時代劇のススメ 〜若い世代の時代劇の楽しみ方〜

低いところから失礼します。ジャガモンド斉藤正伸です。

 

今日は一本の映画ではなく、1つのジャンルをパワープッシュさせてください。本日、書き殴るのは……

 

時代劇

時代劇(じだいげき)とは、日本の演劇や映画、テレビドラマ等で現代劇と大別されるジャンルとして主に明治維新以前の時代の日本を舞台とした作品の総称である。(by Wikipedia)

 

はじめに

 かつて洋画好きだった筆者は中学2年の時に寅さん映画に出会うことで邦画の間口が広がりました。寅さんに三船敏郎が出ていると、今まで観たことがなかった三船敏郎作品『用心棒』を鑑賞し「うわ!世界のミフネもすごいけど、黒澤明ってすげーんだ!」と物事わからないガキなりに面白さを痛感。

 寅さんに志村喬が出ているから、『生きる』と『七人の侍』を観てみると「このタラコ唇のおじちゃんすげぇ…」と圧倒され、笠智衆を知って小津安二郎の『東京物語』を鑑賞し困惑。「大人になってからもっかい観よう・・・」と。

 こんな風に数珠繋ぎ的に広がっていったんです。寅さんって国民的映画だから日本を代表する一流の役者さんしか出てない。女優という視点で言えば、寅さんに出れば国民的女優に認定!みたいな雰囲気があった。吉永小百合、樋口可南子、八千草薫、木の実ナナ、竹下景子、泉ピン子、岸本加世子、田中裕子、後藤久美子………現役で活躍なさってるするそうそうたるメンバーが出演してるんです。

 そんな邦画を見始めて魅了された1つのジャンルが時代劇です。

 なんで時代劇?そんなに面白い?

 面白い理由をブワーっと書きなぐります!

 

「存在するけど不確か」な世界観の充実

 さて、そもそも時代劇という設定について。映像の世界において時代劇は「存在するけど不確か」な最高の設定なのです!明治維新以降の時代って割と写真とか教科書で見るじゃないっすか?だから、想定ができるんです。けど、時代劇の背景って徳川が云々とか関ヶ原が…とか幕府がとかわかってるっちゃわかってるけど、実際にどういうことが起きていたのかはあんまりよくわかんない。不確かなんです。文章以外での記録がないから。この「不確か」がなにを意味するかっていうと…要はなんでも自由に出来るんです!!!

 時代劇なんだから、専門家の意見を取り入れて時代考証を厳密に…とか言うやつは首をはねましょう!うるせぇ!

 忠実に描くことも時には大切なんですけど、時代劇は「半分ノンフィクション。半分フィクション」という特殊なジャンルなんだから、遊んでいいんです。

 例えば、1961年黒澤明監督『用心棒』

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 こんなに娯楽の傑作を他に知らないんですけど、主人公・桑畑三十郎のライバルである仲代達矢!ヤクザ者の役なんですけど、ポスターの左下を見てください。首にマフラー巻いてます!右手にはピストル!!!

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 西洋の物をなんで持ってるんだよって話になりますけど、演出として成立してる。マフラーによって傲慢でキザな感じが出まくり、タチが悪そう…。ピストルによって侍ではなくヤクザ者の敵だから、ピストルだろうが何だろうが駆使して人を殺める危なっかしい感じが出てるんです。この時代にこんなこと有り得ない!とか言われていやいや!アリエル!なんていうのは、水掛け論な訳ですよ。証拠が無いんだから。てか、そんな争いは野暮なんです。

 魅力的な時代劇ってこういうミスマッチ is ワンダフル!な演出のオンパレードなんです。しかも未来を舞台とするSFのフィクションとは違う。未来は完全に想像ですけど、時代劇は実際この時代が存在したという事実と人間の想像力のブレンドになっている。だから、ワクワクできるんです。

 

時代劇の登場人物は週刊少年ジャンプ!

 大河ドラマを冷静に観ているとクサイ台詞多くないですか?でも、時代劇だと自然に見れる。

 信念、忠誠心、正義、友情、情、努力とか人間が本来重視すべきテーマを現代劇で台詞にすると安っちくなる。「普通そんなこと言わねーよ!なにかっこつけてんだよ!」と白けてしまう。現実味が無いんですよね。これを成立させてるのって日本のマンガ文化だと思うんです。特に週刊少年ジャンプ。『ドラゴンボール』『スラムダンク』『ハンター×ハンター』『ワンピース』…どの主人公も性格も真っ直ぐでわかりやすい。普段、口に出すと恥ずかしい台詞でも彼らが放てば、受け止めれるんです。わかってのとおりこの台詞の感じをそのまま実写化するとヒドイことになる。これが時代劇だと合うんですよ!!!

 当時の日本って構図がシンプルでわかりやすい。幕府という王があって、各地に大名がいて、それぞれに忠誠を誓う侍がいる。そして、商人、農民、流浪人。民を苦しめる野武士や大名は悪。身分は低くてもそこに立ち向かう侍がいれば正義。善と悪のボーダーライン。貧富、身分の格差がはっきりしてるから抽象的な概念を描きやすいんです。

 ちなみに『ワンピース』の作者・尾田栄一郎は時代劇(ヤクザものですが)が大好きで、『次郎長三国志』シリーズのDVDパケを描いてます。

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 ジブリの鈴木敏夫のラジオで尾田栄一郎が出演した時に、『ワンピース』は『七人の侍』がベースだということを認めています。

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 『ワンピース』の政府と海賊どちらが正義なのかわからないという世界観や情や信念を重視する展開、描写は時代劇や任侠モノのテイストにそっくり。あの感じって日本独自の価値観がすごい反映されてると思います。海外じゃ描けない世界です。

 

知らない役者が出ている。それが大事!

 もちろん近年、制作された時代劇も傑作多いです。

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 時代劇を作る撮影所がそもそも無くロケ地が限定されたり、乗る馬がないなど。そもそも対象年齢が高齢化していて時代劇が作りづらい時代にはなっていますが、面白いものいっぱいあります。

 ただ…今の役者さんって観客との距離が近すぎる。上記のような近年の時代劇に出演している役者さんをテレビやネットですぐ観れちゃうんです。インタビューを受けて演技について語ってたり、雑誌におしゃれな格好して載ってたり、バラエティのクイズ番組とか出ておバカを発揮したたらもう最悪なんです。そういう顔を見た瞬間に時代劇が「カツラを被った役者が演じてる」ようにしか見えない。でも、50、60年代の時代劇を今のお客さんが観ると「お前誰やねん!」の連続なんです。もちろんクソ有名な人ばかりですよ!??当時「銀幕のスター」と呼ばれていたような一流の俳優さんですから。けど、その人たちはテレビに出てヘラヘラしたりしてない。実態をあんまり知らない役者さんばっかりなんです。だから、その世界に没頭できる。本当にこういう人がいたんじゃないか…というリアリティがあってメチャくそ楽しめる。上記の「存在するけど不確か」な設定を最高に活かすことができるんです!

 ある意味、そういった状況で時代劇を観れるのは僕らの世代にしかできない楽しみ方ですよ!??

 どうっすか!?ここらで時代劇に触れてみるといのは…!??

 

 低いところから失礼しました。

新作映画『ジャングル・ブック』ネタバレあり感想文 〜多種多様性 万歳!と思いきや恐ろしいジャングルの話〜

低いところから失礼します。ジャガモンド斉藤正伸です。

 

『ジャングル・ブック』

解説とあらすじ

ルドヤード・キプリングの同名小説を原作とする名作ディズニーアニメーションを、「アイアンマン」シリーズのジョン・ファブロー監督が実写映画化。ジャングル奥地に取り残された人間の赤ん坊モーグリは、黒豹のバギーラに助けられる。母オオカミのラクシャのもとに預けられたモーグリは、ラクシャから惜しみない愛情を受け、幸せな毎日を過ごしていた。そんなある日、人間に対して激しい復讐心を抱くトラのシア・カーンがジャングルに戻ってくる。ハリウッド屈指の映像制作チームが最先端の映像技術を駆使し、主人公モーグリ以外の動物や背景など全てをリアルなCGで表現。モーグリ役にはオーディションで2000人の中から選ばれた12歳の新人ニール・セディを起用し、ベン・キングズレー、ビル・マーレイ、スカーレット・ヨハンソン、クリストファー・ウォーケンら豪華キャストが個性豊かな動物たちの声を演じる。(映画.comより引用)

 

さすがのジョン・ファブロー

 アニメでも実写でも傑作、大ヒットが続きモンスターズ・インク化しているディズニー。もはやこの暴走は誰にも止められません。そんなディズニーが新たに世に送り出した『ジャングル・ブック』 筆者は勉強不足で原作未読。アニメも記憶がおぼろげ…同じ時期に公開された『ターザン リボーン』(国の王子となった元ターザンが愛する人を救うためにまたターザンになる的な話)とごっちゃになるくらいの認識でした。

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 同じ時期すぎて、ひょっとしたら『ジャングル・ブック』の続編が『ターザン リボーン』!?二部作なのか!!って。

 ジャングルを離れ、成人した主人公がジャングルに再び戻り、戦う!!そんな熱いプロジェクトなのか!?この子がこうなる!??

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 こういう余計な妄想が膨らんでしまったせいもあり、なかなか劇場に足を運べませんでしたがこの度やっと……!観てきました。

※もちろんこの2作品は全く関係ありません。

 

 監督は『アイアンマン』『アイアンマン2』『カウボーイ&エイリアン』のジョン・ファブロー。

 舞台はジャングルって事で場面は変わらずなんだか画が退屈そうって思ってましたが、さすがのジョン・ファブロー。まったく飽きない。TV-CMで「少年以外全部CG!」と宣伝してましたが、その環境を存分に活かし、実写では撮れない角度からのショットをおさえて編集もスピーディーだし、音楽のタイミングもジャストで気持ちよい。基本、主人公のモーグリが動物に追われまくるアクションシーンなんですけどちゃんとマジで怖い。遺跡でデケェ猿から追われる場面とかけっこうビックリしちゃいました。

 ジョン・ファブローって映画内に登場するアイテムで観客をちゃんとワクワクさせてくれるんです。『アイアンマン』なんて代表的です。スーツを作ったり、試しにスーツを使うところめちゃ楽しい。『カウボーイ&エイリアン』だって題材馬鹿らしいですけど、ダニエル・クレイグが左腕にはめてる武器の格好良さは西部劇という設定には異質で最高。本作もそういうワクワクシーンのてんこ盛りでした。

 

実際の存在するものをCG化した「アリものCG」

 さっき記した通り「少年以外全部CG!」イェーイ!みたいな映画です。でも、もうCG飽和時代に突入しているから、皮肉にも何をやられてもあんまりビックリしないというのが現状。

 映画史において「実在感のある」CGを世に放ち、人々を驚かさせたのが1993年『ジュラシック・パーク』です。

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 たしかにこれ以前にもCGが使われた映像はありましたが、「まるでそこにそれが本当にいるかのような」見せ方をしたのは技術の大進歩でした。これ以降、CGは映画で多様されていきます。ただ、割と今まではロボット、エイリアン…といったような存在しないものをCGで描くことが多かった。そういうベクトルで進化していきました。『アバター』を代表とするようなモーション・ピクチャーという新技術も登場する中で、本作『ジャングル・ブック』は「実際に存在するものを本物のように見せるCG」という挑戦の集大成だと思います。

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 本作で登場する動物に特別な種は出てきません。われわれがテレビや動物園で見れる動物ばかりです。そういったものをCG化する方が難しい。正解がわかってる分、おかしいところがはっきり浮かび上がってしまうからです。そういった点からして本作はマジすげぇです。一部は本物なんじゃないかって思うんですけど、全部CG。表情や仕草、光の当たり方…すべてが計算し尽くされている。これが今までと違う「実際に存在するもの」をCG化した「アリものCG」なのです!(「アリものCG」という言葉は筆者が勝手に考えてます)

 で、ここからが大事なんですけど、これって単なる「動物の再現」じゃない。ちゃんと演出されてる。感情、意志をしっかり感じ取れることができるんです。このリアリティラインぎりぎりのとこを攻めてる。演出をつけすぎると嘘っぽくなる。あくまで、動物というものをベースにしてそこから逸脱はしていない。筆者が特に感じたのは「目」です。目の演技が素晴らしい。喜ぶっていう動作はジェスチャーつけちゃえばいんですけど、難しいのは怒哀楽。その絶妙な心の揺れ方がよく出ている。目を見るだけて悲しいのか、心配してるのか、怒ってるのかがわかる。こういう秀逸な演出によってちゃんと感情移入できるんです。

 

多種多様って楽しい〜!万歳!

 じゃあ、物語としてはどうなのか。ついこのあいだの『ズートピア』もそうでしたけど「みんな違うって楽しい〜!万歳〜!」っていう多種多様性が根本のテーマ。ディズニーって基本そういう物語が多いです。多種多様な世界で、違うもの同士が個性を活かして共生していく物語。

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 ジャングルですから個性豊かないろんな動物がいるんです。それでいいじゃん!違いがあるって楽しいじゃん!っていう。

 雨が降らなくなり日照りが強くなった時に池が干からび「平和の岩」が顔を出します。この岩が出た時だけ、弱肉強食による食物連鎖の世界は解かれ動物達は休戦状態になる。肉食動物も草食動物も一緒になって池の水分を共有する。多種多様性の象徴的な場面です。

 そんなジャングルに放り込まれた異端な存在である人間の子供・モーグリー。かつて人間へ傷を負わされ復習に燃えるスゲー強いトラが出てくるんですけど、そのトラがモーグリーを殺そうとする。「人間は敵だ!」と自分たちを滅ぼす存在なんだと。モーグリーを拾ったクロヒョウと育ての親である狼達はトラからモーグリーを守ろうとする。それを追うトラ。シンプルですよね。追う側と追われる側の攻防戦。マッドマックスみたい。

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 サラリと伏線が張られていて気持ち良く回収されるし、さっき書いた通りアクションシーンもスリリングで最高。弱肉強食のジャングルとはいえ、実際に狩りをして肉を食べるといったような生々しいシーンはどこにもなく、老若男女どの層でも楽しめるエンタテイメントに仕上がっています。

 

 

抑圧された人間としての知恵、文明の利器 〜なぜトラを殺した!??〜

 主人公のモーグリーは人間ですから、それなりの知恵がある。文明の利器だって持ちいることができる。面白いのは、この文明の利器はジャングルでは禁止されているという設定。モーグリーの師匠的な役割を担う黒豹が「狼らしくしなさい」と叱るのです。木製のバケツや木のツタを使ったロープ、石のナイフ、木製のクレーン…モーグリーの人間らしい知恵によりあらゆる道具が登場しますが、そういった力は抑圧されている。筆者的にこの設定がすごく面白いなと感じました。狼の子としてジャングルで生きたがっているのに、人間としての知恵が湧いてしまう。その知恵は抑圧されているわけですが、モーグリーは使いたがる。これって危なっかしい。動物たちが人間たちを恐れる象徴として火(動物たちは赤い花と呼んでいる)も登場します。触れたものをすべて焼き払ってしまう。火って文明の利器の出発点でもありますよね。皆が大事に大事に守ろうとしているモーグリーはまだちゃんとした人間で狼になりきれていない。むしろ、人間らしいところが押さえつけられていてなんだか窮屈そうなんです。でも、その人間としての知恵が動物たちを傷つける可能性を内包しているっていうのが皮肉なところなんです。複雑な状況なんです。

 だからね、モーグリーを殺したがるトラの主張ってまともなんですよ!モーグリーを残しておいたらたしかに危ないんです。トラ以外からもそういう主張が出たっておかしくない。だから、本作ではトラって別に悪じゃない。まともな意見なんです。けど、このトラは最後モーグリーによって殺されてしまう。主人公モーグリーは人間の世界には帰らずジャングルの一員としてまた新たに人生をスタートするところで本作は幕を下ろします。

 さて。先述した通りディズニーが得意とする「多種多様性」が本作のテーマだとするならば、モーグリーがジャングルに残るという結末はとんでもなく振り切ったスーパーポジティブな解答だと筆者は考えます。動物たちの脅威になりかねない存在モーグリーを全動物が容認し、共生するという道。ディズニーらしいと言えばそうなんですが、とんでもなく前向きです。これが悪いと言っているわけではないんです。でもね……

 

え?トラは?

 

 なんで殺されたんでしょう。みんなと違う意見を持っている人は徹底的に排除するということでしょうか。

 もしトラが、ジャングル征服を狙い手段を選ばない悪の存在という設定なら死ぬという結末はまだギリわかるんですけど。あのトラは復讐にとらわれためっちゃ哀れなトラなわけです。それを結局、殺してしまうって……多種多様性は尊重するのに、思考が合わなければ排除してしまうジャングルなんですよ!!めっちゃ怖くないですか?

 このあと、このトラと同じ考えを発想する動物って絶対いますよ。種族だけでなく、ジャングルの脅威になりかねない人間がいるわけですから。けど、たとえ他の動物がその考えを浮かべても声にはなりません。トラのように殺されるというイメージが焼き付いているから。トラは公開処刑だった。

 結果的にやむをえずトラが死んだっていう展開ならいいんですけど、モーグリーはじめ動物たちはみな、トラを殺すつもりで喧嘩してますよね。終盤は、なんだかイジメに見えてきました。

 

 なんなんでしょうね。こういうところがちょっと気持ち悪いし、怖いんです。またジブリの例えになってしまいますが、『もののけ姫』はもっといいアンサー出してましたよね。それぞれの場所で共に生きるっていう。本作の場合は、全く交わるべきじゃないモーグリーをジャングルに残し、マイノリティーな考えを持ったトラを殺すっていう…。

 だから、エンドロールとかめっちゃかわいいんですけど、結末がなんだか恐ろしくてそれどころじゃなかった。明るく作られてるのが、逆に怖い。ディズニー作品っておとぎ話や童話な次元に到達してると思うんです。子供にとって人生の教訓を学ぶ教育的な要素が大きい。だから、その辺きちんとやって欲しいんですね。

 

低いところから失礼しました。

 

新作映画『怒り』ネタバレ有りの感想文 〜エネルギッシュすぎる群像劇。圧倒される力強さ〜

 低いところから失礼します。ジャガモンド斉藤正伸です。

 個人的に今年公開暫定ベスト1だと断言する『怒り』がいよいよ本日から公開されるということで今回は「ネタバレ有り」バージョンの感想を書きなぐります。試写会で衝撃を受け、約1ヶ月が経ちますが、まだまだ鮮明に心に残っています。初日に観に行くので、再見して感じたことなどは書き加えるか、もしくは再度記事にするつもりです。

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「え?そもそも面白いの?今の所、観る気は無い。」と思ったあなた。(もうすでに観たというあなたも是非このバージョンをご一読ください)

ネタバレ無しバージョンをぜひご一読ください。

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超新作映画『怒り』 ネタバレ無しの感想文 「今年度1位の大傑作 〜なんでこんなに泣かせるんだよ!(怒)〜」

 これを読んでも、観る予定なし!と思ったあなた。このまま読み進めてください。正直、ネタバレしていても見に行く価値ありますから。

 これを最後まで読んでも観る気が起きなかったあなた。……ごめんなさい。僕の力量です。矛盾するようですが、筆者の文章だけで断定するのはよして!あくまで一意見。全く違った感想だってありますから

 

ということで、ここからは「もうすでに『怒り』を観た人」もしくは「『怒り』を全く観る気が無い人」という両極端の読者のみ読み進めてください。急に普通にネタバレします。

では、いってみよう!

※「ネタバレ無し版」と重複する内容もあります。

 

『怒り』

解説とあらすじ

吉田修一の原作を映画化した「悪人」で国内外で高い評価を得た李相日監督が、再び吉田原作の小説を映画化した群像ミステリードラマ。名実ともに日本を代表する名優・渡辺謙を主演に、森山未來、松山ケンイチ、広瀬すず、綾野剛、宮崎あおい、妻夫木聡と日本映画界トップクラスの俳優たちが共演。犯人未逮捕の殺人事件から1年後、千葉、東京、沖縄という3つの場所に、それぞれ前歴不詳の男が現れたことから巻き起こるドラマを描いた。東京・八王子で起こった残忍な殺人事件。犯人は現場に「怒」という血文字を残し、顔を整形してどこかへ逃亡した。それから1年後、千葉の漁港で暮らす洋平と娘の愛子の前に田代という青年が現れ、東京で大手企業に勤める優馬は街で直人という青年と知り合い、親の事情で沖縄に転校してきた女子高生・泉は、無人島で田中という男と遭遇するが……。

 

 

八王子編 〜映画史に残るタイトルバック〜

 夫婦が無残に殺された現場です。この映画のフックになってます。観客を一気に引き込む。予告編にも出てますが、残忍な殺人現場です。ここで筆者は「危うさ」を感じました。よくサスペンス映画やドラマで出てくる現場って、黄色いテープが貼られ、パトカーが停まっていて、何人もの人が出入りをしている。中には鑑識が入って写真なんかを撮っちゃったりして。そこにメインの刑事が現れる。『相棒』で言えば、右京さんよりも米沢守が先にいるんです。

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 フィクションの世界で「殺人現場」と言われれば、この風景が浮かぶんじゃないでしょうか。被害者の周りを多くの刑事が出入りしてる。これって、ニュースとかでもよく観る風景だから、無意識に作り手もこういうシーンを作っちゃうし、僕らの感覚に刷り込まれているような気がするんです。この「現場あるあるシーン」を観てると、僕らは安全圏にいます。なぜなら犯人はとっくに逃げてしまっているから。急に飛び出してくることはない。起きた事件の跡を見て推理するだけなんです。

 本作『怒り』は違う。メインの刑事役であるピエール瀧と三浦貴大が先に蒸し風呂のような暑い中で懐中電灯の明かりを頼りに「先に何が待ち受けてるかわからない」状況下で、前に前に進んでいくんです。もちろん第一発見者ではないのに、二人が現場を発見したような雰囲気なんです。部屋の暗さと垂れる汗も相まって、このシーンの緊迫感が凄まじい。何が出てくるかわからないからこっちもハラハラしてるんです。そして、進んでく先にドアの裏にある文字を見つける。それが血で書かれた「怒り」です。本作、タイトルバックないんですけど、このシーンがもはやオープニングになってるからいらないんです。タイトル出す必要が無い。逆にここでまた「怒り」って打ち文字でドーンって出てきても冷めちゃいます。犯人が被害者の血でドアに書きなぐった「怒り」これだけでもう十分オープニングなんです。

 もうこのヘビーな冒頭で、「あ。とんもない映画が始まった」っていう感じなんですよ!

 

千葉編 〜父が娘を不幸にさせていた〜

 渡辺謙が新宿歌舞伎町に現れます。3月前に家出をした娘(宮崎あおい)が風俗店で、過労により倒れたためです。NPOから連絡を受けた父・渡辺謙は大事な娘を迎えに来る。ベッドの上で横たわり「お父ちゃんと」かすれた声で助けを求める娘。しゃがみこむ父。そのまま娘を実家の千葉に連れて帰ります。その道中、電車の中でこんなやりとりがあります。

 

父「帰ったら寿司でもとろうか?」

娘「お父ちゃんの握ったおにぎりでいい」

父「…そんなんでいいのか」

 

 これだけで胸げ締め付けられます。この数分間でこの親子のことは何も語られて無いんです。どういう間柄なのかわからない。語りもない。第三者の介入もない。でも、伝わるんです。事の深刻さをちっとも感じてず音楽を聴く能天気な娘。そんな娘を叱らずに見守りながらも不安げな瞳で見つめる父。千葉について車で迎えに来ていた親戚の池脇千鶴がこれまた良いの!!あおいちゃんが車に乗った途端、「あんた何してたの!??どれだけ心配してか!!」と説教を食らわします。そのあとも「素性が知れないって不気味よね〜」と噂好きの近所のババアみたいな役回りなんですが、父・渡辺謙よりも娘を信じて愛を持って接してちゃんと向き合ってるのは池脇ちーちゃんなんです。ちーちゃんと渡辺謙さんの対比がまたよくできていて…前半で父は愛があるように見えてるんですけど、後半でちーちゃんと逆転するんです。一番、娘を疑い不幸に追いやっていたのは父親だった。家での原因は具体的に語られませんが、父にあったんじゃないかと、なんとなく察してしまいます。

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 クライマックスで娘の恋人である松山ケンイチくんは八王子の夫婦惨殺事件の犯人だとあおいちゃんに疑われ、警察に通報されてしまう。周りに疑われ迷惑をかけていることを察知したケンイチくんは罪悪感により行方不明に。でも、真実はあおいちゃんに話した通りで過去に借りた借金の影響で名を隠しサラ金から逃げていただけだった。けど、あおいちゃんが出会う前に素性が知れないのに雇ったのは父自身なんですよ。でも、彼の事情を娘を通じて耳にすると信用しない。どんどん疑い出す。泥沼状態なんです。

 つまり、崩壊の引き金は父・渡辺謙が引くんです。「まともじゃない娘が幸せになれるわけない」という疑う心が口に出していないのに、娘に伝染する。だから、娘も警察に通報してしまう。

 この映画の中で一番のハッピーエンドを千葉編は迎えています。松山・宮崎ペアは無事に二人で千葉へと帰って来る。通報でやってきた警察によるDNA鑑定で松山君が犯人ではないとわかるわけです。それがわかるのが、予告編にも出てる手前に窓越しのあおいちゃんがいて、奥の玄関に渡辺謙さんがいて刑事・三浦貴大がその判定結果を伝えて腰が抜けるシーンなんですけど。ここのミュートのタイミング、音楽のかぶり方、役者の動きのタイミング。すべてが見事です。映画史に残る名シーン。

 物語としては、ハッピーエンドではあるけれど「怒り」は残っている。それは父の自分自身への「怒り」なんです。だからこそ千葉編のラストは渡辺謙の「怒りの顔面」で締めくくられる。松山、宮崎ペアの幸せなカットで終わらせないんです。この渡辺謙の顔がもう良いのなんの…。喋りはないんです。ラストの渡辺謙は背中と顔だけでそれを物語る。日本を代表するとんでもない俳優さんです。

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東京編 〜「生死」を通して描かれる愛の形〜

 いつも以上に今回の妻夫木聡はセクシーです。同性愛者の役を演じてBLに挑戦してるんですが、前作『悪人』で監督から「ブローク・バック・マウンテンを参考にして」と指示があったそうで、『怒り』はその伏線だったんじゃないかと本人はインタビューで語っています。

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 東京でブッキー(妻夫木聡)は綾野剛くんと出会います。素性も知れずどこから来たか仕事は何をしているのか。何も言いたくないという剛くんとブッキーは同棲し始めます。しかし、ある日とある喫茶店で剛くんが高畑充希演じる娘と密会しているところを目撃してしまう。親密に見える二人の関係について本人を問い詰めるが、剛くんはしらばっくれます。人違いだと。それと同時に共通の複数の知り合いが連続で空き巣に入られたという情報がブッキーの耳に入ります。いよいよ疑いが深くなるブッキー。そして、トドメはTVで流れた八王子夫婦惨殺事件の逃亡犯の似顔絵。示された犯人の特徴と剛くんが酷似していました。不安がるブッキーの元に剛くんはなぜか帰らなくなります。そのまま電話もつながらず行方不明になってのです。ブッキーと観客の脳裏も共通の疑惑が浮かび上がります。「剛くんが犯人なんじゃないか…それで逃亡したんじゃないか…」そんなブッキーに警察から電話が。剛くんのことを聞かれ慌てて電話を切るブッキー。家にあった剛くんの私物をすべて捨て始めます。「予感は的中した…」

 ところが…ある日、偶然出会った高畑充希から衝撃の事実を聞かされます。実は、剛くんは昔から心臓の重い病にかかっており公園で生き倒れ亡くなったというのです。

 恥ずかしくなるくらい大きな勘違いをした自分に怒りが収まらない妻夫木聡

 

 「逃げたんです……」

 

 なんなんだ、エピソードは。疑うことで失ってしまった人生で一番の大切な人。実は、中盤ではブッキーの余命わずかのお母さんに剛くんが付きそう場面が描かれます。最終的に母親は亡くなり、二人でお墓まいりへと出かけたりするんですが。自分が同性愛者であるという事実を気にするブッキー。剛くんのこともないがしろにするんですが、剛くんはブッキーと同じお墓に入りたいと思ってる。もちろん、そんなことは声を大にして言えないわけですが。母が死を迎え墓に入るところまで見せることで剛くんの未来を暗示してるわけです。「愛する人と同じ墓に入りたい」という剛くんの想い。この想いも母の死を目にして高まっていく。同性愛者への理解も制度もまだまだ浅いこの日本に強烈なメッセージを叩きつけてきます。

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沖縄編 〜いくら怒っても伝わらない〜

 母と共に引っ越してきた広瀬すずちゃん。ある日、同級生(現地のオーディションで選ばれた新人の佐久本宝くん!こんなメンバーの中で全く引けをとってません!素晴らしいです!)のボートに乗って沖縄内の無人島へ遊びに行きます。そこで出会うのが森山未來。

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 彼の初登場シーンがまた秀逸です。沖縄にある米軍基地から飛び立った戦闘機の大きな影と爆音が重なり合ったところで森山未來がピカ!っと登場。のちに出てくる沖縄の基地問題の伏線にもなってます。こういう自然な入れ方が伏線なんですよね。はっきりとしたセリフを散りばめて、繰り返してあとで回収すれば良いってもんじゃないんだと改めて気づきました。

 この出会い以降、広瀬すず、森山未來、佐久本くんの交流は深まっていきます。すずちゃんに片想いをしていた佐久本くんは那覇デートに誘います。そこで目にしたのは米軍基地建設反対のデモ。その中に佐久本くんの父親がいます。「あんなことやって意味あるのかな?」と父を軽蔑する佐久本くん。そんな日の夜…酔っ払った佐久本くんを追いかけたすずちゃんは沖縄基地に住むアメリカ兵にレイプされてしまう。怖くて助けることができない佐久本くん。ボロボロになったすずちゃんを目の前に謝ることしかできません。そんな佐久本くんにすずちゃんは「誰にも言わないで……」と震えた声で訴えかけます。

 それまで楽しい青春映画のようだった沖縄編は一変します。

 すずちゃんはお父さんのデモ運動のエピソードを通して、いくら泣いたって怒ったって誰もわかってくれないと思っている佐久本くんに泣き訴えるかけるのです。お父さんの運動を軽蔑しているあなたに私の苦しさは伝わらないと。佐久本くんは約束ゆえに誰にも相談できず、遠回しに森山未來くんに助けを求めます。「お前の味方にならいつだってなるからな」と励ます森山未來。そんな彼は佐久本くんの実家の旅館を手伝うようになり周りからの信頼される青年となっていきます。しかし、ある夜自体は急変。突然、森山未來は旅館で半狂乱になりながら逃亡してしまいます。

 翌朝、追いかける佐久本くん。いつもの無人島に行くと森山未來が住み込んでいる廃墟の壁に大きな文字が……「怒り」

 すずちゃんが強姦にあっていた時、森山未來は裏で笑っていたのです。それを壁にも書き残している。「誰にも言わないで……」あの時のすずちゃんとの約束がフラッシュバックします。どうすることもできない非力な自分だからこそ、あの約束だけは守らなければ……佐久本くんは近くにあった裁ちばさみで森山未來を殺害します。こうすることが大切な人を守る最善の方法だったのです。

 ここで必見なのは森山未來の怪演と佐久本宝くんの非力ゆえの行動の危うさです。演技合戦!名勝負です!ここは犯人の特徴という伏線を見事に回収しきっているシーンでもあります。

 刑事たちが真犯人の家に押し入った時、「犯人は思ったことをなんでも周りの何かに書く癖がある」という伏線が張られます。実は、3人の中で「住処の中」が映らないのは森山未來だけなんです。書きためていてもおかしくなかった。先述した初登場の仕方、逆光の演出も明からさまに怪しい。そもそも八王子で殺人を犯したら一番遠くに逃げるのが自然な考えですよね。今、思えばこいつが犯人だったなと。でも、これだけ張られてても結末は読めません。予想はできても確信は持てない。それがラストで一気に明かになります。骨太で重厚な人間ドラマの要素だけでなく、ミステリーとして楽しめる本作の大事なカタルシスです。

 結局、森山未來は死亡し、佐久本くんは逮捕。大事な人を2人同時にうしなったすずちゃんは自分の力で無人島へと足を運んで壁の字を目にします。そこで佐久本くんの想いに触れる。本作で一番若く。そして、一番怒りを感じているのは彼女です。この怒りの叫びがラストカットとなります。これは誰に対してかというよりももっと巨大なものに対しての「怒り」。この怒りをどこにぶつけたらいいのかわからない。ぶつけるべき友だってもういない。……でも…それでも生きていかなきゃいけないんだと。たとえ伝わらなくても怒りを叫び続けるんだって。それが生きることなんだ!という強烈な想いが炸裂します。

 この映画はすずちゃんの息継ぎで終わるんです。ここがとんでもないエネルギーなんです。各パートで怒りを一番感じていた人の顔が映されるんですけど、渡辺謙でもなく妻夫木聡でもなく広瀬すずの「生き抜く決意」で締めくくられるんです、最後は!映画は終わりなのにパワフルなんです。だからこその余韻なのかもしれません。

 

 八王子・千葉・東京・沖縄と順番に書きなぐっていきましたが、ぶつぎりな訳ではありません。オムニバスではない群像劇です。見やすくクロスオーバーされています。その組み合わせ方も秀逸です。3箇所で根本では同じようなことが起きているのにそう感じさせません。飽きさせない。また、この3箇所の人間が交わることは一切ないのにとんでもなくエモーショナルなんです。それは根底の「怒り」というテーマが共通だからです。話が混じり合うことがなくても一体感が生まれる。3箇所がちゃんと映画全体のエンディングに向かうんです。この情報量の多さを整備し、よく映像化できたなと。凄まじい監督力です。

 

なぜ筆者にとって本作『怒り』が今年度No.1か?

 まず、「圧倒的なパワーを感じるから」です。名役者による名演技もそうですが、完璧な画を撮るために数ヶ月も前から準備をし、念密に作り込みをする李相日監督の執念が凄まじい。その熱がガンガン伝わってくる。映画で「感動した」「怖かった」「面白かった」ってなんとなく感想として言えますけど、「圧倒される」ってなかなかないじゃないですか。もう脳が追いつかないんです。1つ1つのパンチ力が強すぎて、ボッコボコなんです!こっちは。これは強烈な映画体験です。

 もう1つは「普遍的な人間のテーマを描いている」からです。それは何か。この映画って筆者的に解釈してるのは「伝えるということの難しさとそれに生じる危うさ」と「信じることで失う何か」と「疑うことで失う何か」の両面。大きく言えばこの2つを映画にしてると思ったんです。

 「伝わらない」という現象ってあらゆる争いの根本原因だと思うんです。宗教の違いや価値観の違い。自分が信じているモノって伝えようとしても100%は絶対に伝わらないんです。映画本編のセリフを引用するなら「本気って見えない」いくら叫んでも伝わらないんです。一番伝わらなくて憤ってるのは犯人だと思います。それが殺人と文字で現れた。犯人だと疑われている他の2人もだって伝えたいけど、伝わらない現状につまずいている。

 筆者は芸人です。面白いと思って書いたネタでも相方にもお客さんに伝わらないことは何千回だってあります。「面白いはずなのに!なんで伝わらないんだ!」って。こうして映画のことを書いてるのだってそうです。面白いと思ってた映画のよさが相手に伝わらないって辛いですよね!そういうのってみんなあるはずなんです。身近なところに絶対あるんです。伝えたいのに、伝わらないって人間が抱える永遠の問題であり、テーマなんです。それを描いてるんです。

 今のは主に犯人と疑われている側の視点が主でしたが、周辺の人間。つまり、疑う側を通おして「信じることで失う何か」と「疑うことで失う何か」の両面を描いていました。渡辺謙も妻夫木聡も疑うことで大事なモノを失い、これからまた歩み出さなくてはいけない。佐久本くんと広瀬すずは信じていたのにとんでもない裏切られ方をするわけです。信じていたから失ったんです。本作の中で最若手が大人に裏切られるっていう設定…まじエゲツないですよね。人を疑うようになって大人になるんだという恐ろしい話とも捉えることができます。

 これも人間関係ある限り一生なくならないテーマじゃないですか。しょっちゅうありますってこんなの。この両面の繰り返しでしょ?人生。

 こういったテーマを描きながら、ラストは……

 

 それでも生きていくんだ!!!(代表 広瀬すず)

 

 という強烈で前向きなメッセージで締めくくっているのがこの映画の勢いだし、尊いところ。決して暗くない。人間応援歌なんです。これが圧倒される理由なんです!

 

 

 嗚呼、書き殴りました。とんでもなく長文でヘビーな内容になってしまいました。最後まで読んでくれてありがとうございました。

 まだ1回しかみていないので、解釈のズレはあるかもしれませんが…ともかくこれから公開初日に行ってまいります。

 

 低いところから失礼しました。

 

新作映画『君の名は。』ネタバレ無しの感想文 〜SF×恋愛 大好き新海誠監督!美化された男女のエゴ〜

低いところから失礼します。ジャガモンド斉藤正伸です。

 

『君の名は。』

解説とあらすじ

「雲のむこう、約束の場所」「秒速5センチメートル」など、男女の心の機微を美しい風景描写とともに繊細に描き出すアニメーション作品を手がけ、国内外から注目を集める新海誠監督が、前作「言の葉の庭」から3年ぶりに送り出すオリジナル長編アニメ。「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」「心が叫びたがってるんだ。」で知られ、新海監督とはCM作品でタッグを組んだこともある田中将賀がキャラクターデザインを担当し、「もののけ姫」「千と千尋の神隠し」などスタジオジブリ作品に数多く携わってきた安藤雅司が作画監督を務める。1000年ぶりという彗星の接近が1カ月後に迫ったある日、山深い田舎町に暮らす女子高生の宮水三葉は、自分が東京の男子高校生になった夢を見る。日頃から田舎の小さな町に窮屈し、都会に憧れを抱いていた三葉は、夢の中で都会を満喫する。一方、東京で暮らす男子高校生の立花瀧も、行ったこともない山奥の町で自分が女子高生になっている夢を見ていた。声の出演は神木隆之介と上白石萌音。

 

 新海誠監督は「SF×恋愛」の組み合わせがとんでもなく上手い映画作家です。ここでのSFはファンタジーと置き換えてもいいです。非日常的な設定の映画に親近感を持たせる。これは大切なことです。

 新海誠監督はファンタジーの世界に現代に生きる若者をそのまま放り込み「恋愛」という誰もが共感できる切り口で作品を語ります。

 筆者が完全に個人の独断と偏見でぼりぼり新海監督の作家性を掘り下げれば……

 

「ねーねー、遠距離恋愛ってマジ切ない。会いたくても会えない…この状況、死ぬほど苦しい。でもさ、距離があることでさ、相手をより大切にしよって思えちゃうよね!てか、そもそも今の自分の気持ち伝えるのキビー!やっばい!マジ切ないんだけど!この感じ!え、どうしよう!まぁいいっか!走り出しちゃえ!」

 

……みたいな。まるで女子会で出てくるような恋愛観をもった監督です!こういう内容をひたすら繰り返し描いてる。マジで!正直…このナヨナヨしい恋愛観じ苦手です。オエッてきます。……偉そうに監督の作家性を語ってますが……ごめんなさい、新海誠作品は全部は観ていません。というのも、2、3本観てるうちに、なんだか後味が同じでどうせ同じものが描かれる!と悪態をつき、観る気をなくしました。すみません。

だから、本作『君の名は。』もどーせ同じでしょ!!って思って、観に行きましたが…………

 

はい、同じでした。

 

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 いつもの恋愛観を炸裂させる新海誠節。「会いたいけど、会えない。会う方法もわからない…けど、なんだろうこの気持ち…好き……!うん!会いたい!」みたいな映画です。

 そこに1つ別のテーマも乗っかってます。それは「災害」です。3.11の東日本大震災を意識した作りになってます。人の力ではどうすることもできない「災害」によって失われた命を映画というフィクションによって救うという構図になっています。これは日本人の心の奥底にある「願望」でもあると思います。それをこの映画は果たしてくれている。今の日本人しか描けないし、今の日本人の心の琴線に触れる作品です。全く違うように見えますが、そういった点は『シン・ゴジラ』と同じ年に公開されているというのは意味が深いです。

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 ただ筆者は、そういったテーマといつもの新海誠節が水と油のようにミスマッチだと思えて仕方ありませんでした。

 言い切りましょう。本作は10代〜20代の若者をターゲットにした「恋愛映画」です。特に、思春期の中高生にとってはたまんない!実際、映画館はそういった年齢層とカップルで埋め尽くされていました。筆者は今まで恋愛映画を避けてきました。なんで避けてるのかよくわからなかったんですが、今回の映画を観て1つハッキリしました。恋愛自体がキライなのではなく、主人公たちが行動をとる理由や目的が恋愛に縛られる点が苦手なんだと気付きました。

 どういうことか?

 「恋愛」とジャンル分けされた映画はもちろん恋が成就するかしないかが物語の推進力になります。主人公が男だとすれば、彼が行動する理由は好きな子に会いに行くだとか、好きな子のためにプレゼントを買うだとか、好きな子を傷つけた男に啖呵切りにいくとか…そういったものになりますよね。しかも、時には周りに多大な迷惑をかけてまで行動を起こす。男と女の狭い世界だけで完結している狭い世界がキライで、そういった主人公らの行動原理が気に食わないんだと思ったんです。

 本作『君の名は。』もそれなんです。

 ファンタジー要素があるとはいえ、物語の主軸は2人の恋です。しかし、クライマックスでとんでもなくスケールがでかくなります。ネタバレを避けて言えば、500人の人命を救えるかどうか!?みたいな話になってくる。ここの盛り上がりで筆者はゾクゾクしました。それまで、恋愛ファンタジーだったものがタイムリミットサスペンスにジャンルが切り替わっていくんです。さっき記した通り、3.11と重なり合う部分もありますから、こちらとしては本当に祈りながら見守るんです。助かってくれ!って。しかし…!!!あと少しで500人が死ぬ!という大事な場面で主人公の女の子が……会いに行っちゃうんですよ!ここで!好きな彼に!!!!

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 何してんだよ!!!

 「やっと会えたね」じゃねーわ!やかましいわ!!そういう行動をとることによって、500人が命を落とすかもしれないんだぞ!!!

 作り手的にも他のお客さん的にもこのシーンは最高なんでしょうが、筆者にとってはキツイ。

 筆者は気付きました。「恋愛映画」って男女のエゴを見せられる拷問なんです。恋愛ってそういう面が大きいと思うんで、それ自体を否定してる分けじゃないですが…!これを映像作品としてどう観ればいいかわかりません。結果的には本作はハッピーエンドなんで、捉え方としては2人の絆が命を救うってことになってるんですが……どうしても、男女のエゴが美化されてるように見えて仕方がない。そんなんじゃないでしょ!って思ってしまいます。筆者が斜めに見過ぎなんでしょうか。だとしたら、誰か助けてほしいです!

 

…と、ここまで書いた筆者。

 書いてて思ったんですが、宮崎駿の『崖の上のポニョ』も男女間のエゴなんです。ポニョが大好きなそうすけに会うために結果的に世界が滅ぼす。って話じゃないですか、あれ。てか、ほぼ滅んでます。掟を破ったポニョのせいで世界は海で覆われるんです。不思議とその時、ポニョが乗ってくる津波のシーンがとんでもなく綺麗で涙出ます。怖いのに綺麗。よくこんな話を子供向けというパッケージで作ったなとも思うんですけど。

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 『君の名は。』と同じとはいえ、筆者はポニョが大好きです。この違いは何なんでしょう?思うに、宮崎駿の方がゴリゴリに尖った作家性を貫いてるんです。振り切ってる。ポニョでは、結果人類が救われるって話ではない。具体的にそういう描写はないんですけど、2人の愛によって世界は滅びちゃう。『君の名は。』と違って、綺麗事じゃないんです。エゴを貫いたことによってちゃんと失われる。あと、新海誠作品のそもそも恋愛に関してちょっと鬱っぽい感じが苦手なんですかね。神木くんが声優を務める主人公は「喧嘩っ早い」って言われてる割にナヨナヨしてる。くらーい表情の中、くらーい心の声がナレーションで入ってくる。このテイストが生理的に合わない。早く会いに行けよ!って。ポニョはずば抜けて明るいですからね!開き直ってる!そこがまた怖いんですけど。それから、ちょっと逸れますけど、個人的にJ-POPのゴリゴリ日本語歌詞の挿入歌って物語を邪魔している気もしました!はい!終わり!!!

 

 何はともあれ、社会現象にまでなっている『君の名は。』です。ほとんどの人が絶賛してるので、筆者はマイノリティーだと思いますから、観に行って良いのでは!?(全然、感情こもってなくてすみません。)『シン・ゴジラ』と二本立てで観ると良いかもです。

 

 

 低いところから失礼しました。

新作映画『スーサイド・スクワッド』ネタバレありの感想文 〜本編より予告編の方が面白い!しかし!!応援してます!〜

低いところから失礼します。ジャガモンド斉藤正伸です。

 

『スーサイド・スクワッド』

 

 

解説とあらすじ

「バットマン」や「スーパーマン」などと同じDCコミックスに登場する悪役たちがチームを組んで戦う姿を描くアクション作品。バットマンをはじめとするヒーローたちによって投獄され、死刑や終身刑となった悪党たちが、減刑と引き換えに「スーサイド・スクワッド(自殺部隊)」の結成を強制され、危険なミッションに挑む。ウィル・スミスや「ウルフ・オブ・ウォールストリート」のマーゴット・ロビー、「ロボコップ」のジョエル・キナマンら豪華キャストが共演。バットマン最大の宿敵として知られ、これまでにジャック・ニコルソン、ヒース・レジャーが演じてきたジョーカーを、「ダラス・バイヤーズクラブ」でアカデミー賞を受賞したジャレッド・レトが新たに演じる。監督は「フューリー」のデビッド・エアー。

 

はじめに

 筆者的に本作『スーサイド・スクワッド』は「予告編であがる⤴︎映画」今年ナンバー1です。

 QUEENの『ボヘミアン・ラブソティ』との相性が最高で、映し出されるカットはずべて超クール!!!鳥肌モノです。何度でも見返してくなる。

 バラバラだった強者が集まって1つの目的を達成するっていうプロット自体がもうおもしろいじゃないですか。『七人の侍』が原点だし、禁酒時代を舞台にマフィアのアル・カポネを倒すべく集った刑事たちを描く『アンタッチャブル』同じアメコミで言えばマーベルの『アベンジャーズ』もそれに近いものが。

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同じアメコミでしかも、悪党集団という意味で言えば近年に傑作がありました。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』

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もう完全にこういう映画を彷彿とさせて、テンション上がりまくりなんです…!面白くないわけない!!!そう周りも話してました。

 

が……

 

いろいろあるんですけど、結論を言います!!

 

 

予告編が1番面白かった!!!

 

ずどーーーん!どひゃーーーー!

そうなんですよ。予告編が1番ピークだったんです…。なぜ、そうなったか……まずは簡潔にまとめます。書きなぐります。

 

・そもそも監督がミスマッチ!〜デビット・エアーは悪くない!〜

・「おまえは一体誰なんだ!」 〜DCコミック映画の問題点〜

・バットマンとジョーカーの問題

 

では、1つ1つ書いていこうと思います。

 

そもそも監督がミスマッチ!〜デビット・エアーは悪くない!!〜

 本作の監督はデビット・エアー。元海軍という経歴をもち、映画製作にかんしてはもともと脚本がメインでしたが、監督デビュー作『エンド・オブ・ウォッチ』の傑作ぶりをきっかけに超いい映画を連発してます。大好きなものばかり。

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 この監督が一貫している作家性とは何か。簡単にまとめると

①「暴力」という世界でしか生きられない男の生き様

②リアル指向でクールな銃撃戦

③無駄な会話によって発生する親しみと愛おしさ

 この辺を描かせたら右に出るものはいない!

 ただ、これってあくまでも現実に存在する設定の上で活きてくるものだと思うんです。しょうもない会話とかしてるような愛おしい連中が実は、死と隣り合わせ。しかもリアルで感情のない銃撃戦の中で生きてるんです。だから、儚い。愛おしくなる。さっきまでこんなに楽しかったのにピストル撃ち込まれれば、あっけなくパタッとあの世にいってしまう…。そういう設定が向いてると考えると、『スーサイド・スクワッド』はちょっくらミスマッチだったんじゃないでしょうか!?たしかに悪党集団っていう部分では得意そうだけど、アメコミ原作なんで超能力だとか魔法だとか非現実的なことがやっぱりメインになってくる。コミック原作という部分を踏まえると、やはりそこを押さなきゃいけなくなってきますから。だし、当たり前ですけどこの悪党集団のほぼ全員が生き残るんですよ。もし、これでどんどん死んでいったら…それはそれでアメコミ映画史上に残る傑作になったと思います。

 つまり、「アメコミ原作もの」また「シリーズもの」という囲いのせいで観てるこちらは安全圏にいるんです。誰かがいきなり死ぬなんて思っていない。そうなるとさっき書いた作家性とズレが生じます。もちろん職人肌でなんでもこなす監督もいますが…。これだけ何作も撮ってずっと貫いているものがある監督にとっては素材がミスマッチだと思います。

 その上で、本作で物語として一番良いのがウィル・スミス演じるデッド・ショットなんです。

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 別れた女房の間に娘が一人。その娘を大学に行かせてあげたい、幸せになってもらいたいと願う良い男。しかし、本人は世界一の狙撃手であり暗殺者。死を商売にしている。娘を幸せにするにはお金が必要なのに、人を殺すことでしかお金を稼げない。大切なものを血で汚れた金で守るんです。

 ……ね!??デビット・エアーっぽいでしょ!???

 だから、やけにこのパートがうまい。ラストはちょっと男泣きしそうになりました。

 

「おまえは一体誰なんだ!」 〜DCコミック映画の問題点〜

 アメリカのコミック史上で2大会社がマーベルコミックとDCコミックです。歴史的にはDCコミックの方が先です。ただ、映画において先にお祭り状態になったのがマーベルでした。アイアンマン、キャプテンアメリカ、スパイダーマンなどを中心にMCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)という何作もの作品を同じ世界観の中で展開し、クロスオーバーさせるというスタイルを成功させています。

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 この単体のヒーローを集結させたのが、『アベンジャーズ』です。

 MCUが優秀なのは、そのプロデュース能力。キャスティングもそうですし、監督の起用の仕方もうまい。シリーズのマンネリ化を防ぐ裏切り展開もほどよくされており、思わず全作品を追いかけたくなるような作りになってるんです。

 これを受け、DCコミックスも黙っていません。『スーパーマン』や『バットマン』は過去に映画化されていますが、MCUのような試みは過去にありませんでした。DCは今まで世に出た作品での出来事をいったんなかったことにして、改めて作り始めたのです。単体の映画を作って、そのヒーローが集結する『ジャスティス・リーグ』をやろうと。もちろん原作は存在するんですが、MCUの影響がでかすぎて、この発想の時点で二番煎じ感が否めない。

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 現状、公開されているのがスーパーマンの1作目にあたる『マン・オブ・スティール』そのスーパーマンとバットマンを対決させた『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』の2本。そして、本作の『スーサイド・スクワッド』の計3本。一応、すべて話が繋がってます。これがまた現状なんともいえないシリーズになっている。まず、『マン・オブ・スティール』は話が重すぎる。名作であるリチャード・ドナー版『スーパーマン』のような爽快感がない。続編で話をガクッと落としてダークにするのはいいんですけど、ヒーローもの1作目でこの重さはちょっとキツイ。続いて『バットマンvsスーパーマン ジャスティスの誕生』なんですが、このあたりからクロスオーバーがとんでもない量になりすぎていて、グチャグチャなんです。初登場のバットマンのバックボーンをじっくりやらなきゃいけないのに、新キャラワンダーウーマン出てくるわ、スーパーマンはスーパーマンで眉間にシワ寄せてずっと鬱状態だし、バットマンも苛立ちっぱなし。登場人物に楽しそうなやつ1人もいねーんです。こりゃ辛い。そんでもって、膨大な情報量をさばくために回想と語りで処理してるため、なんだかオムニバスを観せられてるような…そんな不完全燃焼で終わる。

※なんで、こうなってるかはスタッフの人選という部分もあるんですが、そこに触れるとまた長くなるので、後日。

 で……本作に途中するんです。

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 本作は、全員初登場なんです!!!全員!!!

 どうなるか?全員のキャラ設定やバックボーンを伝える必要がある。能力紹介は挿入歌も相まってテンポよくて、かっちょいいし、上がるんですけど…もちろん回想と語りのオンパレードになるんです。ここはまだいいんです。予告編にも登場しますが、悪党集団を集める司令官。

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 こいつ!悪そうな顔してますね〜。たくらんでますね〜。彼女がこういうナレーションで登場するんです。

 

「スーパーマンが死んだ。(観てない人はパニくると思いますが、前作でスーパーマン死んでます。)だから私が来た」

 

いや、まずお前は誰んだよ!!!

 なんの説明もないんです。なんでスーパーマン死んだら、お前が代わりみたいになるんだよ。冷酷さとか肉食ってる感じは最高なんですけど、バックボーンや目的が全くつかめない。

 まぁまぁ、ここまではいいとしましょう。キャラ整理はなんとかうまくいったとしましょう。この先が一番の問題なんですが……

 

悪党集団よ、君らはなんのために戦ってるの???

 

 最初は脅されてるんです。首に爆弾埋め込まれて、任務が終われば減刑してもらえると。それで止むを得ず敵と戦う。いいでしょう。いいでしょう。悪党らしい。けどね、後半でその問題が一度、解決するんです。爆弾の心配がなくなった。チームもなんだか不協和音……でも目の前では人類の危機!どうする!?なんのために戦うのか!?……ここからでしょ?ならず者団結映画の白眉は!!ここが本作には無いんです。なんで動いてるのか意味がわからない。逃げれるのに。

 さらに!大して何にもしてないのに急に謎の仲間意識が生まれてる。

「私の仲間をいじめるな!」とか「お前は仲間だ!」とか…

お互いのこと何にも知らないくせにいきなりルフィみたいな振る舞い方をしだすんです。

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やかましいわ!!!

 

 相反してた奴らが仲間になっていく…こんなロマンないんですから、その過程を描いてくれよ!マーベルの傑作『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』ではそういうところしっかり描かれてるんですよ!

 

バットマンとジョーカーの問題

 本作、バットマンも出でくるんです。悪党集団のほとんどはバットマンによって捕まってて、ちょっとだけ前の過去として回想で描かれている。ただ、物語の起爆剤となる事件が起きてからは出てこず…ラストにちょこっと出てきます。何が言いたいかわかりますか?

 

コラ!お前は一体なにしてたーーー!!!

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 こんなん言うの野暮ですよ。わかります。そんなん言ったらキリがないですから。MCUのシリーズにだって、こういうのあります。アベンジャーズの次作の時とか気になろうと思えばいくらでも。ついこの前はみんなで集まって解決してたのに…毎回、ヒーローものは世界の滅亡が関わるわけですから、その時はみんな何してたの?って。けど、MCUでは配慮がされてる。他のキャラクターは全く出てこない。会話に登場したりはあるんですけど、影も形もない。ただ、本作はちゃっかりバットマン活躍してるんすよ!序盤と最後ではっきり!!!

 

コラーーー!映画の真ん中の時間、お前は一体どこ行ってたんだーーー!!!

って思うよね!??

 

 そして、このバットマンの宿敵であるジョーカー。ジャック・ニコルソン、ヒース・レジャーと続いて、ジャレッド・レトが演じています。

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 みんな、こえーーーー

 

 ジャレッド・レトも、ちょっぴりヒースを彷彿とさせる演技だけど、ヒース版ジョーカーの印象が未だ強い中で立派な怪演でした!問題はそこではなく…描かれ方です。

 ヒース版ジョーカーが活躍したのがクリストファー・ノーラン監督『ダークナイト』(2008年)筆者が高校3年生の時。当時、予告編を観て「ジョーカーはバットマンとどう戦うの?」と気になってました。このジョーカーは〜というのが重要で、ジョーカーは肉体的には一般人ですから。鍛えまくって、装備しまくってるバットマンとどう張り合うんだ?と。観てびっくり。考えが浅かった。肉体的な交戦がほとんどないんです!これは画期的でした。ジョーカーは人の心に入り込み利用し操る。どこかカリスマ性があった。悪役なのに何かをやらかすと気持ちいい気分になるくらいです。こっちも洗脳されてるんじゃないかって。「悪人でも殺しはしない」と自分に厳しいルールを課しているバットマンはこのルールを利用され、ジョーカーの手のひらで転がされる。しかも、バットマンが正義を成すことでジョーカーが誕生したという理論になってるんです。ジョーカーはバットマンを生かしたいんです。すごくないですか?この関係性。お互い一生、殺せないんですよ。バットマンは暴力では無敵ですが、心を追い詰められる。ラストも決着ついたようで付いてないんですよ!永遠にバットマンを苦しめる悪役なんです。だからこその宿敵なんです。

 今回のジョーカーはその別格感がない。何をどうやってるのか、ほとんどが曖昧なんです。ハーレー・クイーンを惚れさせるのだって…なんで?って。まともだった女性の頭を狂わせていく過程が観たい。今回、ジョーカーがキーマンではあるんですけど、すんげー記号的なんです。そこにいるだけ。そうなると、説得力に欠ける!嗚呼!もっとじっくり狂わせてくれ!!!

まとめ 〜ちゃんと応援してるよ〜

 かといって、この映画きらいかといえば、そうでもないんです!好きな部類なんです。もちろん、ハーレー・クイーンをずっと見てたいってのも大きな理由なんですけど、挿入歌のセンスとか炎男のエピソード、チーム・ジョーカーのなんだかド派手にしでかしてくれそうな怪しさ。魔女の妖艶な美しさ。何より個人的にデッド・ショット!彼が久々に大好きな拳銃を手にするシーンがあるんです。一発撃った拳銃の硝煙を嗅いで、ほくそ笑みながら百発百中の射撃を披露する。そこ1番あがる!クソかっけぇんすよ!男!男!男!!!って感じで。まぁ前半なんですけど、絶頂を迎えてしまう!立てないくらいガクガクになりますよね。あと、ラストも好きです。みんな任務を終えて、刑務所に戻る。そして、それぞれの生活……ああ、この人たちは生涯、利用される時だけシャバの世界を吸えるのか…って思うと泣けてくる。出してあげたい。あそこ哀愁漂ってますよね。

 そういう好きなところもいっぱいあるんです。だからこそ!だからこそ…!!DCの偉い人よ!!焦らないで!!!いきなりアベンジャーズみたいなことをしないでいいんじゃないでしょうか。もう少しペース落として、単体の映画でじっくりバックボーン描いてくれ〜!今、玉突き事故が起きてる真っ最中になっています。

 次作はワンダーウーマンらしいので、ここではキャラも整理しつつ物語の焦点をぼやかさないで欲しいです!ちゃんと追います!応援してます!!!

 

 低いところから失礼しました!

 

新作映画『ライト/オフ』ネタバレなしの感想文 〜ホラーの夏はまだまだ終わらない!〜

低いところから失礼します。ジャガモンド斉藤正伸です。

 

『ライト/オフ』

あらすじと解説

動画サイトで合計1億5000万回再生されたという恐怖映像を、「ソウ」「死霊館」のジェームズ・ワン製作で映画化。暗闇に現れるという「それ」に怯える幼い弟を守るため、久しぶりに実家へ戻ったレベッカ。たくさんのライトを準備して夜に備えるが、次々と明かりが消え、暗闇から「それ」がレベッカたちを狙っていた。監督は「アナベル 死霊館の人形」の続編でメガホンを取るデビッド・F・サンドバーグ。リメイク版「エルム街の悪夢」や「ファイナル・デッドブリッジ」「遊星からの物体X ファーストコンタクト」を手がけたエリック・ハイセラーが脚本を担当。レベッカ役を「ウォーム・ボディーズ」「X-ミッション」のテリーサ・パーマーが演じる。

 

 

いや〜!怖かったーーー!今年の『死霊館 エンフィールド事件』も怖くて飛び跳ねましたが今回も子犬のようにキャンキャンしてしました。いいですね!寿命が縮むって!

やっぱりジェームズ・ワンが世に放つホラー映画にハズレはない!

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ざっくり感想を言いますと…

 

・81分というコスパの良さで超チビります。

・日常に引きずる恐ろしさ。もう電気消せません。

・徹底して自分の作ったルールを守るジェントルマンな映画

・弟の境遇がかわいそすぎるし、顔芸が最高!

 

 詳しく書きなぐっていきます!

 見終わってビックリ。この映画、81分しかないんです。でも十分怖い。通常の映画のように残り40分くらいあると思ったら、もっと観たくなる!もっともっと話を掘り下げてほしい…って思ったら、これ続編製作決定だって!やった!もっともっと話を深くしていってほしいですね。

 何が怖いかってまずアイデアに拍手ですよね。以前、『リング』について書きましたけどそこで筆者は「テレビという日常品を恐怖のアイテム化」したことが秀逸だと書きました。見終わった後もその映画の恐怖を引きずる。もうテレビが怖く感じるようになりますから。本作もそれに近いんですけど、これ映画になったからとかじゃくて、「電気を消す」っていう行為自体がもともと怖い。日常で少し怖いと思われてた行為をベースにそのまま映画にする。これによって「誰にでも起こりうる恐怖」だってことを植えつけてるんです。素晴らしいですよね。もともと怖かったものをより怖くされた。もう電気消せないっすよ。このアイデアはもともと監督のアイデアでYouTubeにアップした短編がとんでもなく怖くて、長編映画化になったそうです。恐るべしアメリカンドリーム。その短編がこれです。

 

 どうっすか!??

 めちゃめちゃ怖くない???ラストで「それ」が現れて完全に光が当たっちゃって正体現してるからルール無視なんですけど、短編モノのオチということで仕方ない!ご愛嬌です。

 予告編でお分かりの通り今回の幽霊である「それ」は暗闇でしか襲ってきません。もっと言えば暗闇の中でしか動けないし、こっちからも見えない。この自分らで課したルールを作り手が徹底的に守ってるところがとっても偉い。勢いでそういうルールを破って何でもアリにしちゃわないんです。あくまで暗闇でしか現れない。いいですね、好感持てますね。また、これキーポイントなのは、完全な暗闇ではないということだと思います。「それ」が現れる時、必ず周りは光が差してるんです。なんでかって言えば、光がないとその物体のシルエットを捉えることができないからですよね。本編内でむやみに真っ暗なシーンを用意して、見えないところで襲われて「ぎゃーーー!」って悲鳴だけ聞こえるとか、そういうことをしていない。この工夫もいいですね。面白いのは、逆に真っ暗なシーンがあんまり怖くないんです。「あかる〜いお部屋の中にさす一筋の闇」がひたすら怖い。

 一番、「それ」に遭遇してしまうのが弟なんですけど、マジで境遇がかわいそすぎる。笑っちゃうほど「それ」に襲われてます。電気が消えちゃった時のテンパり具合でよくわかる。そのリアクションの顔が最高なんです!

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そろそろ秋だけど、夏定番の怖いもの見てないな〜って方には是非ともオススメ!!!まだまだ夏は終わりませんよ!まだ間に合う!

 

低いところから失礼しました。

新作映画『ゴーストバスターズ』(2016) 感想文 〜ホルツマンは宝塚 トップスター〜

低いところから失礼します。ジャガモンド斉藤正伸です。

 

『ゴーストバスターズ』(2016)

解説とあらすじ

幽霊退治に挑む科学者たちの活躍を描き、1980年代に一世を風靡した「ゴーストバスターズ」を、女性をメインキャラクターに新たに復活させたアクションコメディ。アメリカ・ニューヨーク。コロンビア大学の素粒子物理学者のエリン・ギルバートは、心霊現象を科学的に証明する研究を重ねていたが、研究費を打ち切られ、大学をクビになってしまう。エリンは自らの知識と技術力を生かすため、幽霊退治の専門会社「ゴーストバスターズ」を立ち上げるが……。「ゴーストバスターズ」となる4人のメインキャラクターをクリステン・ウィグ、メリッサ・マッカーシー、ケイト・マッキノン、レスリー・ジョーンズが演じ、「アベンジャーズ」「マイティ・ソー」のクリス・ヘムズワースが共演。84年製作の「ゴーストバスターズ」を手がけたアイバン・ライトマン監督がプロデューサーとして参加し、「ブライズメイズ 史上最悪のウェディングプラン」のポール・フェイグがメガホンをとった。

 

はじめに

さて、今日もいきましょう。

まずはリメイク前。もともとのゴーストバスターズについて書いている記事があるので、そちらのリンクを掲載!

 

新作映画に備えよ! 中身は無いけど「お化け」にキュン♡ 『ゴーストバスターズ』(1984)感想分

 

改めて読み直すと…

なんかdisってますね。ごめんなさい。でも、間違ってはないと思います。

1984年『ゴーストバスターズ』について簡潔に説明すると。

 

①映画の中身ないけど、ゆる楽しい

②音楽、ロゴのアイコン化に大成功している。

③「幽霊」というより「お化け」として可愛い

④シガニー・ウィーバーが急にエロい

 

そんな映画なんですね。

 

そして、今回メインのキャストを全員女性にするというリニューアルをして、奴らが帰ってきた!!

 

 

映画としての理屈や良さを求めない!そういうんじゃないもん!

 

上記に添付した記事の最後に、筆者はこんなことを書いていました。

「今回は…中身がちゃんとある……はずだ!!だって2016年だもの!!」

そう!今回の2016年版『ゴーストバスターズ』では何かを持って帰れると思いつつもワクワクしながら、本作を鑑賞しましたが、段々と…「あれ…。ん…?おかしい…?」と変な気分になってきました。

なぜなら、84年版と何も変わっていないから!それはVFXだとかそういう表面的なことでなく、物語の根本が全く変わっていないのです!全く同じ展開!

研究者として大学を追われる→ゴーストバスターズを立ち上げる→世間からちょっと非難される→でっかいゴーストが出てきて、それを退治!→みんなから信頼される。

ずっと同じだ!同じ!!!と…なんか変わらなすぎて、逆に何が違うのか?という「間違い探し」をする境地にまで至ります!

もちろん市長の対応とか最初に選ぶ基地の場所とか…細かいところにアレンジはあります。けど、発生する事柄は同じで、その物事に対しての周りのリアクションが少し変わってるだけで、物語の展開自体には何の変化もないんです。

 

女性を主人公にしたんだから、そういった側面での社会的ハンデや女の子ならではの悩みや葛藤を入れれば、ラストの気持ち良さもあがるじゃん!ラストにデカイお化けが出てくるっていう見た目が全く84年版から変わらずにフレッシュさが皆無じゃん!あえての裏切り展開を入れれるでしょ!てか、微妙な下ネタが多くて…ちょっとスベり気味!ヘムちゃんもバカすぎて、思ってたほど笑えなかったじゃん!!!

 

……だけど、筆者は気付きました。細かいことをうだうだぬかすなと。そういうこっちゃないんだと。そういうモノを求めてたんじゃないんだと。予告編を見て、ワクワクしてたのは秘書ヘムちゃんのコミカルなお芝居や可愛いお化けじゃなかった……2016年版『ゴーストバスターズ』に求めていたのは…

 

武器の格好良さだったのだ!!!

 

進化したガジェット! 〜ホルツマンは宝塚トップスター〜

本作がオリジナル版よりも格段に進化したのが武器!そして、その武器の仕掛け!つまりガジェットなんです!!!

ゴーストバスターズ

まぁ、原子力マークの付いたモノを素手で簡単に触る無神経さはほっといて…とにかくこの武器がかっちょええのなんのって…

以前は、背負ってるビームと幽霊を閉じ込める金属カゴくらいしかなかったが、今回はパンチマシーンや幽霊シュレッダー、電子ムチ…しかも、その武器の飛び出し方が最高にクーーール!!!出すたびに「フゥーーーーー!」って最高の気持ちになるんです。

みてよ!この本編映像!

 

 

 

中学の時、これ見てたら絶対マネしてるっしょ!?ダンボールで作るっってたっしょ???ね!!!!????

 

ていうかね、もうこの映像見たらもうメロメロだと思うんですけど…

 

ホルツマン最高じゃね???

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今回のかっちょっええメカは全部ホルツマンが作ってんだよ!??

天才だし、こんなにクレイジーで超クール!

もうさ…抱いてくれ!ホルツマン!

 

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こういうキャラクターの魅力って「男性には出せない男性らしさ」だと思うんです。ホルツマンは女性だけど、魅力は女性として可愛いだとか綺麗だとかそういうわかりやすい女性らしさからくるものじゃなくて(さっき抱いてくれとは言ったんだけども)男には出せない魅力を放ってるんすよ。

宝塚の男役の魅力に近いものがあると思います。筆者が大好きなのが元月組トップスター瀬奈じゅん様

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もう引退されていて、TVドラマにたまに出るんです。もちろん女役で。女役を演じる瀬奈じゅん様を見てどう思うか?これ今の瀬奈じゅん様には大変に失礼な言い方なんですが…

違和感しかないんです!女装してるように見えちゃうんです!

もう女として見れないんです!男役を演じる瀬奈じゅん様を見て、カッコイイ…抱いて♡って思ってしまう。

じゅん様は…というより宝塚の男役の方はみんなそうなんですけど、「男には出せに男の格好良さ」を持っている。普通の男が言ったらクサイ、やらしい思わせてしまう台詞も彼女たちが言えば、カッコよく見えるんです。すんごいんですよ、その力って。宝塚が絶えない根本的な理由ってそういうカラクリだと思います。

ホルツマンもそれなんです。

カッコイイから憧れるんですけど、絶対になれない存在。もう唯一無二なんです!!

もうこれは、ホルツマンの映画なんです!

 

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なんかアメリカでも日本でもちょっとコケ気味なんです…残念ながら……けどねけどね!このメンツで…(ホルツマンのスピンオフでもいいから)続編観たい!!!!絶対やってほしい!!!

だから、みんな映画館に足を運んでくれーーーー!

 

低いところから失礼しました!