃないんです。他作も観てみるとやけにカッチョええ演技の付け方が多い。これって映画の設定によってはミスマッチなんです。このキザが良く出てたのが大河ドラマの『龍馬伝』と『るろうに剣心』(特に2と3)です。熱い時代劇にすごいマッチしてる。監督がハリウッドで学んだ知恵ともともと持つ「キザ」という演出のクセが程よくマッチした。ぼくは大友監督の撮る時代劇が好きなんだな〜と思いました。

 キザな監督とキザな俳優。そして、現代を舞台としたサイコサスペンス。この組み合わせの相性がよくなかったんだと思います。

 

⑤画作り

 良いところもめっちゃありました。まずロケ地とセット。ロケ地に関しては殺人現場のセンスいいですよね。廃工場とか使われなくなった線路の上。セットに関しては警察の署内も最近あるあるのオフィス感を一切なくして古びたコンクリートの建物内。アナログ感というか、ノスタルジックな感じ。泥臭さが出てます。犯人のアジトとなっている屋敷もすんごい不気味です。あと、役者さんで言えばカエル男役のブッキーも最高でした。犯罪に興奮して発情してる感じというか快楽を得てる。最高ですね。映画としてもR指定がされてない事がおかしいくらいしっかりグロテスクな場面見せてましたし、邦画のサイコスリラーの中ではだいぶ上質だと思います。

 個人的な思いとしては、大友監督に製作委員会方式ではない自主映画に近いような低予算でいいから商業映画。もしくは、やはり時代劇!撮ってほしいです!最近は原作ものを任される監督になってきているので、ぜひそういうのが観たいな〜。

 

以上。

低いところから失礼しました。

 

1分で読める映画感想文『エクス・マキナ』 AIのエヴァに虜になった僕は主人公に感情移入しっぱなし

この映画の主人公は絶対童貞。だからこそ物語に拍車がかかる。

監督は主人公に絶対言った。「裏設定で君童貞ね」って。そう思ったらこの映画のラストは……アァン!って感じなのだ!

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髭もじゃスキンヘッドのスティーブ・ジョブズみたいな天才発明家は山の奥地にある研究施設にこもり秘密の研究をしている。そこへ髭もじゃの会社から抽選で選ばれた青年1名が派遣される。様々なハイテク技術が駆使され外の世界とは完全に隔離されたその建物に主人公の青年は驚きつつも髭もじゃの研究を手伝う事に。「テストをして欲しい」と言われ案内された部屋のガラスの向こう側には人工知能を搭載した最新ロボット・エヴァが……

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主人公はガラス越しのエヴァと交流をし始めてるんだけど、だんだん彼女をマジで好きになってしまう!髭もじゃも「エヴァってロボットだけど、SEXできるよ」とか言っちゃうからもうドキドキが止まらない。そう言われた時の主人公とおれの目の泳ぎようったらとんでもない。

え…出来ちゃうの…?って。

「いや、エヴァとのSEXとか興味ねーし」とスカしてた主人公の気持ちは完全に同意してしまう…。

観てるとソワソワすんの。え。エヴァ可愛いんですけど。そんな真っ直ぐな目で見つめないで!って!主人公も俺も混乱する訳ですよ。好きだけどさ……でもでもでも…ロボットだもん!

そんな時、エヴァから施設からの脱走の手助けをお願いされる。

「ここから出して…」

こりゃもうこっちはパニックですよ!!!出したい!そして、触れたい!抱きしめたいよ!!!!ここから一緒に逃げよう!!!エヴァ!!!

髭もじゃがどこまで監視してるのかわかんなくて終始ヒヤヒヤものだし、エヴァだって結局何考えてるかわかんない!この心理戦はたまらんですよ。『her』っていう映画も主人公が人工知能に恋しちゃう話だったけど、本作はグレードアップされてる。

またこの終盤のあるシーンがイイんだ!エヴァが人間というより女に成る場面があってそこが美しすぎる。新たに生まれた生命の「選択」と「第一歩」が神秘的だし。

この映画の結末は髭もじゃが仕組んだものだったらもっと良かったのにとか思ったけど違うね。髭もじゃはたかが人間で、自分の名声しか頭にない。神ではないわけですね。髭もじゃは。

しかも、よくよく考えると主人公はさ童貞だとしたら、恋した相手がこんな風に…っね結末を考えたら結末には悶えます。もし、君が童貞でなかったらこの結末には至っていない!必要だったのです!童貞が!

 

この映画、エヴァの虜になってしまったら絶対最後まで楽しめるし裏切られる!そうでなくても違う観点から楽しめる傑作です!

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1分で読める映画感想文『インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説』シリーズ史上1番グロテスクなワケ

お宝を博物館に収めるために体を張って旅をするドM変態教授インディ・ジョーンズ!

ナチスにお宝を奪われて世界を滅ぼされる前に先にお宝ゲット!っていう世界を救う的大義名分があったりするけど、それはあくまで便宜上でインディは単なる好奇心で動く男!それが1番でてるのが第1作目の『レイダーズ 失われたアーク』3作目は父親をさらわれて止むを得ず旅をしながら、キリストの残した聖杯を巡りナチスと戦うのが『インディー・ジョーンズ 最後の聖戦』4作目の『インディー・ジョーンズ クリスタルスカルの王国』はよく覚えてないんだけど、上記と同じような理由だったと思う。

インディは毎回巻き込まれて仕方なく旅をしてんだよね!「お宝だーーー!」みたいなルフィのようなテンションはないわけですよ!しかも、神秘的なものとか宗教とかそれらの存在をちょっと疑ってる現実主義。そんな男がファンタジーな経験をしまくる訳なんだけども、ぼくが好きなのは第二作目の『インディー・ジョーンズ 魔宮の伝説』だ!

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小動物ウジャウジャのキモい演出は毎度おなじみでもちろんあるんだけど、猿の頭をくり抜いた皿に入ったスープが出てきたり、目ん玉でてきたり、血を飲んだり飲ませたり、生きてる人間の心臓をもぎ取ったり…そもそもカルト的な不気味な宗教が敵だったりと、シリーズで1悪趣味な作品でオカルトチック。なんでこの手の描写が多くなったかっていうと、製作のジョージ・ルーカスが当時の奥さんとうまくいってなかったから。作品に八つ当たりしてるんですよ!ルーカスが!一方、監督のスピルバーグは本作のヒロインとこの作品を機に結婚。めでたいんだけど、のちのインタビューでね魔宮の伝説について「特に思い入れのない作品。奥さんとり知り合えたってのが1番の思い出だよね」的なことを話してる。ウケるよね!両者とも男女関係の節目となる時期に作られた作品なのに、思い入れないとか言いやがってさ!

作品が作り手からそういう見放され方をしてるっていう立ち位置も面白いし、作家のプライベートが直結してて。ここまで如実に出るのかっていうのも興味深い。ショッキングな描写自体も気分悪くなる訳じゃなくむしろ最高だしね!

それだけじゃなくてね、本作はインディの正義感が作品後半の推進力になってるってのが他と違うんですよ。最初に書いたようにいつと巻き込まれる側なんです、インディは。どんな話かっていうと、インドが舞台。心臓もぎ取る悪い教祖が村の子供をさらってる。村人がある日、突然現れたインディを神の使いと解釈して子供を助け出してくれと懇願する。現実主義のインディが崇め立てられるっていう展開が皮肉でイイ。インディはためらうんだけど、魔宮から逃げ出してきてボロボロになった子供を目の当たりにして救出を決意するんです。これ『七人の侍』ぽいよね。もちろんお宝も絡むんだけど、子供を救うために立ち上がるっていうのが他作に無い正義感なんですよ!牢屋から子供たちを逃すインディのショットが笑っちゃうくらいカッコイイ!シリーズ史上一番ヒーローなんです。そこがいいんすよね!!

ショッキングなとこ多いけど、吊り橋を使ったアクションやトロッコで逃げ出す場面など「冒険」というジャンル自体にとてつもない影響を与えた傑作なのです!

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1分で読める映画感想文『アウトロー』〜流浪人のスピリットが練りこまれた傑作〜

ゆまたトム・クルーズがこんなんやってるよって思われるであろう新作映画『ジャック・リーチャー NEVER GO BACK』の前作である『アウトロー』はただただカッコいいを目指すアクション映画に飽きてるあなたにぜひ観てもらいたい傑作である。

なぜならちゃんと地味だから!

トムさんはスタント使わないで、宙吊りになったりビル登ったり飛び立つ飛行機につかまったりとジャッキー・チェンとは違ったアクションへのアプローチをしてる。人間の限界に挑むその姿勢はもうアスリート!けど、それはトム自身がプロデュースをするミッションインポッシブル シリーズの特徴であり、違う作品ではちゃーんと違うベクトルで面白さを追求してくれるのだ!つまり、トム・クルーズ=映画で毎回、無茶するおっさん。ではなく映画ごとに違う顔をちゃんと持っている!

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その中でも本作『アウトロー』はまぁ渋い!ぼくも初めて観た時思ってたのと違う進み具合でビックリしたんだけど、これ原作が小説ということもあってミステリーなんですな!無差別殺人の濡れ衣を着せられ、確固たる証拠もあって完全に死刑確定の元陸軍兵士が「ジャックリーチャーを呼べ」というメッセージを残したあと囚人にボコボコにされて意識不明の重体。そこに現れるリーチャー。最初は「友達なんかじゃねーよ!」と被疑者に対してツンツンするリーチャーなんだけど、事件の捜査をし始めて…。という物語。推理モノなのよね!リーチャーは元軍人で「訓練のつもりが習慣になってしまった」と説明するその習慣ゆえに旅ガラスになってしまった。家は持たず特定の人との関係も持たず所在不明の状態で世界を旅してる。そんな目的もなく旅する強い男が出会った人を結果的に助けていく。この結果的にってのがポイントなんすよ!人助けを目的としていない。ひょんなことから救うハメに〜というノリが大事なんです。これはみんな好きな格好良さでしょ!!!時代劇の流浪人や西部劇のガンマンのスピリットを現代に再現させてるんすよ。できれば戦いは避けたいという哀愁もその手のジャンルと完全に重なり合います。

また本作は終わりもいいんですよ…そして、笑えるところもある。だから、トム・クルーズ作品にしては良い気の抜け方をしてらっしゃる。

こういう映画だから、みんな勘違いしないで!渋い推理モノ×西部劇ですから!続編まだ観てないのでとんでもなく楽しみ。

 

 

1分で読める映画感想文『クラウン』〜パパが着たピエロの衣裳が脱げない!〜

クラウンと聞くと、高校時代に使ってた英語の教科書を思い出してしまうけど違う。「ピエロ」という意味なのだ!

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初めて知ったよ!ピエロは英語でもピエロかと思ってたよ!そんな本作は、息子を喜ばせようと古い家で見つけたピエロの衣裳を着たお父さんの話。息子も友達も大喜びしてくれたのは良かったものの…衣裳が脱げない!どれくらい脱げないかと言うと、電ノコでピエロ着を切ろうとするとノコギリの歯がバキン!って折れてしまうほど。服だけでなくお鼻もカツラも取れない。なんかピエロってもともと子供を食う怪物だったらしくてその呪いによって脱げないんですって。で、脱げないだけじゃなくて、身体も変わってく。歯が抜けて、でっけー爪が生え始めて、足もでかくなって靴が裂ける。内面までもがピエロになってちゃって子供を食いたい衝動にかられるっていう最悪の展開なんすよ。自分の子供も食いたいし、奥さんのお腹に宿った我が子も食いたい。自我とピエロが葛藤して、自殺しようとするんだけどピエロ力が強すぎて自分じゃ死ねない。ドンドン自分が侵食されてってもう止まらない。これ描写が思い切っってて、子供が惨殺されまくるんです。子供の上半身なくなっちゃったり、指を食っちゃったりともう容赦ない。やってることエグいんだけど、なんかマイルドなんです。不思議なことにグロさを感じないんすよね。直接的な表現があんまりない。残虐な過程は見せずに結論だけを映す。Howの部分はあくまで観客の想像に委ねてる。あと、色の使い方がお上手でピエロというテーマもあるんでオープニングや暗室やボールのプールのシーンとかぜんぶカラフルな色使ってすげーポップなんです。新鋭ジョン・ワッツ監督の手腕ですね、これ。2作目にあたるケビン・ベーコン主演『コップカー』も色の使い方が特徴的で、パトカーのサイレン色 赤青をうまく取り入れてる。アクションの場面も遠めから映したりとか粋なんですよね!なんで監督の作家性について言及してるかっていうと、このジョン・ワッツはスパイダーマンの新シリーズを撮る監督だから。今から超期待して良さそう。カラーの使い方と見せすぎない粋な演出がどう新スパイダーマンを導いてくれるんでしょうね!

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本題に戻りますけど、本作『クラウン』は変態していくパパとその愛するパパをどうしたものかと悩むママの話。こういう題材って好物です。愛する人が外見も中身も変化していってしまった時にどういう行動をとるのか…これって究極のラブストーリーですよね!『ザ・フライ』や『スリザー』『第九地区』 ぜんぶジャンル映画なんですけど、独特の切なさがある。本作においてはどんなに変わろうと「パパよ!」と言い張るママがクライマックスにおいて息子の一言でガラッと変わり判断を下すところが痛快です。ああ、ママはこの言葉を待っていたのか!と。

1分で読める映画感想文『ヒメアノ〜ル』これは大好きな佐津川愛美ちゃんの映画!

V6森田剛くんの演技がすごい。

そんな評判を聞いてました。森田剛と聞いても学校へ行こう!と鼻声のイメージしかなくて役者として観たことがありませんでした。結局レンタルで拝見!いや、おい!!!これは大好きな佐津川愛美ちゃんの映画じゃないか!なんだよ!!!!!!!!!

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彼女との出会いはセクシー女優みひろさんの半自伝的小説を原作とした映画『nude』でした。 AVの世界に飛び込んでしまう主人公ひろみの親友役で、号泣しながらポテチをやけ食いしてひろみのSEXシーンを観る場面でグッと心を掴まれました。佐津川愛美は第2の優香と言われた時がありつつも…なんだかパッとせず……地道にずーっと映画を中心に出演し続けている役者さんです。何に出てる人?って聞かれたらパッと出ない。出ても、横道世之介とかキカイダーとか…って歯切れの悪い解答をしてしまう。でも、それがいいんですよ!!!自身の存在考えグイグイじゃなくて、作品そのものに溶け込むまるで入浴剤のような存在。彼女を観たくて狙って映画を観るのではなく、何気なく観た作品に突如現れる佐津川愛美。そのお得感がたまらんのです!!!いや、愛美つぁぁぁ〜ん!!って。本作は完全にそれでした!本作を観た時にうぉっ!佐津川愛美だ!!!とまず最初にそこでテンションブチあがりました。さて、佐津川愛美は今回、どんな役なのかと!!そこですよね。

こんなあらすじ。V6森田剛くんが演じる森田くんは同級生だった岡田くんと再会。なんかV6内の話かと勘違いしそうになるけど、この岡田くんは濱田岳が演じてるのでまた別です。森田くんは、あ。これは役名の。森田くんは高校時代にいじめられてて、その闇がすんごい深い。いじめた張本人を殺して山に埋めてる過去があります。そんな森田くんが喫茶店の女の子 阿部ゆかちゃんに恋をし、やがてストーキング行為が始まります。通う喫茶店。そこで再会したのが同級生の岡田くん。なんで再会するかと言いますと、岡田くんのバイト先の先輩であるムロツヨシも阿部ゆかちゃんを好きになっちゃうんです。その付き添いで岡田くんは喫茶店に連れかれ、森田くんと再会!しかし、ゆかちゃんは岡田くんの事を好きになってしまい付き合うことになるが…。この阿部ゆかちゃんが佐津川愛美!!!キタッあっ!!!

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つまり、佐津川愛美を中心にこの映画は進むんですよ!!!!ここまであらすじ知るとまるでラブコメのようなトーンかと思いきや、濱田岳と佐津川愛美が愛の営みを行い、愛美ちゃんがアンアン言い始めたところで…そのアパートを見つめる森田くん。そこでタイトルバックすどーーーん!一瞬戸惑います。え?ここで始まるの?って。ここからスリラー映画にジャンルがシフトしていくんです。佐津川愛美もすぐに殺されたりして出なくなるかと思いきや全然そんなことない。最後の最後まで引っ張りまくり。そして、また濱田岳との濡れ場がこれまたけっこうあっちーんすよ!!

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今まで遭遇した佐津川愛美の中でいっちばん可愛い。ほんと好きになってまいますね。これは。

あ。で、他の役者さんもイイですよね〜。森田剛くんにももちろんビックリ。大好きな宮沢りえと付き合ってるという嫉妬はいったん置いて冷静な判断をしても森田剛くんは全然殺人犯にも見えない。容姿も原作と違います。それが逆に良かった。「殺さなそう」っていうイメージで良い。まるで歯を磨く事と同じように淡々と人を殺すから。それが怖い。見境いが無いんです。会話が成り立たない感じも不気味。つい10秒前に言ってたことを「え?そんなこと言って無いよ」って平気でうそつく。嘘つくっていうか本当に言ってないって自分は思ってる感じなんすよね。彼の中でぐわんぐわんいろんな考えが回ってるんだろーなって。口もあんまり開かないでゴモゴモ。ぜんぶが冷静で淡白。ゆえに何しでかすかわかんない見事な演技でした。ムロツヨシさんも最高。てか、こっちの方が殺人犯だろ!っていうぶっ飛び方してるんですけど、純粋で真っ直ぐな男なんです。経験が浅いからいろんな事を勘違いして進み出してしまう。嫌な人じゃないんだけどいたらちょっと厄介というこのバランスか絶妙。最後の登場場面はちょっと泣きそうになりました。濱田岳さんもいい。そもそもが「巻き込まれ顏」してるからハマってます。どんな顔かって言うと人生いつも何かしらに巻き込まれてそうなんです。いつも困ってる。困り顔が似合うというかなんというか、常に周りとのバランスを保とうとする雰囲気がめちゃめちゃある。どこにいても中立的な立場とってるかんじ。クラスの話し合いが決別しても「まぁまぁ、どっちの意見もわかるけどさ…」って空気を大事にするタイプのクラスメイトなんですよ、絶対。だからこういう板挟みとか巻き込まれる役回りがすんごいハマってました。

あとは、あれですよね。警察なにやってんだよと。あまりにも派手にやってる殺人犯を自由にさせすぎだろと。そこ気になりました。追われる場面もないし。

まとめを言うと、佐津川愛美ちゃんが可愛かったから見て欲しいって事ですね!!ほんとに!

 

1分で読める映画感想文『インデペンデンス・デイ リサージェンス』 中身中学生のエメリッヒ最新作!

「宇宙人が攻めてきたら人類は団結して世界平和は実現するのにな〜♪」という今ではベタな理想を最初に語ったのが誰かは知らないけど、本作『インデペンデンス・デイ リサージェンス』は宇宙人に攻められ壊滅的な打撃を食らった人類の20年後。2016年現在の話。

1996年。突如、エイリアンが地球を襲い大打撃を食らう人類。しかし、当時のアメリカ大統領が「今日が人類の独立記念日である」という自分らの独立記念日とうまいことかけたスピーチを世界に拡散し、みんな感動して団結!その勢いで形勢逆転!人種、宗教を超えてみんながワイワイやって、エイリアンたちを葬り去った!それから20年間、エイリアンの反撃を恐れた人類はさらなる技術革新に挑み、いつ襲われてもいいように地球の防衛レベルを上げ続けていた…。

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そんな『インデペンデンス・デイ リサージェンス』は前作からほんとに20年経った上での続編!この世で1番地球を破壊し続けているディザスタームービーの申し子 ローランド・エメリッヒ監督の最新作だ!災害と破壊が三度の飯より大好きで、脅威に翻弄される家族や友情を描く割には、人間の描き方がとんでもなく淡白!浅〜い。たぶん人にあんまり興味ないんだと思う!商業映画だし、オトナがうるさいから人間の要素入れとこ〜くらいのノリなわけ!そんな精神年齢が中学生であろうエメリッヒがCGが発達した今、当時映像的にできなかった事を自由にやっていいよ!っててなってしまったからもう暴れ放題なわけですわい!

たぶんこれほとんどロケが無くて背景ブルーバックにした合成撮影ばっかり。だから、人間同士のやりとりも背景変で世界観に違和感があって、ずっと気持ち悪ぃ!まぁいいよね!人間描きたいんじゃないんだから!20年前、ドヤ顔でスピーチしていたあの大統領も今ではボケ老人と化し、前作にいた名キャラと同じような理由で即死亡!(エメリッヒ映画にネタバレとかそういう概念はないから勝手にするよ!)そういう重要人物が死んでも肉親1名が涙を一筋流したら処理終了!全く尾を引かず、まるでそんなやつは元からいなかったかのように話がポンポン次へと進む!ていうか、もう話の展開は前作と全く同じ!これリブートだっけ?と疑ってしまうほど。前回、物語の白眉であった大統領の演説。そして、それをラジオで聴く全世界にいる人々という描写がモロに丸々出てくる!完全にコピペなんだけど、やけに短い。「今は人種や宗教を超えて1つになろう」的なメッセージはもうどうでもよくなってきたんだろうね!一瞬だもん!壊したいからさ!とにかく!けど、一応クライマックスは前より一捻りあってラスボス的なヤツが出てきて大暴れ!あ〜!これがやりたかったのか!って気づかされる。で、ラストにとって付けたような展開もあって、今度は人類からエイリアンに殴り込みをかけるぞ〜!っていう、え?続編あるの!?みたいなどうでもいい示唆がありつつ、あっという間にエンドロール。まぁちょっと思い出すと、エメリッヒは日本の漫画『ガンツ』読んだのかな?っていうキャラがいたな〜くらいな印象な映画!

結果的にすんんんんんごい楽しめました!!!

クソつまんないんだけど、最高だったよ!

『シン・ゴジラ』の謎の生命体出現を完全にシュミレートした上での傑作を基準にしちゃうとちんカスみたいな映画なんだけど、これはこれでいい!!エメリッヒが次、映画出してもタイトルや概要チェックしなくても観るね!だって、ぜんぶ同じだから!

ボケーっとして観れるからオススメ!

 

1分で読める映画感想文『先生を流産させる会』 生命に対しての異常な憎しみ

セックスって気持ち悪いって思ったことありますかね。

特に思春期。なんかわかりますね。その行為自体もそうだけど、生命が誕生するメカニズムというかそういう神秘的でもあるけれど何だか奇妙。本作はそういうなんつーか、「生命」というものに対して異常な憎悪を持つ女子中学生が友人と担任の先生に身ごもった赤子を流産させようとする話。すげーショッキングなあらすじですよね。タイトル聞いただけで、え?ってなる。なんかすごいアンモラルで絶対に結成しちゃいけないだろ!って思うんです。けど、彼女が抱えるセックス気持ち悪りぃ〜!いのち気持ち悪りぃ〜!って気持ちもなんとなくわかる。そういういろんなものが複合されたタイトルだと思います。読んだだけでちょっとかき乱される。ソワソワしますよね。てか、そもそもこの映画を観ていいのか?って気にまでさせる。映画館で観るとしてお母さんに「何見に行くの?」って聞かれたら先生を流産させる会だよ!!とは答えられない。お母さんだっていってらっしゃい〜と気持ちよく言えないでしょ。このタイトルがまずイイですね。

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で、その恐ろしい会の発起人であるいのち嫌いっ子ちゃんがどんなんもんかっつーと、冒頭で産まれたてのウサギをぶん投げて殺しちゃうんですよ。ぶん!!!!すげー始まりですよね。異常に憎んでる。どうしてそんな考えになったかハッキリと説明はされませんが、どうやら親に問題があるらしく。担任の先生が電話しても番号つながらないし、会に所属する5人の親が呼び出されるんですけど、その子の親は来ない。まぁそもそも番号わかんないから呼出せません。たぶん親をえげつなく恨んでる。特にお母さん?でも、そんな自分にも生理がきてしまう。この世で1番恨んでるものに近づいていくんです。その抵抗から生命の破壊衝動が生まれたのかもしれません。

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流産されそうになる先生もモンペが多い今の教育界の中では強烈なキャラクターです。これが良いですね。普通なら心が病んでいくところを自分の考えを貫いて戦っていく。容赦なしに体罰を与えるし、生徒らに子供を殺したら殺すよとブチギレる。ラストはここにモンペも加わって、三つ巴になってもうぐちゃぐちゃ。女の戦いでした。

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ちょっと映画的に荒削りで見づらいところもあるんですが、提示されてる問題が過激だし、彼女らがやろうとしてることの行く末を見届けたくなる。そんな映画でした!

 

低いところから失礼しました。

 

1分で読める映画コラム『羊たちの沈黙』クラリスかわゆす

前に観てところどころ覚えてるけど、全体像が浮かばない映画ってありますよね。『羊たちの沈黙』は完全にそれで、人の皮を云々するあの強烈なシーン(ネタバレしたくないので伏せます)がめちゃめちゃ怖かったの覚えてたくらいで。改めて見直したんですけど、やっぱり誰もが知る名作でした。

ジョディ・フォスター演じるクラリスはピチピチのFBI研修生。これがまた男心をチクチクする可愛さがある!!13歳のとき『タクシードライバー』っていう映画で娼婦役を演じておかしなストーカーがつきまとうようになっちゃったってくらいでその時も可愛かったけど、本作ではまた別。FBIって完全に男社会な訳でその気まずい雰囲気を抱えながらも凛とした強さがあってイイ。唯一、まっすぐ純粋に職務をまっとうしようとしてる存在にも見える。発生する酷すぎる事件とも対照的に映るんですね。今は強気なババアですが、当時は鬼クソ可愛い。守ってあげたくなります!

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そんなクラリスに上司から命令が。若い女性が殺害され皮を剥ぎ取られる『バッファロー・ビル事件』が発生。そんな連続猟奇殺人事件を解決するために、監獄に収容されている元精神科医のサイコキラー ハンニバル・レクターからアドバイスをもらってこいと。研修生になんて事させるんだと思うけど、この作戦は良い方向に向かいます。レクターのお気に入りになるんですね、クラリスが。それを上司もなんとなく感づいたのでしょう。上司からもクラリスは好かれてて、これ三角関係。

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この時点で、あれ?そっかレクターって捕まってるんだ…って思い出したんですけど、ここからがまた面白い!レクターは元精神科医なんでクラリスの心を読もうと色んな質問をしてくる。クラリスは答える代わりにバッファロー・ビルの情報を少しずつもらう。事件解決をしたいからクラリスはレクターの質問に答える訳なんですけど、そのうちクラリスの中にトラウマがある事がわかる。父の死。そして、重要なのが飼われてた羊の命を救えなかったという過去。クラリスの中で羊が悲鳴をずっとあげてるんです。その羊とバッファロー・ビルによって誘拐された少女がクラリスの中でダブる。今度こそは救えるはずの命を救いたい。そんな衝動に駆られる。

すんげー矛盾した皮肉な構造になってるんです。クラリスは自分自身のトラウマ解消と事件解決のために極悪犯罪者であるレクター博士を頼らざるを得ない。この関係がどうなっていくのか。事件はどう解決されるのか…。サスペンスとしても一級品。人間ドラマとしても最高の仕上がりになってます。警察が勝ち犯罪者は断滅されるという単純な結末にはなってない。ラストの暗闇のシーンはクラリスの若手ゆえの未熟さも相まって最高のスリルです。

観た方はもう一度。観てない方はぜひ。

 

低いところから失礼いたしました、