読んだら必ず観たくなる

湊かなえ!

湊かなえ!

湊かなえ!

 

 この名前のズドーーーーンって感じ。この作家が持つネームバリューはととてつもなくデッケーっすよね。みんな大好きでしょ?小説家としてもそうだろうし、映像化したことによってより一層この名前が世に広まってる。決定的なのは中島哲也監督『告白』 その他にもドラマ化もされまくりで。筆者は湊かなえ作品を読んだことないんだけど、映画で言えば『白ゆき姫殺人事件』は好きな映画です。あれはもう井上真央ちゃんのある意味アイドル映画として最高で、役がハマってたし何度も笑いました。菜々緒が初出演とかいう宣伝文句はどうでもいい。

 邦画って一時期、『世界の中心で愛を叫ぶ』があったせいか余命モノや感動モノが大量生産されてた。今でもあるけど、そういう泣ける映画が評論家はどうあれ世間的にも良いとされてた風潮があったと思うんです。けど『告白』や翌年に公開された園子温監督『冷たい熱帯魚』が興行的に大成功を収めたことで、そういうショッキングで残忍な映画も面白いと観客は感じるんだと日本映画は気付かされたと。(感動モノの反動でもあるのかも)そんな気がしてます。

 そういうこともあり「湊かなえ原作」と聞くと観客の気持ちは煽られる。今の日本人には「湊かなえ原作」はたまらん宣伝文句なんじゃないですかね?独特の後味の悪さを求めて観客は劇場に足を運ぶ。ラストは気持ちよくない。けど、そのストレスを求める。そういったかまえで行くと本作『少女』は……あれ???って感じに陥ります。

 

『少女』

 

 「人が死ぬところを見てみたい」というタブーな願望を女子高生が持つ…うん、いかにも暗くて怪しい。湊かなえっぽい。しかも、この「死への興味、好奇心」って誰もが一瞬は抱えるけど、周りには言えないタブーに属しますよね。倫理的にはダメだけど、ちょっと気になる…という要素を突いてきてる。題材は超イイじゃないっすか!!!そんな気持ちを抱えた女子高生は何をしでかすのかって気になる!そそる!そそる!!だけど、筆者が上記でお茶濁す書き方をして理由はシンプルです。

 

観ずらい。

 

 いや、シンプルすぎて逆にわかんないっすね。どういうことなのかと…

 当初は「人が死ぬところを見てみたい」っていうゴールが設定されてます。だから、そこに向かって一直線に進むべきなのに、最終的に少女たちが何がしたいのかが全くわからなくなります。途中で目的が変わり心情が変化してるんでしょうけど、今現在、彼女らがどう思っててどう変化したのかが全く読めない。もちろん監督のストーリーテリングの仕方の問題もあると思うんですけど、メインの2人にはこういうわかりにくい役は重荷なんじゃないか!?マッチしてないです。こういう役ってすんげーむずいじゃないですか。表情の絶妙な変化、仕草で心理を語っていかなきゃいけない。この手の作品はそういう表現が出来て、相手に伝わった上で裏切りもしなきゃいけなくなる。「怒ってるように見えたけど、実は喜んでた」とか「楽しんでるように見えたけど、実はあざ笑ってた」とか。人間の裏表を出さないと失敗すると思うんです。だけど、この2人は裏なのか表なのかもわからない。読み取りづらいんです。2人が悪いんじゃなくて、そういう事ができるタイプの役者さんではないと思います。

 

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 2人とも自然な笑顔が超素敵なタイプなのに完全にそれを封印され、ラストに笑顔爆発するんだけど、それまでが真顔のオンパレードのため不自然にしか映りません。

 兎にも角にも、観ているとこの話がいったいどこへ向かうのかが全く読めない。それは展開が読めなくて面白いんじゃなくて、2人が何をどのように感じてるのかがよくわからないため観客は置いてかれてしまうんです。本作はそういう観客を混乱させる点が非常に多いです。今のは役者の演技の付け方についてですが、配役のバランスもちょっと……。一番は稲垣吾郎。出てきただけでやっぱり何かあるって勘ぐっちゃうんです。そういう怪しい雰囲気もってるし、近年の起用のされ方も多い。今回は完全に良い人で、最初疑ってる分なんだか肩透かし。もっと吾郎ちゃんをあえて疑わせる場面が多くて、最後良い人でした〜!みたいなあの『ホーム・アローン』のスコップおじさんや鳩おばさんみたいな捌き方ならいいんですけど、そういう描写もない。

 配役という意味では老人ホームに勤める恰幅の良いおばちゃんもあまりにもコミカルすぎる。この作品のトーンに明らかに合ってない。浮いてる。コミカルという意味で言えば、その老人ホームで三月ちゃんの目の前に入れ歯が落ちてきたり、バッサーが途中でコンドームをブニュってして「あんなおじさんとなんてやっぱ無理ー!!!」みたいなラブコメみたいなトーンで演技したりするんですけど、すんげーノイズ。笑っていいの?って。ホラーとコメディは紙一重ですけど、そういうんじゃなく本題に関係ない部分でそういうコメディタッチが入ってくるんで、すんげー記号的なんです。

 

 結論を言うと、映画としてすんげー観ずらい事になっちゃってる。画だけ観るといっちょまえで面白そうだし、実際見ててもこのトーンは良い雰囲気なんですけど、一本の映画として観ると訳がわからん。そんな映画でした。

 

 低いところから失礼しました。

 

 

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