『トビラ・ウネリ』日記

先日映画『海街diary』がTVでやってたのに見逃しまして、次の日にBlu-ray借りて来て鑑賞しました。

 

映画『海街diary』の是枝監督は好きか嫌いかでいうとちょっと好き。

学生時代はオールナイトのトークショーにもいった事があります。その時に流れたドキュメント作品は本当に素晴らしくて、少なくともその作品においてはかなり尊敬している監督です。

是枝監督の作品に対する僕の見解は、ドキュメント仕込みのナチュラルな芝居演出。表面の生活描写はとても美しく活気がある。しかし、その内面は言いようのない闇があり、時に解決不可能であったり解決する事なく終わる。

 

です。

 

今回の作品もまさにこれに当てはまる作品だと思いました。

 

今回の僕の立ち位置

  • 広瀬すずを主人公にして、ロリコンぽさに正直ちょっと引いてる
  • 是枝監督だけどあまり観たくない

 

 

 

それでは映画『海街diary』の感想いってみます!

 

ストーリー

鎌倉で暮らす、幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)。そんな彼女たちのもとに、15年前に姿を消した父親が亡くなったという知らせが届く。葬儀が執り行われる山形へと向かった三人は、そこで父とほかの女性の間に生まれた異母妹すず(広瀬すず)と対面する。身寄りがいなくなった今後の生活を前にしながらも、気丈かつ毅然と振る舞おうとするすず。その姿を見た幸は、彼女に鎌倉で自分たちと一緒に暮らさないかと持ち掛ける。こうして鎌倉での生活がスタートするが……。

 

 

今回の感想のポイント

  1. やっぱりキャストがキツイ。悪いのはその一点だけ。

  2. 美しさの裏に闇を忍ばせる技はキレッキレ

  3. うなぎと相まって深まる。

 

 

やっぱりキャストがキツイ。悪いのはその一点だけ。

今回の映画『海街diary』の出演者。主役の広瀬すずと、一緒に共同生活を始めることとなった腹違いの姉妹、夏帆、長澤まさみ、綾瀬はるか。このキャストを観て誰もが突っ込むであろう思い。

「こんな姉妹いるか!」

この一点が冗談じゃなく僕にはこの映画を濁してるように思えます。それは監督の演出との不一致です。

この監督はドキュメントのように自然体の演技を下手にならずにしっかり素敵に撮れる希有な監督だと思ってます。今回の映画は今までの作品に比べて自然体演技がシークエンスが少ないです。少ないし、正直うまくいってないです。台詞がちょっとむずがゆいんですよね。ラストのほうの広瀬すずと綾瀬はるかが梅をつつき合うシーンとかも、ちょっときついなーと。

ただ、それはいいとしてこの映画『海街diary』は、今までに比べて自然体演出が抑えられてて、いわゆる邦画のしっかりとした大作映画を意識したような演出になってます。だからこの不自然なまでの豪華キャストもあながち変ではないです。

それでも僕がここで言いたいことは、監督が素敵な生活を実在感ある丁寧な撮影をすればするほど、超美女軍団のスタイルのよさが雑誌のように現実離れしたものに見えてくる。

その違和感と気持ち悪さをもちつつラストカット。海岸で広瀬すずをみつめる綾瀬はるかと長澤まさみと夏帆。本当に上手で、みてて海がきもちいし、飾りすぎない風景にこの映画全体の美しさが現れてます。

ですが、3人とも細すぎ!喪服も似合ってない!ドレスきてるみたい!海辺に棒が刺さってるみたい!

 

はあ、これでこの映画『海街diary』に対する唯一の気持ち悪さを言ってしまいました。

この3人が大好きでこの映画にはまってる人気分悪くしたらごめんなさい。

あとついでにいうと、主役4人ともいい演技してますがちょっとステレオタイプすぎない?長女はしっかり、次女はガサツ、末っ子の三女はゆとりのあるサブカル趣味。プラス加わる広瀬すずはしっかりけなげなスポーティ。とくに次女の長澤まさみの台詞が形骸化されすぎてるし、役者とミスマッチ感じるしあまり合ってないかなーという印象。

 

 

美しさの裏に闇を忍ばせる技はキレッキレ

悪い事いうのはこの辺にして、あとはもうさすが是枝監督とうなりました。

中盤までは殆どいやなことはなく、

ただただ最高美女軍団の全女子がうらやむような素敵な素敵な生活を、監督の手腕で気持ちよく魅力的に観察し続けるクソ変態映画です。まさにダイアリー。

隙のないような、いいもの観させてもらえてまっせーって感じで、美しい映像が続きます。これとてもいいんですが、最初に書いたように広瀬すずを使って、またこの広瀬すずが他の豪華キャストを圧倒するほどの魅力をもってるものだから、豪華女優達の生活を覗き見して、監督の女性趣味をだだ流しされてるかのような気持ちもしちゃったんです。

 

ですが途中、登場人物のある秘密を電話のなかでそれとなく暗示するシーンがあります。その時、

「あーーー。そうなんだぁ。是枝監督さすがだわー。」

と思わずうなりました。

その秘密をもってるから物語が崩壊していくわけではありません。ただ美しさを連ねる画面と人間像の中に、闇を忍ばせてあるんです。これでこの映画の意味は変わってきました。

しかも、みんなの抱える闇が実はある一点に絞られてくる。そして、その一点が是枝監督の今までの作品に共通するものだとわかった時は最高でした。

 

 

うなぎと相まって深まる。

映画『海街diary』のなかで僕が感じる一番の闇は父性愛の欠乏だと思います。日本最高峰の女性4人が一つ屋根の下、大の大人が延々と自分の父親がどうだこうだ言っているんです。これは異様な事です。女性3人で自分の居心地がいい場所に住み着いている。母親も父親も捨ててしまった家に執着しながら、出て行くどころか仲間を増やす。

みんながみんな父親の愛情を探している。

こんな人達なかなか幸せになれませんよ。これは僕が勝手に言っている訳ではなく、作品のなかで一人一人がもっている問題に深く関わることである、物語の根幹になっていることだからです。

 

大人の都合に振り回される子ども。家族のもつ階層とその影響。これは是枝監督の作品によく出てくるテーマです。

その執着は解決不可能であったり解決せずに終わります。

映画『誰も知らない』は親の都合に振り回されてしまった子どもの悲劇。これは今回の映画『海街diary』にも近い構図ですよね。『海街diary』では捨てられた子ども達がおとなになった視線で描かれています。

 

映画『あるいてもあるいても』は実家に帰った夫婦の日常を描いた作品ですが、これは映画『海街diary』にも描かれる家族の持つ階層を最後にどかって見せて、ホラー映画のように終わる映画でした。

家族の持つ階層とは、おばあちゃんおじいちゃん世代、親世代、子ども世代の三構造が影響しながらループしていることです。

 

映画『海街diary』で憧れちゃうような雰囲気のある家は、おばあちゃん世代からの家で、庭の梅から梅酒を作る何て事もしてます。これが子ども世代にはインスタグラムに上げるであろう日々の素敵な暮らしとなって受け継がれている。しかし、間に挟まれた母親世代には、姑の趣味につき合わされる息の詰まる家になっています。

このように、家族間の階層の中で上が下に影響している。『だれも知らない』しかり『あるいてもあるいても』しかり。ある意味これを肯定的に描いたのが『そして父になるかも』しれません。

 

映画『海街diary』では、この家族の構造の中である闇を抱え、その闇が登場人物の秘密に集約されいきます。

 

ここで僕の中に先日観た映画『うなぎ』がよみがえりました。

『うなぎ』の考察の中で、大人の世界子どもの世界。大人の世界は秘密の世界だという話をしましたが、これがまさに当てはまるんです。

映画『うなぎ』の感想。いったい何を観せられたのか?

 

実は僕の中で『うなぎ』と『海街diary』は対になってます。

映画『うなぎ』が、話が重くエロくグロくユーモラスで、一見難解で意味不明な映画の中に普遍的なテーマが味わえる。

それに対し映画『海街diary』は、みんなが楽しめるキャスト、美しさ、気持ちよさでありながら、その一つ奥には『うなぎ』と通ずるような大人の現実と重さがあります。

同じような事を表現手法を変えてやってるんです。

 

だって、『海街diary』に出てくる4姉妹はまさに『うなぎ』ですよ。

人の話を良くきき、余計な事は言わない。誰のこかもわからないりっぱな『うなぎ』です。

広瀬すずは力一杯明るく美しく育っています。りっぱなうなぎです。うなちゃんです。

話が長くなりましたが、『うなぎ』の主人公と『海街diary』の秘密を抱えた登場人部は立場は違えど全く同じような選択を迫られます。そして、真逆の選択をとります。

『うなぎ』の主人公が「うなぎは泥にまみれて生きていく」と決断し、大人の世界に成長し自立していくのに対して、『海街diary』の決断は一見納得の美しい決断ですが、それにより姉妹はより強固で閉鎖的な絆になったように思えます。

個人的にはあの家は壊すべきです。居心地がよすぎるんです。

だって、映画の中にはちゃんと食堂のおばさんの台詞で「あなたの両親がうらやましい。」って言ってるんですよ。あの状況であのおばちゃんのこの台詞。めちゃ大事でしょ。うなちゃんは宝物だよって。

 

命はどこからきて、どこにいくのか。こどもだった自分がおとなになっていく。

そしてラストカット、浜辺で広瀬すずを見つめる棒っきれのような三姉妹の喪服。

爽やかなはずなのに、なんだか暗い。美しさの中にさびしさただよう映画でした。

「海街のうなぎのdiary」

 

個人的満足度は86点です。

「アイアンマン」より好きかな。

 

と書き終わってからちょっと調べてたら俺の言いたかった事本人が結構いってる!!

ぼくはなぜ物語を書くのか。

 

しかも、おれが『うなぎ』に感じた話をしてるのが個人的にめちゃおもろい!!

死がテーマとかいってるし、ほら!って感じ!

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