読んだら必ず観たくなる

低いところから失礼します。ジャガモンド斉藤正伸です。

夏だからホラー映画について片っ端から書きなぐる!の第2弾でございます。

今回、扱うのは今レンタルビデオ屋さんで取り扱われている新作!

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『残穢(ざんえ)住んではいけない部屋』

あらすじと解説

小野不由美による第26回山本周五郎賞受賞の同名ホラー小説を「予告犯」「白ゆき姫殺人事件」の中村義洋監督により映画化。小説家の「私」に、読者である女子大生の久保さんから届いた一通の手紙。「住んでいる部屋で奇妙な音がする」とい書かれたその手紙に、好奇心から「私」と久保さんが調査を開始する。そこで明らかとなったのは、その部屋の過去の住人たちが転居先で自殺や無理心中、殺人などさまざまな事件を引き起こしたという事実だった。彼らは、なぜその部屋ではなく、さまざまな別の場所で不幸に遭ったのか。「私」たちは、ある真相にたどり着き、さらなる事件に巻き込まれることとなる。主人公の「私」役に竹内結子、久保さん役に橋本愛と人気女優が共演し、佐々木蔵之介、坂口健太郎、滝藤賢一らが脇を固める。

 

 筆者自身は劇場公開時に足を運び、「こえ〜!そして懐かしい〜!」という思いでもう一度、足を運んだ。

 本作の監督である中村義洋さん。中村さんは1999年から未だに続く人気ホラーオリジナルビデオ『ほんとにあった!呪いのビデオ 〜一般投稿により寄せられた戦慄の映像集〜』の初代 構成・演出。そして、なんと言ってもナレーションを務めているのだ!この『呪いのビデオ』は筆者が1998年『リング』に激烈にビビってた時と同時に流行っていたシリーズで、目を塞ぎながら親戚や友達と一緒に家で鑑賞していた青春のトラウマ映像作品なのだ!知らねーよ!って思う人もいるだろうけど、下記にリンクさせたYouTubeの映像を観てもらえれば「あー。こんなタッチ観たことある」ってなるはず…!下の動画は、今回の『残穢 〜住んではいけない部屋〜』の別バージョン予告なのだが、なんとファンにはたまらない『呪いのビデオ』タッチで作成された予告編になっている!

 

このスタッフルームにカメラが入ってインタビューする感じ、問題の映像を「Replay」する構成…そして、何より独特のナレーション…

 

「それでは問題の映像をご覧いただこう」

「おわかりいただけただろうか」

「…とでも、言うのだろか」

 

この名ナレーションがたまらない。

 

『呪いのビデオ』はノンフィクションタッチだ。他のホラー作品とは違って「作りモノではない」という提で作られてる。その前提が怖い。実在するものを扱っているから。構成においても最初から「問題の映像」を見せないのもうまい。視聴者の興味を煽りまくって、良い意味で余計なインタビューなどを重ねて重ねて…そして、最後に映像を見せる。見てるこっちとしては、通常よりも緊張して集中しながら、その映像を観ることになる。

 この演出が当時、画期的でとてつもなく怖かった。一般の投稿者から送られてくる的なTV番組はほとんどこの手法を使っている。もはや、ホラー作品のマスターピースだ。

 そんな『呪いのビデオ』の構成・演出を担当した中村義洋(監督)and 鈴木謙一(脚本)がタッグを組んでホラー映画を撮ったとなったら観るっきゃない。そして、観てみたらこれが大当たりで最高に面白くて怖かった。

 最近のJホラーは「わっ!べろべろばー!」と驚かせるものが多い。『リング』や『呪怨』などの公開当時の盛り上がりは今では皆無。どんどんネタ切れになっていき、とにかく幽霊を出しまくるという飽和状態に陥っている。が、本作はそういった路線からの逸脱に成功している。

 

ホラーとミステリーの掛け合わせ

 本作はその『呪いのビデオ』の手法を映画にトレースすることに成功している。

 これは『リング』にもあった要素だが、本作はホラーというよりミステリーに近い。怪奇現象が起きるアパートを調べていくと、建物では無くその土地に原因があることがわかり、より深く調べていくとずーっつ前に住んだ人たちの怪事件まで辿りつく。張られていた伏線が少しずつつながっていく。点と点がつながっていくごとにミステリーとしての鳥肌とホラーとしての怖い鳥肌が同時に襲ってくる仕組みになっている。普通、ホラー映画で悪霊が出て来れば霊媒師を読んで退治したりとか呪いを解く方法を探していくのがベタだ。要はいかに「避けるか」ということが話の主軸になっていく。だが、本作は竹内結子演じる主人公「私」はホラー作家で、その「私」へ手紙を投稿する橋下愛演じる久保さんは大学のホラー研究会のメンバーだ。(この設定は後出しなので違和感があるが…)つまり、その問題から避けることをしない。追求して深入りしていく展開になっている。観客も怖いんだけど真相を知りたいからどんどんのめり込んでいく。観客は私と久保さんと同じように推理しながら、追体験として作品を楽しめることができる。

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アイドルは叫ばない

 日本のホラー映画の常になってきているのが「女優やアイドルが主人公で叫ぶ」というお決まりのコンセプト。もちろんこの手の映画に美少女はかかせない!おっさんが悪霊に追われてギャーギャー行ってるよりも画になるし、男性にとっては美少女の方が…なんというか…燃える。本作にも竹内結子と橋下愛が登場しているのだが、全く叫んだり逃げたりしない!上記のような設定も相まってとんでもなく淡白だ。言っちゃえば地味。肝が据わってる。そう。これでいいんだ!

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フィルムの不鮮明さが生み出す「恐怖」

 本作で筆者が個人的に一番恐怖を感じるのは「穢れ」の原因を辿って行き着く昭和より以前の話。その頃の回想シーンや当時の写真やイメージが出てくるのだが、この「古さ」が異常に怖い。最近1998年の『リング』を観て思ったのだが、当時のカメラのフィルム感が映画の恐怖を倍増させている。ザラザラした画面がやけに怖い。今はすべてデジタルになって何もかも鮮明になりすぎて、恐怖が半減している。映像にしろ写真にしろフィルムで不鮮明だからこそ不可解なものが映るリアリティが生まれる。本作はもちろんデジタルで撮影し、古い映像もそういったエフェクトで古く見せてるんだろうけど、そのエフェクトが上手い。映像もそうだが特に写真。昔に資料をめくって貼ってある写真をアップするカットはかなり不気味である。

 

いろいろ書きなぐったが、本作『残穢(ざんえ)住んではいけない部屋』は近年のJホラーとは一線を画す大傑作だ!

ちょっと地味で物足りない印象もあるが、後を引く怖さというJホラーらしさがしっかしある。

ぜひご覧あれ!

 

低いところから失礼しました。

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