新作映画『スーサイド・スクワッド』ネタバレありの感想文 〜本編より予告編の方が面白い!しかし!!応援してます!〜

低いところから失礼します。ジャガモンド斉藤正伸です。

 

『スーサイド・スクワッド』

 

 

解説とあらすじ

「バットマン」や「スーパーマン」などと同じDCコミックスに登場する悪役たちがチームを組んで戦う姿を描くアクション作品。バットマンをはじめとするヒーローたちによって投獄され、死刑や終身刑となった悪党たちが、減刑と引き換えに「スーサイド・スクワッド(自殺部隊)」の結成を強制され、危険なミッションに挑む。ウィル・スミスや「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のマーゴット・ロビー、「ロボコップ」のジョエル・キナマンら豪華キャストが共演。バットマン最大の宿敵として知られ、これまでにジャック・ニコルソン、ヒース・レジャーが演じてきたジョーカーを、「ダラス・バイヤーズクラブ」でアカデミー賞を受賞したジャレッド・レトが新たに演じる。監督は「フューリー」のデビッド・エアー。

 

はじめに

 筆者的に本作『スーサイド・スクワッド』は「予告編であがる⤴︎映画」今年ナンバー1です。

 QUEENの『ボヘミアン・ラブソティ』との相性が最高で、映し出されるカットはずべて超クール!!!鳥肌モノです。何度でも見返してくなる。

 バラバラだった強者が集まって1つの目的を達成するっていうプロット自体がもうおもしろいじゃないですか。『七人の侍』が原点だし、禁酒時代を舞台にマフィアのアル・カポネを倒すべく集った刑事たちを描く『アンタッチャブル』同じアメコミで言えばマーベルの『アベンジャーズ』もそれに近いものが。

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同じアメコミでしかも、悪党集団という意味で言えば近年に傑作がありました。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』

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もう完全にこういう映画を彷彿とさせて、テンション上がりまくりなんです…!面白くないわけない!!!そう周りも話してました。

 

が……

 

いろいろあるんですけど、結論を言います!!

 

 

予告編が1番面白かった!!!

 

ずどーーーん!どひゃーーーー!

そうなんですよ。予告編が1番ピークだったんです…。なぜ、そうなったか……まずは簡潔にまとめます。書きなぐります。

 

・そもそも監督がミスマッチ!〜デビット・エアーは悪くない!〜

・「おまえは一体誰なんだ!」 〜DCコミック映画の問題点〜

・バットマンとジョーカーの問題

 

では、1つ1つ書いていこうと思います。

 

そもそも監督がミスマッチ!〜デビット・エアーは悪くない!!〜

 本作の監督はデビット・エアー。元海軍という経歴をもち、映画製作にかんしてはもともと脚本がメインでしたが、監督デビュー作『エンド・オブ・ウォッチ』の傑作ぶりをきっかけに超いい映画を連発してます。大好きなものばかり。

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 この監督が一貫している作家性とは何か。簡単にまとめると

①「暴力」という世界でしか生きられない男の生き様

②リアル指向でクールな銃撃戦

③無駄な会話によって発生する親しみと愛おしさ

 この辺を描かせたら右に出るものはいない!

 ただ、これってあくまでも現実に存在する設定の上で活きてくるものだと思うんです。しょうもない会話とかしてるような愛おしい連中が実は、死と隣り合わせ。しかもリアルで感情のない銃撃戦の中で生きてるんです。だから、儚い。愛おしくなる。さっきまでこんなに楽しかったのにピストル撃ち込まれれば、あっけなくパタッとあの世にいってしまう…。そういう設定が向いてると考えると、『スーサイド・スクワッド』はちょっくらミスマッチだったんじゃないでしょうか!?たしかに悪党集団っていう部分では得意そうだけど、アメコミ原作なんで超能力だとか魔法だとか非現実的なことがやっぱりメインになってくる。コミック原作という部分を踏まえると、やはりそこを押さなきゃいけなくなってきますから。だし、当たり前ですけどこの悪党集団のほぼ全員が生き残るんですよ。もし、これでどんどん死んでいったら…それはそれでアメコミ映画史上に残る傑作になったと思います。

 つまり、「アメコミ原作もの」また「シリーズもの」という囲いのせいで観てるこちらは安全圏にいるんです。誰かがいきなり死ぬなんて思っていない。そうなるとさっき書いた作家性とズレが生じます。もちろん職人肌でなんでもこなす監督もいますが…。これだけ何作も撮ってずっと貫いているものがある監督にとっては素材がミスマッチだと思います。

 その上で、本作で物語として一番良いのがウィル・スミス演じるデッド・ショットなんです。

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 別れた女房の間に娘が一人。その娘を大学に行かせてあげたい、幸せになってもらいたいと願う良い男。しかし、本人は世界一の狙撃手であり暗殺者。死を商売にしている。娘を幸せにするにはお金が必要なのに、人を殺すことでしかお金を稼げない。大切なものを血で汚れた金で守るんです。

 ……ね!??デビット・エアーっぽいでしょ!???

 だから、やけにこのパートがうまい。ラストはちょっと男泣きしそうになりました。

 

「おまえは一体誰なんだ!」 〜DCコミック映画の問題点〜

 アメリカのコミック史上で2大会社がマーベルコミックとDCコミックです。歴史的にはDCコミックの方が先です。ただ、映画において先にお祭り状態になったのがマーベルでした。アイアンマン、キャプテンアメリカ、スパイダーマンなどを中心にMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)という何作もの作品を同じ世界観の中で展開し、クロスオーバーさせるというスタイルを成功させています。

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 この単体のヒーローを集結させたのが、『アベンジャーズ』です。

 MCUが優秀なのは、そのプロデュース能力。キャスティングもそうですし、監督の起用の仕方もうまい。シリーズのマンネリ化を防ぐ裏切り展開もほどよくされており、思わず全作品を追いかけたくなるような作りになってるんです。

 これを受け、DCコミックスも黙っていません。『スーパーマン』や『バットマン』は過去に映画化されていますが、MCUのような試みは過去にありませんでした。DCは今まで世に出た作品での出来事をいったんなかったことにして、改めて作り始めたのです。単体の映画を作って、そのヒーローが集結する『ジャスティス・リーグ』をやろうと。もちろん原作は存在するんですが、MCUの影響がでかすぎて、この発想の時点で二番煎じ感が否めない。

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 現状、公開されているのがスーパーマンの1作目にあたる『マン・オブ・スティール』そのスーパーマンとバットマンを対決させた『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』の2本。そして、本作の『スーサイド・スクワッド』の計3本。一応、すべて話が繋がってます。これがまた現状なんともいえないシリーズになっている。まず、『マン・オブ・スティール』は話が重すぎる。名作であるリチャード・ドナー版『スーパーマン』のような爽快感がない。続編で話をガクッと落としてダークにするのはいいんですけど、ヒーローもの1作目でこの重さはちょっとキツイ。続いて『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』なんですが、このあたりからクロスオーバーがとんでもない量になりすぎていて、グチャグチャなんです。初登場のバットマンのバックボーンをじっくりやらなきゃいけないのに、新キャラワンダーウーマン出てくるわ、スーパーマンはスーパーマンで眉間にシワ寄せてずっと鬱状態だし、バットマンも苛立ちっぱなし。登場人物に楽しそうなやつ1人もいねーんです。こりゃ辛い。そんでもって、膨大な情報量をさばくために回想と語りで処理してるため、なんだかオムニバスを観せられてるような…そんな不完全燃焼で終わる。

※なんで、こうなってるかはスタッフの人選という部分もあるんですが、そこに触れるとまた長くなるので、後日。

 で……本作に途中するんです。

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 本作は、全員初登場なんです!!!全員!!!

 どうなるか?全員のキャラ設定やバックボーンを伝える必要がある。能力紹介は挿入歌も相まってテンポよくて、かっちょいいし、上がるんですけど…もちろん回想と語りのオンパレードになるんです。ここはまだいいんです。予告編にも登場しますが、悪党集団を集める司令官。

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 こいつ!悪そうな顔してますね〜。たくらんでますね〜。彼女がこういうナレーションで登場するんです。

 

「スーパーマンが死んだ。(観てない人はパニくると思いますが、前作でスーパーマン死んでます。)だから私が来た」

 

いや、まずお前は誰んだよ!!!

 なんの説明もないんです。なんでスーパーマン死んだら、お前が代わりみたいになるんだよ。冷酷さとか肉食ってる感じは最高なんですけど、バックボーンや目的が全くつかめない。

 まぁまぁ、ここまではいいとしましょう。キャラ整理はなんとかうまくいったとしましょう。この先が一番の問題なんですが……

 

悪党集団よ、君らはなんのために戦ってるの???

 

 最初は脅されてるんです。首に爆弾埋め込まれて、任務が終われば減刑してもらえると。それで止むを得ず敵と戦う。いいでしょう。いいでしょう。悪党らしい。けどね、後半でその問題が一度、解決するんです。爆弾の心配がなくなった。チームもなんだか不協和音……でも目の前では人類の危機!どうする!?なんのために戦うのか!?……ここからでしょ?ならず者団結映画の白眉は!!ここが本作には無いんです。なんで動いてるのか意味がわからない。逃げれるのに。

 さらに!大して何にもしてないのに急に謎の仲間意識が生まれてる。

「私の仲間をいじめるな!」とか「お前は仲間だ!」とか…

お互いのこと何にも知らないくせにいきなりルフィみたいな振る舞い方をしだすんです。

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やかましいわ!!!

 

 相反してた奴らが仲間になっていく…こんなロマンないんですから、その過程を描いてくれよ!マーベルの傑作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ではそういうところしっかり描かれてるんですよ!

 

バットマンとジョーカーの問題

 本作、バットマンも出でくるんです。悪党集団のほとんどはバットマンによって捕まってて、ちょっとだけ前の過去として回想で描かれている。ただ、物語の起爆剤となる事件が起きてからは出てこず…ラストにちょこっと出てきます。何が言いたいかわかりますか?

 

コラ!お前は一体なにしてたーーー!!!

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 こんなん言うの野暮ですよ。わかります。そんなん言ったらキリがないですから。MCUのシリーズにだって、こういうのあります。アベンジャーズの次作の時とか気になろうと思えばいくらでも。ついこの前はみんなで集まって解決してたのに…毎回、ヒーローものは世界の滅亡が関わるわけですから、その時はみんな何してたの?って。けど、MCUでは配慮がされてる。他のキャラクターは全く出てこない。会話に登場したりはあるんですけど、影も形もない。ただ、本作はちゃっかりバットマン活躍してるんすよ!序盤と最後ではっきり!!!

 

コラーーー!映画の真ん中の時間、お前は一体どこ行ってたんだーーー!!!

って思うよね!??

 

 そして、このバットマンの宿敵であるジョーカー。ジャック・ニコルソン、ヒース・レジャーと続いて、ジャレッド・レトが演じています。

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 みんな、こえーーーー

 

 ジャレッド・レトも、ちょっぴりヒースを彷彿とさせる演技だけど、ヒース版ジョーカーの印象が未だ強い中で立派な怪演でした!問題はそこではなく…描かれ方です。

 ヒース版ジョーカーが活躍したのがクリストファー・ノーラン監督『ダークナイト』(2008年)筆者が高校3年生の時。当時、予告編を観て「ジョーカーはバットマンとどう戦うの?」と気になってました。このジョーカーは〜というのが重要で、ジョーカーは肉体的には一般人ですから。鍛えまくって、装備しまくってるバットマンとどう張り合うんだ?と。観てびっくり。考えが浅かった。肉体的な交戦がほとんどないんです!これは画期的でした。ジョーカーは人の心に入り込み利用し操る。どこかカリスマ性があった。悪役なのに何かをやらかすと気持ちいい気分になるくらいです。こっちも洗脳されてるんじゃないかって。「悪人でも殺しはしない」と自分に厳しいルールを課しているバットマンはこのルールを利用され、ジョーカーの手のひらで転がされる。しかも、バットマンが正義を成すことでジョーカーが誕生したという理論になってるんです。ジョーカーはバットマンを生かしたいんです。すごくないですか?この関係性。お互い一生、殺せないんですよ。バットマンは暴力では無敵ですが、心を追い詰められる。ラストも決着ついたようで付いてないんですよ!永遠にバットマンを苦しめる悪役なんです。だからこその宿敵なんです。

 今回のジョーカーはその別格感がない。何をどうやってるのか、ほとんどが曖昧なんです。ハーレー・クイーンを惚れさせるのだって…なんで?って。まともだった女性の頭を狂わせていく過程が観たい。今回、ジョーカーがキーマンではあるんですけど、すんげー記号的なんです。そこにいるだけ。そうなると、説得力に欠ける!嗚呼!もっとじっくり狂わせてくれ!!!

まとめ 〜ちゃんと応援してるよ〜

 かといって、この映画きらいかといえば、そうでもないんです!好きな部類なんです。もちろん、ハーレー・クイーンをずっと見てたいってのも大きな理由なんですけど、挿入歌のセンスとか炎男のエピソード、チーム・ジョーカーのなんだかド派手にしでかしてくれそうな怪しさ。魔女の妖艶な美しさ。何より個人的にデッド・ショット!彼が久々に大好きな拳銃を手にするシーンがあるんです。一発撃った拳銃の硝煙を嗅いで、ほくそ笑みながら百発百中の射撃を披露する。そこ1番あがる!クソかっけぇんすよ!男!男!男!!!って感じで。まぁ前半なんですけど、絶頂を迎えてしまう!立てないくらいガクガクになりますよね。あと、ラストも好きです。みんな任務を終えて、刑務所に戻る。そして、それぞれの生活……ああ、この人たちは生涯、利用される時だけシャバの世界を吸えるのか…って思うと泣けてくる。出してあげたい。あそこ哀愁漂ってますよね。

 そういう好きなところもいっぱいあるんです。だからこそ!だからこそ…!!DCの偉い人よ!!焦らないで!!!いきなりアベンジャーズみたいなことをしないでいいんじゃないでしょうか。もう少しペース落として、単体の映画でじっくりバックボーン描いてくれ〜!今、玉突き事故が起きてる真っ最中になっています。

 次作はワンダーウーマンらしいので、ここではキャラも整理しつつ物語の焦点をぼやかさないで欲しいです!ちゃんと追います!応援してます!!!

 

 低いところから失礼しました!

 

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