映画コラム

低いところから失礼します。

ジャガモンド斉藤です。

 

映画『クレヨンしんちゃん』というシリーズは国民的TVアニメを『劇場版』という肩書きでシリーズ化することによって、毎回、様々なテーマを描くことに成功している貴重な映画シリーズだ

『クレヨンしんちゃん』をテレビで毎回、視聴しているという人は少ない。だが、しんちゃんはどんな性格でどんな言動か。家族はみさえ、ひろし、ひまわり、シロがいて・・・友達にはネネちゃん、風間くんがいて・・・となんとな〜く設定を浮かべることはできる。

筆者は「国民的」アニメと謳える1つの基準はこういった国民の「馴染み」が重要だと考える。

その基準から言えばしんちゃん以外でも『ドラえもん』『サザエさん』『ちびまる子ちゃん』は国民的アニメと呼べる。タイトルを聞けば物語の設定や主人公の性格、環境、だいたいの話の流れはわかる。

国民的アニメとは、どれだけの人が実際に「観てるか」ではなく、どれくらいの人に「馴染んでいる」の方が重要だ。(結局、視聴率次第でもあるから、観てる人も重要なんだけど・・・)

こういったアニメシリーズほど、扱いたいテーマを通常よりもより深く描くことができる。なぜなら、世界観や登場人物の説明を省くことができるからだ。映画冒頭で登場人物たちがいつものやりとりを繰り広げれば、普段テレビを観ていない人でも「ああ。そうだった。こんな感じだった」と思い出して作品に入り込むことができる。

こういったベースがあるからこそ、作品の普段の雰囲気にはマッチしていないテーマでも映画化という枠内で語ることで、深く描くことが可能になる。

※国民的かどうかは置いておいて『機動警察パトレイバー』の映画化はまさにそれに当てはまる。

そういった意味で、国民的アニメの映画化で成功しているのは『クレヨンしんちゃん』(以下、クレしん)と『ドラえもん』くらいじゃないだろうか。他にもみんな大好き『名探偵コナン』シリーズや『ルパン3世』シリーズなど、テレビシリーズから派生して映画化している例はあるが、クレしん映画が描くテーマは明らかに突出していて「異常」だ。

みんな大好きオトナ帝国の逆襲や戦国大合戦を思い返せば、筆者の言う「異常」さに気づくはず。

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だが、ここで筆者が紹介したいのは1998年『映画 クレヨンしんちゃん ブタのヒヅメ大作戦』(なかなか本題行かずゴメンね。でも新作のユメミーワールドと共通するところがあったので、許して…!)

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オトナ帝国の4年前の作品だが、

この時点でクレしん映画は異常な映画だった。

まずは、簡単なあらすじ。

 

コンピューター・ウイルスを使って世界征服を企む悪の組織・ブタのヒヅメと、それを阻止する正義の秘密組織 SMLの戦いに、おなじみしんちゃんたちが巻き込まれる長編アニメーション第6弾。

 

ん??コ・・・コ・・・コンピューターウイルス…!?

 

そう。本作はしんちゃん達が世界を混乱に陥れようとしているサイバーテロを阻止しようと戦う話だ。

まず題材がカッチョええ。サイバーテロを阻止するのはシュワちゃんでもなく、ブルース・ウィルスでもなく、スティーブン・セガールでもなく・・・野原しんのすけだ!

そんなイケイケのストーリーであると同時にこれは「親が子を救う話」でもある。

正義の組織 SMLの諜報部員は我が子のことを想いながら奮闘するし、悪の組織 ブタのヒヅメに拉致されたしんのすけを追いかけるのはひろしとみさえ。ここは他作でもよく見る場面だが・・・本作ではしんのすけも子供を救うストーリーになっている。

ブタのヒヅメはコンピューターウイルスの姿をしんちゃんの落書きから生まれたキャラクター 「ぶりぶりざえもん」にしてしまう。クライマックスで、悪の道へ走ろうとするぶりぶりざえもんをしんちゃんがバーチャル世界に飛び込み説得し、ぶりぶりざえもんは改心。ラストでは、役目を果たし消え去ってしまう。

ぶりぶりざえもんはしんちゃんの想像力によって生み出された「子供」であり、最後は「親」であるしんちゃんに心を「救われる」

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※この程度では全然ネタバレになっていないし、絶対に楽しめるので、今からでも鑑賞してほしい。

 

異常でしょ!?

 

 

クレしん映画がこういった異常さを提供す続けれる理由として、テレビシリーズとの「ギャップ」も有利に働いていると思う。基本、クレしんのネタはくだらないし下品という印象が我々にはあるので、ナメて映画を鑑賞しヘラヘラ笑っていると、ととんでもないカウンターパンチを食らって一発でノックアウト。気づけば、とんでもない量の涙が流れ、脱水症状に陥る。ヘタしたら死ぬ。

 

そんなクレしん映画 待望の新作!

『映画 クレヨンしんちゃん 爆睡!ユメミーワールド大突撃』

〜あらすじと解説〜

アニメ「クレヨンしんちゃん」の長編劇場版24作目。小説家、映画監督としても活躍する劇団ひとりがアニメ脚本に初挑戦し、「映画クレヨンしんちゃん ガチンコ!逆襲のロボとーちゃん」も手がけた高橋渉監督と共同で脚本を執筆。夢の世界を舞台に繰り広げられる、しんのすけとカスカベ防衛隊の活躍を描く。突如現れた巨大な謎の生き物によって夢の世界にやってきたしんのすけたち。そこでは誰もが見たい夢を見ることができ、風間くんは政治家に、ネネちゃんはアイドルになるなど、皆が楽しい夢の時間を過ごす。しかし、その楽しい時間もつかの間、謎めいた転校生サキの出現により、人々は悪夢の世界に閉じ込められていく。

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冒頭。野原家の朝。父・ひろしが新聞に掲載されているある記事を読み上げ「空港で100名がうんこできなかった」としんちゃんが勘違いするというくだりや、転校生サキが登場した途端にみんながサキに惚れたせいでネネちゃんに急に冷たくなったり、風間君のしんちゃんへの的確なツッコミ(勉強させていただいてます)など、小ネタはいつも通り面白くて、映画館で爆笑していた筆者。

 

だが、映画後半にさしかかり…

「しまった!!油断してた!!」

クレしんトラップにハマっていたことを気づいたが、時すでに遅し。

クライマックスでは、ある人物の過去の暴露。みさえの粋すぎるはからいと台詞によって涙腺が崩壊してしまった。しかもそれは「泣ける映画がいい映画でしょ?」と言わんばかりにお涙ちょうだいシーンをぶち込んでくる下品な映画とは違う。登場人物たちが前へ進む決断をした姿に感動して頬がビショビショになるのだ。

また、今まであったようでなかった今回の「夢」という題材。しんちゃんらしくて超ステキ♡♡♡

…なのだが……それに加えて、「夢」の明るい面だけでなく暗い部分も深く描いているのが今回の「異常」なところ。というのも、悪夢の描写がめちゃ怖い。しかも、その悪夢の原因は大人でも耐えきれないヘビーさだ。

クレしんにおいて「死」を扱うという裏技は戦国〜でやった。ロボとーちゃんやブタのヒヅメなどでも死に近い「別れ」については描かれてきた。だが、本作では「過去の死」また、それに対しての「トラウマ」を扱っている。

本作では「死をどう乗り越えるか」がテーマになっているのだ。

もうしんちゃんという土俵じゃ語りきれないんじゃないの‼︎?と思えるほどダークな仕上がりだし重いんだけど、全然楽しく観れるし、ちゃーーーんとクレしん映画として成り立っているからスタッフ陣あっぱれ!

しかも!映画の中で敵となっている「悪夢」をアニメらしくぶっ潰して終わり!という単純なアンサーじゃない。

それは・・・うーーーん・・・話したいけれど

・・・そりゃダメ!!!

まだ絶賛上映中だから、ぜひ劇場に足を運んでいただきたい!!!

 

低いところから失礼しました!

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