超新作映画『怒り』 ネタバレ無しの感想文 「今年度1位の大傑作 〜なんでこんなに泣かせるんだよ!(怒)〜」

低いとことから失礼します。

ジャガモンド斉藤正伸です。

 

お笑い芸人 ジャガモンドとして所属している事務所のご厚意で、9月17日公開の李相日監督『怒り』の試写会にお邪魔してきました!

東宝の本社に初めて入ったので、テンションあがってしまい記念にパシャり。

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100名ほど入る試写室のど真ん中1番前を陣取って鑑賞して参りましたが……

 

 

 

結論から言います。

 

 

 

涙腺決壊いたしました!

 

もう心がガッと鷲掴みされて、揺らされました!もう心がぐわんぐわん!

ど真ん中1番前で観ているということをすっかり忘れて、軽く嗚咽してました。呼吸困難に陥りました。

こうして書いている今も余韻が凄まじいい。坂本龍一先生のあの曲と渡辺謙さんの顔を観るだけで、涙がでそうになります。これマジだからね!さっき、チラシを見たら目がぼやけたんだから!!

 

紛れもなく2016年度公開映画で僕の中ではぶっちぎりの1位です!

 

「泣ける映画だからっていい映画とは限らない」と以前に偉そうに書いていた筆者ですから、何が良かったのかを書きなぐっていきたいんですけど……これ本当にネタバレしないでまず観ていただきたいわけなんですよ!!

だから、今日は「ネタバレ無し」版を書きなぐり、9/17の公開初日を終えてから「ネタバレ有り」版を書きます!

なので、安心してください。今日はネタバレ無しでお送りします。観ると決めている方もそうでない方にも是非読んでいただきたいです。

 

それではいってみよう!

 

 

『怒り』

解説とあらすじ

吉田修一の原作を映画化した「悪人」で国内外で高い評価を得た李相日監督が、再び吉田原作の小説を映画化した群像ミステリードラマ。名実ともに日本を代表する名優・渡辺謙を主演に、森山未來、松山ケンイチ、広瀬すず、綾野剛、宮崎あおい、妻夫木聡と日本映画界トップクラスの俳優たちが共演。犯人未逮捕の殺人事件から1年後、千葉、東京、沖縄という3つの場所に、それぞれ前歴不詳の男が現れたことから巻き起こるドラマを描いた。東京・八王子で起こった残忍な殺人事件。犯人は現場に「怒」という血文字を残し、顔を整形してどこかへ逃亡した。それから1年後、千葉の漁港で暮らす洋平と娘の愛子の前に田代という青年が現れ、東京で大手企業に勤める優馬は街で直人という青年と知り合い、親の事情で沖縄に転校してきた女子高生・泉は、無人島で田中という男と遭遇するが……。

 

①話は難しくない!ミステリーなのだから!

タイトル「怒り」だし、なんだか難解なんじゃないか…とか。重いんじゃないか…とか。そういう不安にかられる人もいると思います。

 

そんなことございません!シンプルに言えば……

 

さて!3人の中で誰が犯人でしょ〜!?

 

っていう話です。

基本はミステリー。

結末が出ないとか、意味深な終わり方するとかはないです。しっかり犯人がいて、すっきり解決します。そういう娯楽性もしっかりと織り交ぜられているし、真犯人はマジでギリギリまでわからずで物語の推進力になっています。筆者も感動で涙腺崩壊している中で、ミステリーとしての進度も気になってドキドキハラハラするから、もう心がぐちゃぐちゃでした。

「重そう」と思う方もいると思います。はい!軽くはないです!

ただ…これが不思議なもんで、これも役者の力量なのでしょうか。演出の妙なのでしょうか。東京・千葉・沖縄のそれぞれの人物に感情移入ガッチリしちゃうので、重く感じない。感じないというより必死に生きる主人公たちを見守りたくなる。登場人物全員が愛おしく見えるんです!だから、暗い気持ちにならない。

 

でもね、でもね…上記のあらすじにもこんなんが書いてあります。

「犯人未逮捕の殺人事件から1年後、千葉、東京、沖縄という3つの場所に、それぞれ前歴不詳の男が現れたことから巻き起こるドラマを描いた。」

わ。なんか話がややこしそう。って思いません???行ったり来たりしそうって。

これもそんなことないんですよね〜…

 

②3つの話をつなげる演出の妙

これ群像劇なんです。

群像劇っていうと、最初バラバラだった話が1つに収束していくみたいなイメージがあると思うんですが、それはしません。3つの場所に住む人々はすれ違うことさえしない。バラバラでそれぞれの場所で話が終わる。「怒り」というテーマだけが根底で共通しているんです。

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こういう設定でよく李監督はまとめたな…と感動してしまうんですが。

話の整理の仕方が爆裂に上手いし、観てて気持ちいい。

こういうのって話が行き交いするから「あれ?今どこの話?」とか混乱しそうじゃないですか。全くしない。見やすい。話のつなげ方をものすごく計算高くやってるんです!

たとえば千葉編の終わりでウォークマンで音楽を再生すると、後半になってそれが東京編のクラブミュージックにつながる。クラブのシーンにバトンを渡すわけです。その東京編で「旅行でもしたいな〜」という台詞があると、次に入るカットは沖縄のきれ〜いな海の上を走るボートにつながる。

食の話になれば、別編でも食が話の主軸になっている。千葉編。宮崎あおいちゃんが松山ケンイチくんに作る「お弁当」→沖縄編。広瀬ずずちゃんが森山未來くんに飯を持ってくる→東京編。綾野剛がお弁当を買って、妻夫木くんを待つ。

みたいな感じで、一貫性を持ってるんです。幕ごとに。

だから、スッとすべてが飲み込める!

クライマックスの3編のクロスは圧巻で、全く別のところで進んでいる話には見えないんです!

繋がって見える!これってとんでもない演出力ですよね。普通は話を無理矢理にでも合流させたりするのにしない。もしくは、はっきりとオムニバズ形式にしちゃえば楽だったと思うんです。東京編・千葉編・沖縄編としっかり分ける。で、ラストの真相解明のところだけ畳み掛ける。でもしないんです。それを。安易な方法をとらない。李監督のやり方が功を奏して、ミステリーとしてのドキドキ感も増しますし、全く飽きない。要は3つのところで、「出会い、仲良くなる、疑う」という全く同じことが起きるわけです。一歩整理の仕方を間違えたら大事故です。同じような話×3ってことですから。これは辛い。でもそうは見えない。これをやってのけたのって…すごいですよ、本当に!こりゃ志が高すぎて、バケモンですわ。

 

③キャスティングがエグすぎる  〜全員よかったに決まってるだろ!(怒)〜

映画観るとき「出てる役者が豪華だから観る」的な判断は好きじゃないんですが、さすがにこのキャスティングは豪華すぎて引きます。

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試写会後に「どの役者が一番よかった?」とか聞かれるんですけど、そんなん全員よかったに決まってるだろ!!!(怒)

いや、もう冒頭からぼく泣きそうになったんすよ!渡辺謙様が家出した娘役の宮崎あおいをとある事情で迎えに行って、東京から千葉まで二人で電車で帰ってくるんですけど。その車内の会話で…

 

渡辺謙  「帰ったら寿司でもとろうか?」

宮崎あおい「お父ちゃんの握ったおにぎりでいい」

渡辺謙  「…そんなんでいいのか」

 

ぼくまずここで泣きましたからね!!???

 

なんだよ!!この役者の破壊力は!!(怒)これってなんともないシーンですよね??ただ、このやりとりだけでどんな親子関係なのか。どういう人間なのかがしっかり伝わってくるんですよ!「嗚呼、きっとこの素朴なお父ちゃんはこの娘が大事で大事で仕方ない。けど、どうしたらいいかまだ答えが見つかっていない」……その切なさともどかしさを感じることができるんです。心の琴線にがんがん触れてくるんです!

お芝居のことはうまく言えませんが、いわゆる「上手い役者さん」「力のある役者さん」って、1つの台詞でお客さんに自然とその人物のバックボーンを伝えることができてる人だと思います。1つ台詞を吐いただけで、こっちの想像力が掻き立てられる。劇中では説明されないパートを観客に理解させてくれる。それができないと物語は説明だらけになってしまう。

そういう意味で言えば、今回の役者陣は全員がそれをしっかりやってくれてるから1シーン1シーンが濃い!濃いんだよ!!!(怒)

もちろん李監督は準備段階からガッチリと世界を作り込む方なので、演技指導の妙でもあると思うんですが、その指導を受けれる役者さん側の力量がないと成立しません。

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④まとめ 〜信じる。疑う。伝える。人間はこれを止められない〜

「怒りっていうタイトルだけ原作と変えれないの?」みたいな意見をネット上で見たんですが、筆者は大反対。『怒り』がベストです。この物語に登場する人間の憤り、悔しさ、悲しみ、もどかしさ…そういった気持ちをぜんぶひっくるめると「怒り」だと思うんです。一番しっくりくるんです。劇中の台詞を借りるとするなら「本気は伝わらない」んです。何をやっても。見えないですから、本気って。

本気で信じてみる。本気で疑ってみる。

どんなに本気でも相手が汲み取ろうとしない限り伝わらない。

この「伝わらない」ってことへの「怒り」をこの映画は描いてるだと筆者は思うんです。もっと平たく言えば、人と人とのコミュニケーションの映画。なんかグローバルな映画だと思われちゃうかもしれませんが…。また、人が人に何かを「伝える」という行為において重要なのが「信頼」です。信頼した上で大切なことを伝えるわけです。この映画は綺麗事じゃなく、「信頼」というものの危うさもしっかり描いてくれている。それは「信じることで失う何か」と「疑うことで失う何か」どっちもあるということなんです。

だけど…人間には信じるか疑うかの二択しかない。そして、その上で人は人に常に何かを伝え続けていかなければならない。人間はそれを止めれないんです。

これって、めっちゃ普遍的なテーマなんです!!誰もが重ね合わせることのできる事なんです。

筆者はそれで涙が止まらなかった。

「あの時、もっと信じていれば…」「あの時、なんで疑ってしまったんだろう」って重ね合わせちゃうんです。絶対だれもが迎える「信頼面でのトラウマ」ってあると思うんです。小さいものでも。

生きてる上で避けては通れないんですよね、きっと。「信じることで失う何か」と「疑うことで失う何か」その連続なんです。

 

だけどね!だけど…!!

 

生きていかなきゃいけない!!!

だから……!だから、あの人のカットで終わるんだと思うんです!あの人のカットで!

クソ辛いけど、それでも生きていくんだって!

「あの人」が息を吸い込んだところで映画が終わるのもそういう意味があるんだと思います。これからなんだって……!そういうメッセージが伝わってきますよ!

 

そういうことなんだよ!!!!(怒)

 

書きなぐってたら、目頭熱くなってきちゃいました!

公開日の9/17まで、まだまだある……。どうにかみんなで公開が前倒しにしましょう!待ちきれないよ!もっかい観たいよ!

 

 

低いところから失礼しました。

 

 

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