読んだら必ず観たくなる

低いところから失礼します。
最近はコラムを書くために映画を観ることが増え、てんやわんやしているジャガモンド斉藤正伸です。
 
 
劇場版コナン君、せか猫など「特殊な一定層の観客」を狙った映画について最近、記してきました。
 
過去の記事こちら。
 
 
そんな映画を観るたびに、周りの反応とのギャップに驚いてきているが、その流れでこんな映画を観に行ってみた!

 

『オオカミ少女と黒王子』

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あらすじと解説
八田鮎子の同名人気コミックを二階堂ふみ、山崎賢人の主演で実写映画化。恋愛経験ゼロにもかかわらず、見栄っ張りで友達と架空の彼氏との恋愛話を語る「オオカミ少女」の篠原エリカ。街で見かけたイケメンの盗撮写真を自分の彼氏だと偽り、友達をやりすごそうとするが、写真の男は女子から絶大な人気を集めている同級生・佐田恭也だった。エリカは事情を打ち明け、恭也に彼氏のフリをすることを承諾してもらうが、その代わりにエリカが飲んだ条件は恭也の「犬」となること。人当たりがよく人気者の恭也の本性は、評判とは真逆の、腹黒で超がつくドSの「黒王子」だったのだ。かくして、偽装カップルとなったエリカと恭也だったが……。監督は「ストロボ・エッジ」「娚の一生」など少女コミックの映画化を数多く手がけている廣木隆一。
 

 
 

はじめに

映画館に貼られているポスターを観た筆者は「二階堂ふみちゃんがいよいよこの手の作品に出しはじめた」と思ったのが、第一印象である。
 
宣伝を見る限り、明らかに「特殊な一定層の観客」を狙った作品であり、本格的な映画とはまた違うトーンの作品だ。
……本格的な映画?いやいや!失礼な!本作も立派な「映画」だ!偏見を持ってはいけない!
 
「なんで二階堂ふみがこういう映画にでるの?」と周りは怪訝な顔をしていたが、これは二階堂ふみ様の貫禄ゆえの「余裕」である。
 
今までヘビーな映画をこなしてきたけど「ここらで、こういうトーンの映画も軽めにいっちょいったりますか」と腰をあげるふみ様の様子が浮かぶ。
 
ちなみに、筆者は2011年の入江悠監督『劇場版 神聖かまってちゃん ロックンロールは鳴り止まない!』でふみちゃんの叫びながら自転車で疾走するシーンと男を前蹴りする強烈な姿が目に焼き付いて離れない。「ふみちゃん。応援しよう」と一方的に思っていたけど、今ではメジャー女優にのし上がった。
 
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筆者はそんなふみちゃんの軽くいっちょやったりますか的映画をしっかり劇場で観ようと思い、映画館に駆けつけた。
 
 
毎度のことだが、この作品において筆者は完全部外者である。作り手が狙っている層に自分は含まれていない。だから、本作の原作マンガや映画がお好きな皆さん。また、山崎賢人にほの字のあなた。「恋愛にロマンを感じれない輩がまたなんか言ってるよ」くらいな気持ちで軽く受け止めて頂きたい!
 
まぁ、とは言え…本作も映画館でかけられているということは立派な映画!映画には誰もが観て、意見を述べて良い平等な権利がある。
筆者は本作を真正面から受け止めて、しっかりと書き殴らせてい頂く。

 

一 ふみちゃん麦ちゃんの鬼のような地味さ

映画がスタートして、初の二階堂ふみ登場シーンに最初筆者は気付かなかった。
 
というのもふみちゃんが所属する仲良しグループの他4人があか抜けすぎててチャラい。
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廊下を歩くその5人の集団の最後尾にいる二階堂ふみ。
 

完全に浮いている。

イイ。浮いていてイイ。

 
ふみちゃんは、この仲間からはぶかれる事を異常に嫌がる。ゆえに偽装彼氏を黒王子こと山崎賢人にお願いするというこの物語の発端だ。
 
その集団から離れるふみちゃん。彼氏から電話が来た!とウソをつくのだが、その相手は別の学校に通う親友 門脇麦。
 
「あれ!?麦ちゃんも出てるのか!」
 

そう。本作は麦ちゃんにとっての「ここらでいっちょ軽めにやっときますか」映画でもあったのだ!

 
この麦ちゃんも鬼地味!
 
麦ちゃんはふみちゃんに恋愛のアドバイスをする『スターウォーズ』で言えばヨーダ的なポジション。ふみちゃんを導く経験豊富な師匠なのだ。麦ちゃんの大人びていて愛については悟ってるような、まるでアラサー女子のような役柄がハマりまくり。
 
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イイ!この2人が親友……イイ!

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※師匠ヨーダは弟子ルークにしがみついてるが、この写真は弟子 二階堂ふみが師匠 門脇麦にしがみついている。というややこしい写真。

 
 
後のカットでふみちゃん麦ちゃんペアが渋谷で遊んでいる。ここで、山崎賢人に出会うという大事なシーンなのだが、この2人が画面に揃うと地味さが2倍になる。

 

うん!いいよ!いいよ!芋っぽいよ!←とても褒めてる

 
ふみちゃん所属のあか抜け軍団との浮き具合を観た直後ということも相まって、この2人にはこの2人にしか理解できない世界があるという雰囲気がビンビン伝わって来る。
 
「本当はこの子といたいんだ!」というふみちゃんの気持ち。しかし、それは出来ない。麦ちゃんは別の学校だから。
自分の学校の中で居場所を見つけなければならない。
 
一緒にいたけど、出来ない。この歯がゆさがふみちゃんの行動にもつながっていくし、この絶対的不可能をより際立たせるために両者の学校は別けられたんだろう。
原作では同じ学校らしいのだが、それではふみちゃんの孤立が中途半端になり、追い込まれ感が出ないと判断した監督のアレンジは懸命な選択だ。
 

この2人の映画が観たい!

渋谷のあと、きっとこのくだらないヒエラルキーの存在する学校社会を抜け出して、逃避行の旅とかしてくれるのか…いや。それとも学校で怪事件が起きてこの二人が捜査をするのか……うん!そういう続きが観たい!こういう欲求にかられてしまうが、そうはいかない。

ちなみに、ふみちゃんが映画が進むに連れてどんどん可愛く見えてくのはなんでだろう…やっぱり女性は恋すると美しくなってくるのかなぁとらしくないことを考えてみたりもする筆者。

 

二  無駄なものは完全に排除した世界観

本編を通して、気になった部分があったが、そこが本作の大きな特徴を表している。
 
①完全に高校生だけ。大人のいない世界
本作はどこかの私立高校を中心としているのだが、教員が1人もいない!というか、出てこない。もしかして、画面の端に写り込んでいた…?くらいのレベル。会話の中でさえ出てこない。クラスでの話し合いも生徒同士だけで進めている。
教師だけではない。親も出てこない。
ふみちゃんは麦ちゃんの家に遊びにいきっぱなしで、そこに親は出てこず、麦ちゃんの幼い弟たちだけだ。山崎賢人の親も出張とかなんたらで、だーれもいない。
近所の大人もいないし、通りすがりにさえ大人はいないんじゃないかくらいのレベルだ。
本作は大人を徹底的に排除しているのだ。
 
②バスケをやるシーンがあるけど、やってない?
黒王子 山崎賢人のライバル?となる友人 神谷君がバスケをするシーンが出てくる。が……汗は一滴も流れてない!シャツの汚れも全く無し!シミひとつない眩しくらい真っさらな白いシャツを着ている。
この高校の生徒は極度の潔癖性で、しかも新陳代謝が悪いのだろうか…??
 
③主要キャラ以外はロボットでしかない
「呼べば駆けつける女が300人いる」と言ってる神谷君が後半で、女の子を呼んでカラオケ大会をするのだが…そのカラオケは全く盛り上がってない!なんていうか…その子たちの動きが硬い。え?お前ら神谷君好きなんじゃないの!?と疑うほど。映画史上で一番盛り上がってないカラオケシーンはこのシーンだ。
主要キャラ以外の人物たちは記号的で、機械的な動きしかしない。そこにいるだけ。
「恭弥くんなら風邪でお休みだよ」と言う棒読み女子高生のロボット感も半端ない!
 
 
この①〜③で、つまり何が言いたいかというと…

本作は「無駄」を完全に削除したコントロールされた世界

ということだ!…まぁ、無駄ではないのだけれど、あえて「無駄」と使います。

 

カッコイイ山崎賢人とかわいい二階堂ふみと「その他」がそこにいて、本筋の恋愛が進めばもう他は何もいらないのだ。

実写とはいえど、とことんコントロールされている世界。これはもはやアニメと同じ。
「余計なものはいらない!」という極一定の客層に向けたものなのだろう。
役者ではなく完全に作り手側の演出である。

この違和感…どうなんだ!?

 
 
この世界観を踏まえた上で非常に腹立っている「ある事」があるから、筆者はこんなに温度が高い。
 
いいよ!100歩譲って、そういう世界観だとしても。言うたら桐島〜だってそうなわけだし。大人が出たら出たで、物語の進行が遅くなる。わかる。物語の進行に関係ない無駄なものは一切省く!いいでしょう。その演出。

 

じゃあさ…途中で神戸のシーンはなに???

 
クライマックス手前で、主要人物たちは学校の研修で神戸に行くことになる。プレ修学旅行みたいな感じだ。
クラス内で班を作って、自由時間の回り方を計画する。いいじゃん、楽しそう。ふみちゃんと山崎賢人との関係もどう決着がつくのか見もの。でね、その旅行の冒頭に阪神淡路大震災の語り部さんが当時の地震を若い世代に語るシーンがある。
え?このあと、そっちの方向?と思いきや、ただの旅行の中の1つとして差し込まれてるの。バックでその語り部さんの話が流れてて、物語は進行しているくらいだったら、まだわかるよ?けど、しっかりお客さんに聞かせる演出をしてる。
そこが終わったら「はーい!自由行動でーす!」っていうカットに切り替わる。
 

え?

なに?今の。

 
完全にノイズなんですけど!
 
3.11以降、「震災」を踏まえて映画の作り方が変わってきている訳だし、日本人の映画作家としてどうなの?
物語の一部の記号としてそのカットを入れたの???意図がわからない!!!
なんのつながりがあるの?この映画と。テーマと関係してくるの?・・・してないだろ!!!!

キモいよ!そういうの!

 
 

三  愛を語るには若すぎる。

 
黒王子がライバルである神谷くんに対して「本当に守りたいと思える女性と今までに出会ったことあるのか?ないだろ?おれは見つけたぜ」的な決め台詞がある。
まぁ、漫画が原作なのでこういったセリフがあるのは当然かもしれないが…

高校生で愛を語るな!!

大学行って、女で失敗して、遊んで、性病を経てから愛を語れ!!
そんな若くて何を悟ったんだよ!
 
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四 中身は空っぽ黒王子問題

 
ていうか、ドSで黒王子とかいって、ずっと悪態ついてるけど……普通に性格悪いだけじゃない??あと、その性格…疲れない??生きずらそう。
イケメンだったら何やっても良いってことなの?
 
「3回、回ってお手してワンだ」って初対面の女性に向かって言うかね…!?
これまた初対面の玉城ティナの口をいきなりガッと掴んで「この口がきけないくらい縛ってやろうか!」みたいな……
おまえさ、悪役プロレスラーじゃねーかよ、完全に。
 
でも、それでもこの黒王子が成立してるのは、上記の二で書いた完全に無駄なものを排除してるから。大人がいないってのもそうだけど、黒王子はいつもどの友達と遊んでるのかも見えてこない。たぶん、性格上ボッチなんでしょう。唯一いるのは、彼のことを好きでいてくれてる「連れ」のお友達。
要は、黒王子にとって不利な存在は全く出てこないわけ!
姉貴(菜々緒)が説教したりするんだけど、結局、愛ゆえにみたいなことになってる。つまり、黒王子は現実世界じゃ生きていけないんです。「イケメンだからいいんだよ!」なんていう主張は無視するとね…

黒王子はただの社会不適合者だ!

いいよ、それでも。好きだよ!なんなら筆者だって社会に適してはないよ!黒王子になんか夢があるとかやってることがあるとかなら、いいよ。我が道を行けよ!どんなに嫌われても!でもさ。でもさ。本編中に語られてないだけかもだけどさ……

こいつなんもねーじゃん!顔だけじゃん!

ふみちゃんは何で好きになったの???たぶん理由の1つが「実は優しい」ってことなんだけど…なんだそれ!!!誰だってあれくらいは優しいわ。そんな薄っぺらいことで落ちるなよ!恋に!
どうせ恋を描くならもっと中身のある恋愛ロマンを描けよ!もしくは、黒王子と付き合って不幸になるまでしっかり描け!

 

黒王子はこのまま行くと路頭に迷うよ!

 
たぶん、途中で出てきたふみちゃんのこと好きな彼の方が大成するよ!きっと!
 
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五 まとめ

でね。いいんですよ。今まで書いてきた文句は。
本作を観たい一定の客層には関係ないんですよ。
 
けどさ、とどめで言わせていただくと、あまりにも表面的じゃない?これに憧れるって。
男の内面や本質じゃなくて、ルックスやしぐさばっかり重視される映画が繰り返し製作されて、もてはやされる。それが流行して…の繰り返し。いやいや…

もっといい男が世の中にはたくさんいるぞ!!

そこにときめいてばっかじゃ、バカになるぞ!こんな映画ばっかりに出させられてる山崎賢人くんがかわいそう!
 
「まぁ、現実にはあり得ないな」と割り切ってくれてるならいいけれど、映画の中の黒王子と現実の男を比べて「黒王子の方がイイ!現実の男子には恋できない!!!」なんて……いないよね!?いない!そんな人は…!けど…本当にそう思ってる人がいるならば……

 

目を覚ませ!

 
 
低いところから失礼しました!
びゅーーーーん!(言い逃げします)

コメント

    • J.M.A
    • 2016年 6月 15日

    コラムいつも楽しみにしています‼︎
    今回も凄く観てみたいと思いました。
    ふみちゃんをお芋ちゃんに例えているのは、びっくりでしたが、でも実際ふみちゃんがちゃんとその役になれているという証明なのかなと思い観てみたいなその役‼︎✨とも思えました。
    麦ちゃんとヨーダを一緒にすることで、スターウォーズのプチ豆知識も学べるって本当に面白いですね‼︎笑笑
    大人がいない設定もびっくりですね‼︎笑笑
    何が何でも探してみたいです‼︎笑笑
    読んでいて、私も阪神淡路大震災の部分いらないのでは、ないかなって思いましたので、生でその場面見た時に確かに共感できそうです‼︎
    使われてる雑貨などに対して、「あっ‼︎100均のマグカップ」とかそうゆう物は、気づくのですが、大人がいないとか気づかなそうなのでこのコラムで知れてよかったです。
    太字要チェックで、主役に憧れを持ちやすいのでちゃんと目を覚まして観てみます‼︎笑笑

      • saitou
      • 2016年 6月 15日

      J.M.Aさん!
      毎度コメントありがとうございます!
      芋にもなれる二階堂ふみ様が最高ですよね。
      黒王子よりも黒の鎧を着たダースベーダーが出てくるスターウォーズシリーズを観て欲しい!!笑
      大人を探すのは、ウォーリーを探せより難しいと思いますよ!

      小道具に食いつくの素晴らしいですね。映画小道具コラム書いてください!

      万が一、観たら…また感想お聞かせください。笑

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