映画コラム

低いところから失礼します。

ジャガモンド斉藤です。

 

『名探偵コナン 純黒の悪夢』

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解説とあらすじ

人気アニメ「名探偵コナン」の劇場版20作目。原作でもいまだ明かされることのない「黒の組織」の内部に迫る物語が描かれる。ある夜、スパイが日本警察に侵入し、安室透率いる公安が駆け付け、車で逃走を図ったスパイと安室たちによるデッドヒートが繰り広げられる。一般車両を巻き込んだ大惨事になるかと思われたその瞬間、FBI赤井秀一のライフル弾によってスパイの車は撃ち抜かれ、道路の下へと転落していった。翌日、水族館へ遊びにきていたコナンは、ケガをして独りたたずむ女性を発見する。自分の名前もわからないほど記憶をなくしていた彼女は、「オッドアイ」と呼ばれる、左右の瞳の虹彩色が異なる目の持ち主だった。彼女の記憶が戻る手助けをすることにしたコナンたち。しかし、その一部始終を「黒の組織」のベルモットが監視していた。

 

「じゅんこくのないとめあ」って読みます。洒落やがって!

でも、タイトルが毎回イイ。

他の映画タイトルも『時計仕掛けの摩天楼』『瞳の中の暗殺者』『漆黒の追跡者』……って!もー!毎回、格好つけやがって!でも、かっちょええよ〜!

 

この皆さんおなじみコナン君

まず、一歩引いてみて「推理モノ」というジャンルについて書き殴りたい。

※サスペンスとミステリーはまた別ジャンルなので、ここでは「推理モノ」と表記。

 

もちろん小説もそうですが、映像分野においても推理っていいもんですよね。

というのも、謎を解く主人公に観客が追体験できるというのは、とってもスリリングな体験。映像ってすべてが具体化されてしまうわけですが、その中でも観客の脳を刺激することって非常に重要なことです。観客にわかるようにすべてを説明して明快にしてしまうと、観客は主体性を失い、受け身になる。その途端、映画はつまんなくなるんです。

その点、推理モノは「主人公が謎を解く」つまり、主人公も0の状態から始まる。観客と同じスタートラインに立てる。観客は一緒になって考え、推理できる。これが推理モノの醍醐味の1つです。予想してた犯人とは違ったり、予想だにしないトリックが明かされると観客は唸る。「そーゆーことだったのか!」と膝を打つ。

これが、アクション映画になると「主人公みたいなバカみたいな筋肉は俺にはねぇよ!」

恋愛映画だと「おれこんなイケメンじゃねーよ!いいな!イケメンって!この世からいなくなれ!」(後半、筆者のひがみです)というふうに主人公との差が出てしまう。

推理モノの主人公は天才的な頭脳を持っているにしろ、我々にも脳みそはあるから推理ができる。時には、主人公より先に真相がわかって、心の中でドヤ顔することだってあります。まぁ、それが裏切られた方が楽しいんだけど……

そんな推理モノというジャンルと「見た目は子供。頭脳は大人」(高校生だって十分、子供じゃねーか!)っていうアニメならではの設定の組み合わせは素晴らしい!

頭脳は天才高校生探偵だけど、体は子供っていう「カセ」が通常のミステリーよりも物語を面白くし、子供から大人まで楽しめるエンタテイメントを『名探偵コナン』は確立してきました。

 

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そして、劇場版『名探偵コナン』シリーズ

劇場版は、通常のアニメシリーズよりも映画らしい展開や話のスケールの大きさが白眉になっています。

 

で、今回の『純黒の悪夢』

 

冒頭から「あれ?劇場間違えたかな?」と思うほどの大迫力のカーチェイスから物語はスタートします。

あらすじにある通り、この大規模アクションによって記憶喪失になるのがオッドアイの女性 キュラソー。

彼女をコナン君と少年探偵団で保護するところから話が進みます。

ただ・・・今回のコナン君。「黒の組織」をあつかっている事もあり、日本警察、FBI、CIA、黒の組織が絡み合いすぎて、推理モノというよりはポリティカル・アクションの領域に達してきます。こうなると…コナン君の活躍があんまりない(クライマックスで、そのしわ寄せがとんでもないことになるけど)・・・というか、黒の組織が出てきて、足を引っ張る点は「コナンと組織が直接対決することが出来ない」という点です。コナンと組織が絡んでしまうと全コナンシリーズのラスボスにたどり着いてしまうからです。黒の組織の「あのお方」に触れてしまうことになる。それができないから、コナンは真相に近づけず、謎と一定の距離を保って終わってしまうんです。黒の組織といえば、工藤新一に薬を飲ませた張本人ジンとウォッカですが、この二人に正体がバレれてしまえば、原作に影響を与えるレベルで大きく話が進んでしまうし…だから、黒の組織周辺の物事はコナンと関係ないところで展開してしまう。

つまり、劇場版に黒の組織が絡むと、目の前の事件は解決できても「解くべき真相」には全く近づけないで終わる。話が前に進んでないんです。これ。

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ただ、原作ファンはこの組織周辺のキャラとの絡みに燃えるはずだし、そこが本作の白眉でもあるから、完全に悪いわけではありませんが・・・一般の観客からすると「結局、コナンは今回の事件の黒幕を暴かない」というか「暴けない」という結末に、カタルシスを感じれない。

もちろん、ツボは押さえてます。

キュラソーって結局は黒の組織側の人間なんですが、記憶を失っていて、本人は自分が何者なのかわかっていない。けど、体は覚えてるのでダーツでハイスコア出したり、とんでもないアクロバティックな動きで元太くん(現役で太いだろ)を救い出し、恐るべき身体能力を見せ付けたり・・・と『ボーン・アイデンティティー』のマット・デイモンみたいでそこは楽しい。「記憶を失ってるけど、実はすごい人だった」的な設定って仕掛け次第で物語を面白くしますから!

毎度おなじみコナン君の完全飽和状態となっているアクロバティックなアクションも見もの!

 

ちょー簡単に説明しちゃうと、今回のコナン君・・・

爆発で崩壊する観覧車をサスペンダーとボールで止めます。

 

え?

 

開いた口がふさがりませんでした。

 

「一体、何もなんだ?おまえは!」

「江戸川コナン・・・探偵さ」

 

いや、もう探偵とかじゃねーだろ!

 

コナン君の胸に大きな字で「S」って書いてあるんじゃないかって目をこすりました。

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書いてなかったです。

 

 

 

ここまでやったら、もう次は地球を逆回転させて時を戻すとかそういう次元になってきちゃうよ!

 

映画として、楽しめるポイントはいっぱいあったんですが…

最初のカーチェイスをなしにしておいて、キュラソーが初登場の時点で記憶喪失だったら…観客はコナン君たちと同じ視点に立てて、もう少し推理を楽しめたのでは?とか思っちゃいました。上記で長々と書いた推理モノの良さが薄かったので・・・まぁでも、黒の組織が出ちゃうと平行線たどることになるから・・・

 

 

結論を言うと…!

 

おい!黒の組織!おまえらもう劇場版には出てくるな!

 

そうじゃないと、このコナン君の名台詞も「早く解けよ!」と台無しになってしまうから!

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黒の組織の真相は原作とアニメで追ってもらって、劇場版は関係なく進んでほしいですね〜

 

低いところから失礼しました!

 

コメント

    • かぼちゃ
    • 2016年 6月 17日

    コナン映画は、旬な有名人を重大な役で器用するせいで、ネタバレもいいところだけど、今回は、あえての配役で、天海祐希さんの声も合ってるように感じました。

    観覧車の上でのバトルは、目を瞑ると、シャアとアムロの殴り合いなのも、面白いですね笑

      • saitou
      • 2016年 6月 20日

      天海祐希さんは良かったですよね! 声優さんはその声を聞いたときに、その方の顔がうかばないことが大事だと思うんですが、天海さんはまさにそうでした!最初わからなかったです。
      目を瞑ると完全にそれでしたね。二人のやりとり聞いいてて笑っちゃいつつも、女性の観客にはわかるのか…?と不安になりました。笑

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